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■NOKKO|ハレルヤ[Hallelujya]初のソロアルバム

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ここには時代を超えて、輝く生命力がある

NOKKOの輝くクラブサウンドは、時代を先駆けていた!

NOKKOは、80年代に独自の音楽感性を以て人気を得たロックバンド「レベッカ」のカリスマ的なボーカルであった。また、作詞も担当しその評価は高かった。

そして、その後の日本における女性ロックボーカリストのロールモデルとなったのである。と同時に、ボーカルとダンスを融合したアーティストの先駆けともなった。

そのNOKKOが、レベッカ解散後、ニューヨーク滞在を経て、自らの美意識、価値観、その創造性の枠をはみ出し、新しい独自の創造性を手に入れて誕生したのが、初のソロアルバム「ハレルヤ」であった。

その音楽性は、日本のクラブ・シーンを先駆けていたと言っても過言ではない。

冒頭に掲載した映像は、東京・晴美の特設会場で行われた「クラブ・ハレルヤ」と題されたライブでの映像である。曲目は、「クレイジークラウズ」である。

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「ハレルヤ」ジャケット写真

ハレルヤには、時代を超えた美意識と創造性がある

「ハレルヤ」の音楽性は、端的にいえばクラブ系のダンスミュージックである。このジャンルを選択したのは、NOKKOのニューヨーク滞在経験(レベッカ解散後渡米)が影響していたはずである。

90年前後のニューヨークでは、クラブシーンが活況を呈していた。その尖鋭的な音楽性が、NOKKOの創造性を刺激したのは間違いないだろう。

しかし、当時、日本ではまだクラブ・シーンという存在はないに等しく、いましばらく時が必要であった。(日本のクラブシーンは、94年頃から活気づいたといわれる)

92年、当時の尖鋭的なクラブ・シーンを体感したNOKKOが、その雰囲気と香りを携えて、満を持するかの如く発表したのが「ハレルヤ」であった。

「ハレルヤ」とは、キリスト教で、歓喜・感謝をあらわす言葉である。また、日本語に置き換えると「晴れるや」となる。

これには、NOKKOの万感の想いが込められていたと思われる。

「ハレルヤ」のサウンドは当時としては、革新的なものであり、進化した美意識と洗練された創造性を放っていた。レベッカ時代とは、あきらかに違う音楽性を有していた。

レベッカのキャッチーな音楽性とは異なり、どちらかといえば控えめで、奥ゆかしさがあり、且つ退屈でも平凡でもないものであった。そして、その味わい深いサウンドは、洗練された品性さえ感じさせる引きの美学のようなものがあった。

そして、その音楽性の高さは、いま聴いても約20年前の作品とは思えないサウンドの出来映えであり、それは時代を超えていまも輝きを放っている。

また、NOKKOのボーカルは、この当時まさに最高潮といっても過言ではない素晴らしさである。それは、ソフィスティケーションそのものであり、しかも極めて上質である。

このアルバムのプロモーションとして、東京晴海で「クラブハレルヤ」と題したライブが行われ、このライブの模様はDVDになっている。この映像のなかでは、歌とダンスの本領を存分に発揮するクールで洗練されたNOKKOの姿を観ることができる。

これは、大変貴重な映像である。

NOKKO×屋敷豪太によるオリジナリティー

NOKKOの作詞はレベッカ時代から評価が高かったが、本作でもクールなまなざしとホットな想いというアンビバレンツな様を独特の表現力で創出しており、その才能を遺憾なく発揮している。

また、作曲(共作)の才能の豊かさも見せており、本作はNOKKO渾身の作品であることは間違いないだろう。個人的には、「レモン」「クレイジー・クラウズ」「コズミック・サンシャイン・ベイビー」という3曲の流れが好きである。

このアルバムの独自性を示す特徴として、それぞれの曲の間を紡ぐように織りなされる演奏がある。それは新鮮で美しく、高い創造性を感じさせるのである。

これは、当時では画期的な表現手法であったはずである。(ビートルズのサージェント・ペッパーズ〜が先駆け)ちなみに、プロデューサーの屋敷豪太は、ドラム奏者および楽曲制作者であり、国内より海外での認知度が高いといわれている。

この「ハレルヤ」でも素晴らしい才能を発揮している。

この当時のNOKKOとは、音楽的な価値観の相性がとても良かったのではと想像できる。ダイナミックな鮮烈さ、上品さや贅を含んだ優美さ、それらを混然一体とする絶妙な調合を以て、個性的なサウンドを創り出している。

このサウンドは、本当に約20年前のものなのか?、と不思議に思うほど時代を超えて輝かせているのである。

NOKKOは、このアルバムの完成度にかなりの手応えを感じていたのではないか。と想像するのである。しかし、本作は、その音楽性の高さ程には大ヒットしなかった。

レベッカ時代のファン層は、NOKKOの進化した創造性に戸惑ったのではないか?。国内では、早過ぎたのである。故に、現在でも色褪せない、美意識や創造性を有しているのではないかと思うのである。

それは、まさにタイムレスであり、時代を超えた美意識、価値観を内包しているのが、NOKKOの「ハレルヤ」である。

■NOKKO|ハレルヤ[Hallelujya]

NOKKO:作詞・作曲・歌
屋敷豪太:プロデュース
発売:1992年

<曲リスト>
01. NO RETURN
02. FLY UP ANGEL
03. レモン
04. CRAZY CLOUDS
05. COSMIC SUNSUNSHINE BABY
06. いまどきの男の子
07. APACHE MOON
08. 奇跡のウエディングマーチ
09. 日なたのヒヨコ
10. HOLY NIGHT

<注釈:ソフィスティケーションとは>

直訳すれば「洗練」であるが、その意味するところは、様々な体験を積んだ結果、一皮も二皮もむけた意識から生まれる感覚のことを意味している。

つまり、いくつもの美意識や価値観がクロスオーバーし、混然一体となって生み出す、単純に見えて複雑で、安っぽくあっても実は贅沢で、真面目そうに見えながら不真面目で、平凡でありながら非凡な、そんな感覚である。(参考:蔦川敬亮/トレンドを読む)

なお、本作は現在ブックオフで100円〜250円で販売されている。まだ聴いてない方は、見かけたら即購入することをお勧めします。

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