■80年代|80年代アンソロジー  その8 バブルと闇と魑魅魍魎

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バブルは、パンドラの箱を開けた!

実録アングラマネー――日本経済を喰いちぎる闇勢力たち (講談社プラスアルファ新書)
企業舎弟が堂々と跳梁跋扈する世界!暴対法の施行以降、暴力団は派手な抗争を控え、規制緩和に乗じて、経済ヤクザ化していった。
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久しぶりに80年代の話である。これまで流行や風俗といった表層的な現象を取り上げてきたが、今回は最も80年代を象徴する出来事であるバブルを取り上げます。

これは、とても全体を網羅するという訳にはいかないので代表的な案件を簡略化してお届けしたい、と思うのである。ご存知のことと思いますが、バブルは日銀が市場にお金をじゃぶじゃぶと流す事から始まりました。

そこでは銀行とそれに群がる怪しげな事業家とのあいだで魑魅魍魎な出来事が日夜繰り広げられたのである。

銀行のトップは云った、向こう傷は厭わないと

80年代中頃から始まったとされるバブルであるが、その元凶は日銀による人為的なものであると云われる。日銀は、不動産と株式を底上げするためにお金を大量に市場へと流したのである。

その理由は、資産価値を上昇させることで、それをセーフティーネットとして、内需主導型の経済体制に転換させることであった。しかし、これによって闇のパンドラの箱を開けてしまった。その結果は、みなさんがよくご存知のとおりである。

日銀は、大量に刷ったお金を市場に流すため銀行への融資割当枠を拡大した。銀行は、割り当てられた融資枠を消化するために辺り構わず積極的に融資を実行していった。

そこでは、まとまった資金が必要な不動産に目が向けられた。銀行は、得体が知れない会社でもかまわずに、まとまって融資できれば割当枠消化に繋がるのでどんどんと貸し出した。当時の融資担当者は、融資条件に該当しない案件でも書類を改竄してまで貸し出しを実行したそうである。

なんでも、某銀行のトップなどは、融資に関しては「向こう傷を厭わない」と云ったそうである。この某銀行とは、当時の住友銀行である。そして、この住友を舞台にバブル期最大の事件が起きたのである。

イトマン事件、闇の紳士たちの暗躍

イトマン事件とは、当時、中堅の商社であったイトマンとその親会社である住友銀行が、闇の勢力のえじきとなり、3,000億円とも5,000億円とも云われるお金をだまし盗られたのである。被害金額の総額は、すでに闇の中に消えその実態はいまだはっきりとは解明されていない。

闇の紳士として主役を演じたのは、許永中と伊藤寿永光であった。地上げのプロとして有名であった伊藤は、当時、親会社から退陣を迫られていたイトマンの社長に近づき、言葉巧みに社長を口説き不動産投資へと誘い込んだ。

不動産融資の一部をイトマンにキックバックし、それを利益に計上する事でイトマンは見せかけの好業績を獲得した。これにより、イトマンの社長は親会社からの退陣要求を退けることができた。

伊藤の術中にまんまと嵌ったイトマン社長は、次々と伊藤が持ってくる不動産案件に投資することになる。当然、その融資金は親会社である住友からのものである。住友からイトマンへの融資は、最終的には5,500億円以上と云われる。

ただし、いまだはっきりとはしていない。その大部分が闇に消えたからである。イトマンに入り込んだ伊藤は、次の仕掛けとして仕事仲間である許永中を紹介する。

この許は、業界では名うての闇の紳士であった。許の得意技は、相手を金縛りにして身動きできないようにしてから、手形の乱発、無担保融資、会社の資産の売却などあらゆる手段を用いて企業の資産を外へ持ち出すことであった。

今回の相手であるイトマン社長も、許の術中に嵌るのにそう時間は掛からなかった。許は、イトマンに絵画取引を持ちかけて、高額な代金の一部をイトマンにキックバックすることで金縛りとした。イトマンは、このキックバックをまたも利益として計上した。この繰り返しで500億円以上を取引した。

しかし、いずれ破綻することは見えていたのである。バブルが弾けるとあっという間に高額な絵画も大した価値がないことがわかる。

イトマンはこれで250億円あまりの損害を出した。91年、大阪地検特捜部は、伊藤寿永光、許永中、イトマン社長の川村良彦ら6名を特別背任容疑で逮捕した。

伊藤と許は、闇の勢力のエースと云われた。裏世界から表世界へ送られた二人のエースは、ものの見事にイトマンを食いつぶしたのである。その後、イトマンは住友系列の住金物産に吸収された。イトマンの百年の歴史はここで終わったのである。

しかし、まだ本当の意味での事件は終わっていなかった。紙くずとなったイトマン株式を大量に保有している闇の勢力からの攻撃が、本丸である住友銀行へと向かったのである。

それは、90年代になってからの出来事なので、今回の80年代アンソロジーはこれにて終了としたい。

以下は、参考文献である有森隆著「企業舎弟 闇の抗争」と関連書籍

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