■アート|ニューペインティング 80年代のアート・シーン

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コンセプトなんてクソクラエ!とばかりに登場した

ニューペインティングは、1980年代になって突然のように現れたアート・ムーブメントだった。それはドイツやイタリア、そしてアメリカでも同時多発的に発生していた。

その背景には、70年代に絵を描くことが放棄されていたことへの反動や、画廊などアートを供給する側では、コンセプチュアルアートの売り難さに不満があったといわれる。いわば、アートシーンの需要を喚起する新しい商品が待ち望まれていた。

80年代、突如表れた情動的な表現を糧とするアート!

80年代のアートといえば、ニューペインティングである。これは間違いないはずである。それは、突如現れたように思われるが、それなりの理由があったようである。

70年代は、コンセプチュアルアートに代表される生真面目で学究的な現代美術が主流であった。それらのアートのもつ辛気臭さに、一部のアーティストや画廊はほどほど嫌気が指していたのである。人間らしさ、言葉を変えれば感情を押し殺したような表現の数々に、もういい加減うんざりしていた。

コンセプチュアルアートでは、地面にくっついて移動できないもの、どこかで拾ってきたゴミのようなもの、数枚の写真になったパフォーマンス、走り書きされたメッセージなどが作品となっていた。画商たちが、それらの作品を売ることに苦慮したのは言うまでもないことであった。

そのような背景のなかで一部のアーティストは、コンセプチュアルアートの作家たちが、捨て去ったはずの情動的な表現様式を、これでもかと鬱憤を晴らすかのごとくキャンバスなどに描き殴るかのようなことをはじめていた。

そして、80年代となり機は熟し、彼らはあっという間にアートシーンのスターとなったのである。作家には、ジュリアン・シュナーベル、デビッド・サーレ、ジャン・ミッシエル・バスキア、キース・ヘリングなどが、アメリカ勢として有名である。その他には、イタリアのクレメンテ、キア、ドイツのキーファー、サロメなどがいる。

世界中にそのムーブメントは起こっていた。もちろん、日本でもその動きはあった。大竹伸朗、日比野克彦、タナカノリユキなどが登場している。

また、グラフィックの世界でもヘタウマという傾向が注目されたのである。まさに、エモーショナルなアートが花開いたのが、80年代のアートシーンであった。

関連記事:アートなう(4)新表現主義・ニューペインティング

◆ジュリアン・シュナーベル

シュナーベルは、まさにニューペインティングを代表する画家である。彼は、巨大なキャンバスに割れた皿の破片をくっ付けた作品で有名となった。

作品の巨大さも然ることながら、その表現方法が斬新であった。彼は、有名になる前はカフェでウエイターをしていたそうだ。

そこで、後にニューペインティングのミューズとなった画廊の女主人メアリー・ブーンと出会ったそうである、と何かで読んだ記憶があるが確かではない。

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いまでは貫禄十分過ぎる、ジュリアン・シュナーベル

◆デビッド・サーレ

サーレは、やや控えめながら、知性が感じられる表現が特徴である。情動感はやや抑えめながら、構成された画面からはどこか懐かしい匂いがしてくるのである。いつか、どこかで出会ったかのようなデジャブ感に満ちた表現手法である。横尾忠則さんが、どこか似た表現をしていたと思うが、違うか。

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◆ジャン・ミッシェル・バスキア

ニューペインティングのアイコンは、バスキアであろう。バスキアは、原始美術を思わせるような表現が特徴である。一見すると子供が描いた絵のようであるが、実はテクニックを有していたようである。抽象表現主義のタッチなどを巧みに取り入れていた。

しかし、彼がアイコンとなったのは、それよりも彼のキャラクターのせいであろう。いまや彼は伝説、または神話的な存在となった。その見た目とは違いとても紳士だった、とクラブ・ピテカンで出会った桑原茂一は語っている。

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◆キース・ヘリング

落書きアートをファインアートの世界に持ち込んだのが、キースであった。彼は、この功績によって後世までその名を残すに違いない。キースは日本に滞在し作品を制作したりしている。80年代のいつ頃か思い出せないが、青山キラー通りにあるギャラリーワタリの向かいにあった、小さなビルのなかで制作している姿を見たことがある。

その小さなビルの外壁も彼がペイントしたものであった。彼は、見た目は田舎の人の良い若い人という感じだった。やさしそうな風貌をしていて、我の強いアメリカ人のなかでは異端なのではないか、と感じた次第である。

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地下鉄?で落書きするキース・ヘリング

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