■小説自作|なんでも始末屋 その4「ビジュアル系のやばい奴」

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輝く光の裏側は、暗い闇に包まれていた!

Dobermannhuendin
犬種ドーベルマン

なんでも始末屋 その4「ビジュアル系のやばい奴」

作:cragycloud
登場人物:オレ(元チンピラの探偵)

 きなこという女子高生は、なんでもタレントの卵らしい。なるほど、日出学園らしいな、と思っていた。おっさんとの出会いは、犬の散歩だったそうだ。

 獰猛な犬種のその犬は、とても人懐っこいのだ。たまたますれ違った女子高生と気が合うと直感したか、それは知らないが、女子高生のそばに寄るとまとわりついて動かなくなったそうだ。

 おっさんは、仕方なく女子高生にお願いして、住居であるビルまで同行してもらったそうである。それ以来、ときどき学校の帰りに寄っては、犬の散歩をしているらしい。犬もおっさんといるよりうれしそうにしている、とおっさんは言っていた。

 それは、そうだろうとオレは深く納得したのであった。犬は、彼女が来るのを首を長くして待っているらしい。なんともはやである。

 ところで、オレは芸能界のセレブ様のスキャンダルの始末を終えてから、一週間以上経ったが新しい仕事がない。住居費は掛からないが、いつまでも仕事がないとヤバいなと思っていた。そんなとき、黒澤ロゴスから連絡が入った。

 仕事があるので会社に来いと言っていた。オレは、直ぐに行くと返事をして出かける準備をした。

 六本木の住宅街にある瀟洒な邸宅に着いたのは夕方を過ぎていた。夕焼けが空を茜色に染めていた。社長の黒澤はすぐに応接室にやってきた。

「おー、どうだ。住み心地は」と以前、会ったときと同じ言葉を投げかけてきた。仕方が無いので、とても満足していると答えた。

「ところでだ。お前はこいつを知ってるか」と言って、写真を寄越した。それは、ビジュアル系ロックの有名アーティストであった。もちろん、知ってるとオレは答えていた。
「そうか、なら話は早いな。今回の依頼は、こいつの身辺調査だ」と黒澤は言った。

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クラブ エーライフ

それは身の危険を感じる、やばい案件であった

 このビジュアル系ミュージシャンには、以前からやばい話がさんざん語られてきていた。しかし、何故か、それ以上に深くはメディアも報じていない。あくまで噂で終わっていた。

 どの筋から、依頼が入ったかはオレには判らないが、何か問題を未然に防ぐ必要のある関係筋であるのは間違いないだろう。

 オレは、若干であるが不安があった。それは、今回の相手は反社会勢力とも付き合いがあると噂があるからだ。このミュージシャンには、クスリ、脱税、レイプ、闇勢力のマネーロンダリングなどが噂されていた。しかし、オレはやらざるをえない状況にあった。

 リアルな問題として稼ぎが必要だからだ。気は進まないが、この仕事を受けた。実入りはいいはずであった。ま、危険手当付きだから当然であった。

 どう危険がつきまとうかと云えば、オレが身辺調査していることが知られた場合、向こうは当然のようにある筋に依頼して、オレを排除に掛かるだろう。それは、暴力をともなう行為であることが必然である。

 そうなった場合は、どの程度で済まされるかは、その場になってみないと判らない。そのとき、オレは、秘密を守れるかどうか。若干、不安が募るのであった。

 ともかく、調査対象者に張り付いて択一その行動を報告することが、今回の仕事である。先方に気付かれなければ、何事も起こるはずはない。

 慎重に行動しようと気を入れ直してとりかかる事にした。

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スターの家!

 オレは、かつての相棒であったケンタに連絡した。調査対象者には、一人では貼付けないからだ。ケンタはオレと同郷のやはり元チンピラだったやつだ。

 いまは、新宿2丁目のゲイバーでバーテンのバイトをしている。23か24歳になったはずだ。実家は資産家だが、やつは何度も家から追い出されている。最近、また追い出されてオレのところにやってきたのだ。

 オレは、知り合いがやっているシェアハウスを紹介して、バイト先も伝手を辿ってとりあえずバーテンをしてろと言ってから、2週間あまりが経っていた。ケンタはオレの仕事を手伝うと言っていたが、頼む仕事がないので仕方がなかった。

 ケンタには、しばらくバイトを休ませた。そして、バイトの2倍の金を払う事で納得させた。多少は不安があったが、たぶん大丈夫だろうと考えた。

 仕事の手順は、簡単であった。調査対象者に着かず離れず、寄り添うようにそばにいれば良いだけだ。しかし、それが難しいのであった。

 いずれ、顔がばれる危険があった。怪しいと思われれば、すぐにその筋の関係者を呼ぶだろう。さて、どうするか。あまり考えている時間はなかった。

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どこかのクラブの様子

準備はできた、いよいよ調査開始である

 ケンタには、シェアハウスからオレの住むビルに引っ越してしてもらった。会社には、事後承諾するつもりだ。なにしろ空いた部屋はたくさんある。ケンタは、ディスカウントストアで薄いマットレスや寝具一式を買ってやってきた。

 こいつは実家から東京に車できていた。実は、それが使えるなとオレは思っていたのだ。ケンタも必要だが、なにより車が必要であった。

 ケンタには、少し地味な格好をさせた。なにしろ、こいつは派手な色合いのシャツやらが好きで、目立ち過ぎるのだ。そして、服は毎日変える様にくどいほど言い聞かせた。とにかく、目立って先方に顔を覚えられるのがやばい。

 派手好きなケンタには、それが苦痛に感じるようだ。しかし、我慢してもらうしかない。足りない服は、会社に紹介してもらった古着屋から格安で仕入れることにした。実は、オレもあまり服を持っていなかったのだ。

 調査対象者は、渋谷のはずれにある住宅街の一画に住居と事務所を兼用したビルを所有していた。仕事以外の行き先は、六本木の有名クラブ、銀座の高級クラブなどであった。六本木のクラブはヤバい筋が経営してるという噂があった。

 とりあえずは、スケジュールの把握からだ。この手の情報は、彼のファンから手に入れるか。かつて、金を掴ませた芸能記者の知り合いに連絡して、その手の情報に詳しい人物を紹介してもらった。

 さて、いよいよ準備もできて調査を開始する頃合いである。ケンタは、獰猛な犬の遊び相手になってビル内を追いかけっこをしている。

 お前は、子供かとオレは毒づいていた。

つづく

関東連合 ――六本木アウトローの正体 (ちくま新書)

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