■映画|未来世紀ブラジル 不条理SFファンタジー

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懐古的未来世界のなかで起こる不条理な物語!


ブラジル ザビア・クガート

レトロフィーチャーな世界感が、なんとも絶品である

映画「未来世紀ブラジル(原題:Brazil)」は、1985年に公開されたSF映画である。80年代には、SF映画の傑作が何故か立て続けに公開された。「ブレードランナー」「宇宙からの物体X」、そして本作である。いずれも現在ではカルトムービーとなっている。また、後のSF映画に影響を与えたことも同様である。

本作の監督であるテリー・ギリアムは、元はアニメーターであった。また、彼は大学では哲学を学んだようであり、その隠喩的な物語構成はなるほどと納得する次第である。ともかく、一筋縄ではいかないクリエーターである。その創造性の特異なところは、「バンデットQ」「バロン」などを観ると一目瞭然である。美術畑の出身だけあって、その映像表現に関するこだわりは半端ない。これが、災いしてこれまで何度も撮影中断の目に合っている。

「バンデットQ」は、元ビートルズのジョージ・ハリソンが出資したハンドメイドフィルムという会社が製作した。ジョージは、この映画で予算がオーバーしたのか、それ以外にも問題があったのか。やがて映画製作から撤退した。「バロン」では、予算を大幅に超過して撮影が困難になり、銀行の管理下で撮影が行われた。いずれも、ギリアムのこだわりの賜物であるらしい。彼と映画を撮る製作者は並みの神経では勤まらない。

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本作は、「1984年」という未来世界を舞台に全体主義の不条理を描いたジョージ・オーウェルの小説にインスパイアされて撮られたようである。実際、当初のタイトルは「1984・1/2」と言ったそうである。1984年にリドリー・スコットが、フットボールの試合で上映されたアップルのCMを制作しているが、その内容も「1984年」を彷彿させるものであった。それは、IBM=全体主義の統治者、アップル=解放者として描いていた。

この映画での特徴は、なんと言ってもビジュアルの表現にある。重い空気感に包まれた世界のなかで、威圧的な存在感を放つ重厚な建物は旧ソ連の全体主義建築を連想させる。また、独特の機械が数多く登場する。いずれも未来なのに、何故か懐かしい雰囲気が漂っている。と同時に、それらの機械は危険な雰囲気も漂わせている。この表現様式は、現在ではスチームパンクと称するらしい。

スチームパンクとは、1980年代にサイバーパンクというSF分野の用語から派生したものである。端的に言えば、英国ビクトリア時代の蒸気機関を中心とした機械類を未来的にしたものが、ふんだんに登場する世界である。そして、その佇まいは悪魔的なのが特徴であり、危険と隣り合わせの雰囲気を漂わせている。テリー・ギリアムに、この辺りの雰囲気を創らせると卓越した表現力を魅せてくれる。

ただし彼の造る物は、何故かユーモアが漂っている。それは、かつて携わった英国のテレビ番組「モンティパイソン」で磨いたセンスなのかもしれない。

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主人公サム 情報省の内部

未来世紀ブラジル|ストーリー

20世紀のどこかの国。そこは全体主義によって統治されていた。国民は常に監視されていて、自由は束縛されていた。主人公サムは、母親のコネで情報省に勤務することになった。そこでは、得体の知れない仕事が行われていた。人々の命運は情報省に握られていた。些細な間違いでも容赦なく逮捕し拘禁された。

あるとき情報省の間違いからある人物が逮捕された。サムは、その人物の無実を訴えに情報省にやってきたジルという女性に惹かれた。それ以後、彼は夜ごと夢のなかでジルを見ていた。そんなときに、国家に反抗するテロリストのタトルという人物と出くわす。この出会いによって、彼はいつのまにか反抗グループに肩入れしていく。

そして、それはサムを予期しなかった結末へと導いて行くことになった。サムは、現実逃避から夢の中でジルに見立てた美女を救う天使となっていた。そして、彼女を救うために怪物と戦っていた。そんな、夢を見ていたサムだが、現実では否応も無く、国家と反抗グループの戦いに巻き込まれていく…

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全体主義の隠喩か 鎧姿の怪物

■未来世紀ブラジル(Brazil)

<スタッフ&キャスト>
監督・脚本:テリー・ギリアム
脚本:チャールズ・マッケオン
  :トム・ストッパード
製作:アーノン・ミルチャン
出演者:ジョナサン・プライス
   :ロバート・デ・ニーロ
   :マイケル・ペイリン
公開:欧米 1985年 日本 1986年
上映時間:142分(20世紀フォックス版) 
製作国:イギリス
製作費:1500万ドル

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