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■デザイン|新国立競技場の迷走は如何に コストが下がらない

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現行デザインでは、工事は難航が必然であるらしい!


ザハ・ハディド案、プレゼンテーション資料の構造図

建築関係者が語る、新国立競技場が迷走する理由とは

関連記事:森山高至、新国立競技場の工事費が下がらない理由
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11744493834.html

森山高至氏という建築エコノミストの方が、新国立競技場の設計案に関してかなり詳細に問題点を指摘している。興味有る方は是非上のリンク先でご覧下さい。この方は、建築家なのか評論家なのかよく知らないが、建築を専攻しておられたようである。したがって、その指摘もデザインのみならず構造設計にもおよび、解説も的確である。

新国立競技場の建築は、いまでもザハ・ハディド氏のデザイン案でいくようである。工費は概算3000億円を1800億円に縮小すると発表されている。しかし、当初計画のお約束は、1300億円であった。しかし、上げたり下げたりして、そのくせしっかりと当初計画予算より500億円もオーバーとは、これ如何に。

請け負う建築業者はウハウハかといえば、そうでもないようである。マージンを取るであろう一部関係者はいいが、実際に工事を請け負う業者の嘆きが多く伝えられている。それは、何故かといえば、工費も然ることながら工事そのものが難航を極めそうだからである。前述した森山氏によれば、この工事は建築にあらず土木工事であるそうである。しかも、それを示唆する資料をザハは提出していた。

その理由は、冒頭の図を参照頂きたい。(森山氏のブログから)

上の構造図ではっきりとこれは橋と同じ構造であると、ザハはプレゼンテーション資料で説明している。この時点で費用および工事の難航さが想像できなかったのであろうか。森山氏の解説では、専門家なら想像できる範囲だそうである。また、海や河の上での工事と違って陸に橋桁を載せる工事は困難を極めるだろうと予測している。

この橋の構造は、桁橋(ガータータイプ)というらしい。その他にも構造の形式はあるが、ザハの新国立案ではそれが適当らしい。しかし、このガータータイプの構造は最長で500Mまでらしい。ザハの初期案(コンペ案)では、なんと600Mはあったそうである。ザハは本当に構造などを考慮しているか疑問を感じる次第である。

なんだか困難を極めそうな工事である。本当に1800億円でできるのか、と懐疑的に成らざるを得ない。それにしても思うのは、コンペの委員長であった安藤忠雄氏である。何故、彼は何もコメントしないのか。どうやらこの件に関して発言することを拒否しているようである。

コンペの委員には建築家のみならず構造の専門家もいたそうである。また、安藤に組しない建築家もいたと聞くが、何がどうなってザハ案に決定し、問題となって以降もその案に固執する理由が不明確である。


屋根構造のスパン比較

<新国立競技場のコンペの審査員>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2602A_W2A720C1000000/

安藤忠雄:建築家 当該コンペ審査委員長

鈴木博之:青山学院大学教授
岸井隆幸:日本大学教授、
内藤廣:東京大学名誉教授、
安岡正人:東京大学名誉教授
海外から:リチャード・ロジャース ノーマン・フォスター
小倉純二:日本サッカー協会名誉会長
都倉俊一:作曲家
河野一郎:日本スポーツ振興センター理事長

応募案の実現可能性などを確認する和田章・東京工業大学名誉教授

この問題の鍵は、GAIEN PROJECTか

以前に当該ブログでも書いたが、やはり「GAIEN PROJECT『21世紀の杜』」という計画が関係してそうである。

過去記事:新国立競技場は利権の巣窟か 神宮外苑の行方は
https://cragycloud.com/blog-entry-396.html

上記の計画は、オリンピック招致決定前から各所にプレゼンが行われていた。その内容は、端的に言えば規制で建築もままならない外苑地区の改造計画である。高さ制限の緩和(去年緩和されたようである)、道路の拡幅、新施設の建設等からなる。その計画を進めたのは電通らしい。もちろん電通一社でそのようなことができる訳も無い、そこには政治的な思惑が一緒となって動いたと想像する。

今回の新国立競技場の動きを見ていると、上記計画を前提にしているように思えてならない。それは、工事が難航すれば、それを克服するために例えば道路を拡幅する。邪魔な施設を立ち退かせる等である。その結果、ちゃくちゃくと外苑改造計画が進行する。という具合である。

もう少し様子を見てみないとなんとも言えないが、しかし、様子見していると外堀を埋められそうでもある。いやはやである。

ともかく、いま言えるのは、安藤忠雄が晩節を汚したのは、間違いないようである。ということである。もし、そうでなかったら何とか言ってほしいと切に思う次第である。
 
以下は、森山高至氏の著書!
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