■海外ドラマ｜キリング　北欧ミステリーの傑作

「キリング」というドラマは、デンマークで2007年に第1シーズンが放送された。本国では最高視聴率を獲得する高評価を経た後、イギリスでも公開されて大ヒットとなった。そして、その評判はアメリカに伝わり、リメイク版が製作・放映されてこちらも大ヒットしている。

このドラマは（デンマーク版）、2013年にデンマーク・アカデミー賞を5部門で獲得している。またイギリスでは、2011年英国アカデミー賞の最優秀国際シリーズ賞を受賞している。2008年には、国際エミー賞にもノミネートされている。これらの結果は、高評価であったなによりの証である。

このドラマの見所は、幾層にも重ねられたサスペンスと、そして北欧という舞台にある。デンマークの首都コペンハーゲンの歴史ある町並みと郊外の緑豊かな自然との対比が、ミステリーを盛り上げる素晴らしい背景となって魅了する。なお、アメリカ版は、シアトルが舞台になっているらしい。（アメリカ版はまだ観ていない）

＜ストーリー要約／第1シーズン全20話＞
コペンハーゲン市長選挙を目前に控えたある日、市郊外の湖に沈んだ車から10代の女性の死体が発見された。コペンハーゲン警察のサラ・ルンド刑事は、退職してスウェーデンに移住する計画を延期し、その捜査に当たることになった。コンビを組むのは、彼女の後任として配属されたイエン刑事であった。

発見された若い女性の死体は、激しい暴行とレイプをされていた。そして、生きたまま車ごと湖に投げ込まれたことが分かった。捜査は、学校の同級生を当初怪しんだが、その後は2転、3転としていく。市長選をも巻き込んだその犯人探しは、やがて意外な局面を見せることになる。それは、果たして何か・・・。

このドラマの主人公サラ・ルンドは、やり手の女刑事である。捜査の実質的な指揮を毅然とした態度で進めていく。その凛々し過ぎる姿は、ときに軋轢を生じさせるのである。サラ・ルンドを演じたソフィー・グローベールの演技は、あまりにも自然体でリアルに迫ってくる。捜査に嵌り過ぎる傾向があり、また筋道を通すのが信条？の女刑事のハードボイルドな様を見事に演じている。

このソフィー・グローベールは、「ミレニアム」（おなじく北欧舞台のミステリー）で注目を集めたノオミ・ラバスのようにハリウッドからオファーが殺到してもおかしくない実力のある女優である。ちなみに1968年生まれだそうである。もう若くはないが、年齢を重ねなければ出ない味わい深い存在感を有している。

ドラマのシリーズが進むにあたって製作陣より、主人公のロマンスを盛り込みたいと打診されたが、それに異議を訴えたそうである。その理由が、「サラは、イーストウッドよ。イーストウッドにロマンスはいらないわ」とか言ったそうである。まるで主人公サラが乗る移ったかのようである。

デンマーク最大の都市で、コペンハーゲン（ケブンハウン）自治市の人口は52万人。コペンハーゲン（ケブンハウン）県の人口は112万人。また、シェラン島東部とエーレスンド海峡を挟んだ対岸のスウェーデン南部スコーネ県のマルメ市、ルンド市などを含めた都市圏人口は190万人に達する。北ヨーロッパ最大級の都市圏である。（ウィキペディアより）

ドラマのなかで重要な舞台として幾度となく登場するのが、重厚な建築の市庁舎である。20世紀の初頭に建てられたそうである。この市庁舎は、外観だけでなく内装もまた見応えがある。室内は、基本はクラシックな趣きだが、ライトや備品などは北欧デザインのシンプルモダンである。その融合具合がとてもいい雰囲気を齎している。とてもいい趣味の見本のようである。

デンマークという国は、男女差別の少ないことで有名らしい。ドラマでも女性は男と同等かそれ以上の地位や発言権を獲得している。また、コペンハーゲンはゲイ、レズといった同性愛者たちの旅行の目的地として人気があるらしい。それは、性差別が、他のヨーロッパ地区に比べて少ないせいと言われている。

名所としては、あまりにも有名な「チボリ公園」「人魚姫の像」などがある。また、歩行者天国の先駆けと言える「ストロイエ（北欧一の繁華街）」がある。気候は、やはり北欧で寒い。平均最高気温が11度、おなじく最低気温が3度である。

コペンハーゲンは、その町並みの美しさから北欧のパリと呼ばれるそうである。