■デザイン|デザインの見方(6)大量消費時代のデザイン

スポンサーリンク

機関車
流線型の機関車

スタイリングが優先されたデザイン

大量消費デザインの夜明けがはじまる

文字を視覚化したロシアアバンギャルド、美は機能に宿るとしたバウハウス、スピードや巨大さを表現したアールデコなど、現代デザインの礎が築かれた20世紀初頭の動きを経て、いよいよ現代に通じる大量消費時代のデザインが登場した。

それは、1930年代から50年代のアメリカで顕著となった産業(工業)デザインの商業化であった。そこでは、機能より形状(スタイリング)が、さらには経済性が求められた。何故なら、大量消費に適した合理的なデザイン性が求められたからに他ならない。

デザインには消費者の欲望を刺激する形状が必要とされた。そして、この時代を象徴するのが流線型のデザインであった。これを先駆けて提唱したのが、ゲデスという工業デザイナーであった。(かれは元はイラストレーター)1932年、ゲデスは「地平線」という著書で流線型デザインをした空想的な工業製品の数々を披露した。これが評判を呼んで一般にも関心が広がった。

その著書には、流線型の機関車、自動車、飛行機、船舶などが載せられていた。その後、これらのデザイン性は取り入れられ実際に製品化されていく。とくに有名なのは、機関車である。流線型の形状をした機関車は、スピードを象徴する時代に人々の心を魅了したのであった。また、流線型はその形状故に機関車から鋲打ちを排除したことで多大なコスト削減にも貢献した。

意図したのかどうか知らないが、形状を優先したことが結果としてコスト削減という経済性を生み出していた。ここから、現代に通じる工業デザインの経済性という概念がスタートしたといえるかもしれない。

工業デザインの経済性とは、いわば商業主義デザインといって差し支えない。しかも、この流線型デザインを主導した主要デザイナーたちの多くは、元は広告デザイナー、イラストレーター、室内装飾家などであった。いわゆる商業と密接に関わりのある人達だった。

かれらは、工学の専門家ではなく商業の専門家として産業(工業)デザインの新しい地平の幕を明けていた。機能プラス経済性=合理性、そして流行の形状(スタイリング)。これは現代にも続くデザインの概念となったといえる。

<この時代の代表的な工業デザイナー>
ノーマン・べル・ゲデス(元イラストレーター)
レイモンド・ローウィ(元商業デザイナー)
ヘンリー・ドレフィス(元ステージ・デザイナー)
ウォルター=ドーウィン・ティーグ

そして、この時代にマッチ箱から都市計画までをデザインし、今日の工業デザインの地位向上を果たしている。さらに、バウハウスの理念「産業化された美意識」を基に、アメリカならではの「商業化された経済性」を加味することで、合理的なデザインを生み出すことに成功した。

アイロン
流線型デザインのアイロン

口紅から機関車まで、レイモンド・ローウィのデザイン

レイモンド・ローウィは、現代の工業デザイナーの創始者といっても過言ではない。かれは、商業デザイナーとして広告制作に関わった後、工業デザイナーに転身(創出か)した。それからは、流線型のデザインに代表される形状(スタイリング)を重視したデザインで一世を風靡した。

しかし、かれのデザインはスタイリングだけが特徴ではなかった。商業デザイナー出身という特性か、経済性を考慮した合理的なデザインを開発していた。

技術と経済性の融合が合理性を兼ね備えた名デザインを生み出す。という思想を持っていたようである。たしかに、かれの名デザインの多くが、シンプルな形状と合理性が融合した美しいデザインとなっている。

たばこのラッキーストライク、日本のピースなどが有名である。

また、流線型デザインを使用することで機関車から鋲打ちを一掃し、製造コストを大きく削減したことでも知られている。

クルマ
車のデザイン スチュワード・ベイカー

ロゴマーク
ラッキーストライクと企業のロゴマーク

ラッキー

参考文献:デザインの読み方(西岡文彦著)、他

<口紅から機関車まで/レイモンド・ローウィ>
口紅や爪楊枝から機関車や宇宙カプセルに至るまで、我々の身の回りにあるあらゆる製品をデザインした著者による機知に富み、痛快な自叙伝。ピースの外箱などのデザインで馴染み深いローウイの名著、復刊。

口紅から機関車まで―インダストリアル・デザイナーの個人的記録

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

おすすめ記事