パスワードは一万年愛す。タイムレスなスタイルは、過去も未来も時を超えてゆく!

■社会|さすが中国、収賄額なんと1兆5千億円

この記事は約6分で読めます。

チャイナナインの黄昏、この先どうなるか

e0076461_23455048
なんとも桁違いである。しかしまだ氷山の一角か!

中国の元最高幹部、チャイナナインのひとりがついに摘発された。その罪は主に収賄と見られているが、その額が桁違いである。なんと約1兆5千億円といわれている。一族郎党引っ括めて、せっせと収賄にせいを出した結果である。しかし、その額があまりに多過ぎて誰もがピンときていないに違いない。

中国の国民もいったいそんなにお金を溜め込んでどうするのか、と疑問を感じているようである。また国民は概ね、今回の摘発には好意的なようである。その根底にはもっとやれという気持ちがあるに違いない。

なんせ中国の格差拡大は半端ないとかねてより言われていた。それが、予想を上回る規模であったことに呆れて声も無い状況かもしれない。中国の前政権の首相がやはり収賄で疑われたが、そのときは約2000億円だったはずだ。これも大きな金額だが、今回の収賄額の大きさには比べようが無い。2000億円が、たいしたことはない。そんな錯覚を覚えさせるほどだ。

今回摘発された中国共産党の元最高幹部は、チャイナナインと呼ばれた共産党トップ9人のうちのひとりであった周永康という人物である。この人物は、元は国営企業の幹部として出世した後、共産党中央に抜擢されたようである。元が企業の幹部だからお金の計算には長けているいるはずだ。しかし、それが高じて現在に至ったのはなんともはやである。

中国共産党員約8500万人のいわば頂点に位置するチャイナナインにまで上り詰めるのは並大抵のことではないはず。その莫大な収賄には、きっとおこぼれに授かった人々が多数いるのだろう、と想像できる。そうでもしなければ最高幹部にはなれなかったのではないか。お金と引き換えにかれを支持するグループが形成された。それを糧にさらに利権集団と化したか。

周永康が溜め込んだ1兆5千億は、現金、銀行預金、不動産などを含んだ額らしいが、海外へのマネーロンダリングはしていなかったのか。もし、海外資産がどこかに隠れているとしたら、まだ収賄額は増えるだろう。周永康と昵懇だったすでに逮捕された薄煕来元重慶市党委書記などは、数千億円を海外に隠していたとか。その際にトラブルがあり外国人を殺害した罪でかれの妻は逮捕されている。

しかし、こんなことしてる幹部ばかりでは国が危ういはずである。よく中国国民は黙っているなと思うが、しかし、そこは一党独裁国家ならではの事情がある。政府の意向に従わなければ即逮捕である。しかし、それでも毎日どこかで暴動が発生しているらしい。いくら力で抑えても、いつかは底が抜けるそんな気配を察したのが今回の摘発に至った経緯か。適度なガス抜きが必要と判断したのかもしれない。

中国共産党の壮絶な権力を巡る闘いか!

一方では、今回の摘発は権力闘争の結果であるという指摘がある。中国には、大きく分けて3つの政治グループがある。元総書記の江沢民を中心とした上海閥、中国共産党の高級幹部の子弟を中心とした太子党、そして中国共産党青年団を出身母体とする派閥である。現在の総書記、習近平は太子党に属している。今回摘発された周永康は、上海閥である。

上海閥の中心にいる江沢民は、中国国民に反日教育を推進した人物として有名である。また、利権を糧に一線を退いた後も隠然たる権力を保持している。上海閥というのは、よほど力があるのだろう。前政権では上海閥には手が出せなかったようだ。何かと江沢民が影響力を行使しようとしていたとか。

現在の総書記、習近平は上海閥と敵対することを覚悟したのか。摘発した周永康は、元は武装警察、公安などを統括するトップでもあったとか。現在でも繋がりのある人物が多かったと思われる。そこをあえて狙ったのは何故か。最終的には江沢民の影響力を排除することにあると思われる。

しかし、そう簡単に行くはずも無い。何故なら収賄だけを取ってみれば現政権も同じ穴のムジナと言われているからである。習近平は、返り討ちにあうかもしれない。それでもなお、闘うか。それとも落としどころを探っているか。中国特有の権力を巡る魑魅魍魎は、まだ始まったばかりかもしれない。

中国の権力闘争といえば、何はともあれ文化大革命である。ここでは、一端は権力のトップから退いた毛沢東が、猛烈な巻き返しを図ったのが発端であった。毛沢東語録を掲げて一心不乱に毛沢東を賛美する集団、紅衛兵が傍若無人な振る舞いをしたのはあまりに有名である。毛沢東の理念が唯一となり、それ以外のものはすべて否定された。党の高官はもとより、職場、学校、そして家庭でもそれは行われた。その結果、数千万人とも言われる人が犠牲になったとか。

前述した薄煕来元重慶市党委書記などは、党の高官であった実の父親を蹴って骨折させたとか。この父親は、党の草創期からの幹部であった。しかし、文化大革命で失脚した。(文革後に復帰し息子の薄煕来を党幹部にするべく奮闘したが、息子の評判があまりに悪かったとか)

文化大革命の失敗が見えてきた頃、また権力闘争が始まった。毛沢東の妻であった江青を含む4人組と呼ばれた文革推進派と、鄧小平を中心とする改革派との間でそれは起きた。しかし、毛沢東死去により文革派は拠り所を失ってしまう。その結果、鄧小平の改革派が実権を握った。そして、そこから中国の現代化が始まった。いまの中国は、まさにこのときがスタートである。

その後は、天安門事件をきっかけに当時の共産党トップが引きずり下ろされた。その際に浮上してきたのが、江沢民であった。現在の党幹部の収賄体制は、江沢民時代に始まったようだ。したがって、その根はずいぶんと深くまで浸透しているはずだ。ちょっとやそっとで体制が変わるはずが無い。

現トップの習近平は、はたして江沢民を追いつめることができるか。これは、今後の中国の行く末も左右するかもしれない。

それはさておき、中国はいま問題が多い。経済はバブルの始末をどうするか。また肝心の経済自体も失速ぎみである。国内では民族問題に端を発したテロ、格差問題による暴動などがある。さらにはアジア圏での領土問題に、反日もある。

いやはや、中国のこの底知れなさは一体どこまでいくか。不安を覚えるが、どうすることもできないというのが、国際社会の本音ではないか。

追記、現在の中国の最高幹部は7人だそうである。したがってチャイナセブンとなる。

<テレビに映る中国の97%は嘘である>
村上龍氏が絶賛!「中国は一筋縄ではいかない。一筋縄ではいかない男、小林史憲がそれを暴く」中国すべての省と自治区を取材し、当局に21回拘束された記者が、見て、感じて、触れて、そのなかで泳いだ中国の「内臓」!
共産党政権の厳格な監視は国中隅々まで行き渡り、真実はまるで伝わらない。われわれがテレビで観ている中国は、まったくのニセモノなのだ!

テレビに映る中国の97%は嘘である (講談社+α新書)

コメント