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■書籍|アメリカ映画の大教科書

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映画「イントレランス」の壮大なセット

アメリカは映画で創られている?

本書は、エジソンによる映写機の発明から、1997年のタイタニックまでのアメリカ映画史を、その時代のエピソードを絡めながら丁寧に紹介している。

数あるアメリカ映画に関する本のなかでも、分りやすく、読みやすい、そしてミーハー興味も満たしてくれる数少ない本である。

この二冊読めばアメリカ映画の全体像が、ほぼ理解できるはずである。著者の井上一馬氏は、この本以外にもアメリカ文化を紹介する本を多数出版している。

100年のアメリカ映画史(序章)

映画の歴史は、1889年、エジソンの映写機の発明によってはじまった。しかし、エジソンは自らの発明に固執するあまり、実質的な映画の発明をリュミエール兄弟に奪われてしまう。そう、現在のスクリーンに映写する方式は、リュミエール兄弟の開発であった。エジソンは、せっかく映写機を発明しながら、その方式を見誤った。

さらに、ヨーロッパで特許を取らなかったと云う失態を演じた。その後、エジソンは自ら映画製作会社を起こし、配給していく。その中から、1903年、最初の大ヒット映画「大列車強盗」が生まれた。

この映画のヒット後、数年のうちにアメリカの映画館は9000館を超えた。しかし、当時の映画館はどれも小さく、汚かったようである。入場料が5セント(ニッケル)だったことから、「ニッケルオデオン」と呼ばれた。そして、この映画産業に目を付けた一群のユダヤ人たちがいた。

かれらは、毛皮や車のセールスマン、あるいは廃品回収業などに従事していたが、映画が商売になると見定めると積極的に事業を拡大していく。劇場の運営、フィルムの交換、レンタルなどを行った後、自ら製作会社を起こすようになっていく。そして、映画製作のため、ロサンジェルスのハリウッドに移転し、映画界の7大メジャーと云われるようになった。

1915年、D・W・グリフィスの「国民の創世」が公開された。この映画によって、現在に通じる映画の技法は誕生した。クローズアップ、カットアップ、クロスカッティング(二つの違った映像を交互に映す)など多数の技法を生み出した。しかし、その内容は、人種的偏見に偏っており現在では評価がむずかしい。

同じ頃、大スターが生まれていた、チャールズ・チャップリンである。一大チャップリン・ブームが起こっていた。かれの映画を公開した後の劇場では、客が笑いすぎて椅子のボルトが緩んでしまったそうである。1916年、チャップリンは映画会社と「週給1万ドル、ボーナス15万ドル」で契約した。

これは、当時では国王や皇帝を除けば、この半分のサラリーさえもらう人はいないだろう、と云われた…。

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■アメリカ映画の大教科書(上)

<目次/一部のみ>
1890〜1900年代

1. 映画の誕生とエジソンの戦い
2. ユダヤの大立物たち
1910年代〜
3. 最初の映画監督
4. 最初の女優・男優
5. 最初の大スター
1920年代〜
6. セックスシンボルの系譜
7. スキャンダルの嵐
8. グロリア・スワンソン

なお、上巻は19章まであります。ほんの一部ですが、紹介まで…。

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