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■80年代|不世出のアイドル 松田聖子と中森明菜

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80年代は、いわずもがなアイドル全盛の時代であった!

最近ではピン(ひとり)のアイドルが少なくなってしまったが、かつてはアイドルといえばピンであった。70年代の山口百恵はもはや伝説となった。

しかし、80年代にも不世出ともいえるアイドルが出現していた。それが、松田聖子と中森明菜である。これには、あまり異論はないと思うが、如何に。

個人的には、80年代はニューウェーブとサブカルチャーの時代という認識があるが、実はアイドルの全盛時代でもあった。いまではジャニーズといえば、マスコミでさえ逆らえない力を有しているが、その隆盛の元も80年代からではないか。

それはさておき、松田聖子と中森明菜である。この二人は、同じアイドルではあるが、その音楽性、容姿の印象、ファンの属性など、すべてが対極にあった。他の言い方をすれば、「王道と邪道」、「陽と陰」などともいえるだろう。

アイドルの王道をゆく、松田聖子

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松田聖子は、聖子の名の通り聖なる乙女のイメージをもって登場した。1980年のデビュー曲は「裸足の季節」である。個人的には同年に発売された2枚目の「青い珊瑚礁」が強く印象に残っている。

「あー、わぁたしーのー、なーつはぁー」というフレーズが走馬灯のように蘇る。いやはや、初々しいばかりであった。そのように記憶している。しかし、彼女はその後数々のスキャンダルを提供してくれた。そこには、もはや初々しい少女の姿はなかった。もっとも、それはずーと後のことである。

とにかく、松田聖子はアイドルの王道をまっしぐらに進んでヒット曲を放ち続けた。彼女のファンは、聖子ちゃんカットというヘアーカットが流行ったように、女性のファンが多かった。いまのアイドル=オタクというイメージとは、だいぶ異なっていた。

現在でも彼女のディナーショーなどでは、当時のファンが押し寄せるそうである。たぶん、当時は小学生か中学生の70年代生まれの女性たちではないかと思われる。ディナーショーは、そんなファンによって活況であるが、しかし新曲は売れないようである。

それは、何故か。たぶん、ファンが求めているのは自らが思い入れのある楽曲であり、新曲には何の思い入れもないからだ。それでも、いまだに現役で活躍し往年のアイドルの面影を残しているのはさすがである。

おばさんになる事を拒否し、アイドルを一生背負って生きることを決意しているからに違いない。80年代は、初々しいアイドルが生きられた時代であった。そんな時代の名残りをいまでも感じさせてくれる。

それが松田聖子というアイドルである。

ヤンキー気質を感じさせるアイドル、中森明菜

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王道に対抗するアイドルとしてデビューしたのが、中森明菜であった。その位置づけは、はじめから松田聖子の対極にあったのは言うまでもない。彼女は1982年、「スロモーション」でデビューした。当時のキャッチフレーズは「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」だそうである。なんとも微妙にださい感じだ。

しかし、これが中森明菜のイメージを形成していく。いわゆる、ヤンキー気質な蓮っ葉な女の子である。大人の社会を斜め上から見ている感じである。大人の言う事なんて聴きゃしない。そんなイメージは、どんどん膨らんで行く。

したがって、彼女は優等生タイプより落ちこぼれタイプに人気があったのではないか。歌の内容も、2枚目のシングル「少女A」に代表されるように大人びた少女の気負った様が妙に似合った。ちなみに「少女A」は17歳の少女となっている。

「特別じゃない、どこにもいる少女A」と歌っているが、一方では「くちびる濡らし、きっかけはこっちでつくってあげる」とも歌っている。まるで女性の魔性を感じさせるかの様にである。これが、中森明菜の特性である。

松田聖子の乙女チックとは異なり、中森明菜は少女でも女を感じさせる魔性を帯びたスタイルが個性となっていた。両者の違いは、くっきりと別れた。ここにアイドルの新時代が幕を開けたと言っても過言ではない。

その後、時代を経てバラエティーアイドルが登場し、そして現在のAKB48に繋がって行く。

乙女チックなアイドル、これが王道であるのは間違いない。そして、対抗するのが、ヤンキー気質のアイドルである。そして時代を経て、笑いが取れるバラエティーアイドルが生まれた。現在のアイドルを構成する3要素がこれである。たぶん、間違いはないはずだ。

いまでも中森明菜は通用するか。最近、中森明菜のベスト版が売れているとか。彼女のファンは根強いのか、それは知らないが表に出てこないにも関わらずCDが売れるという魅力が、中森明菜にはあるらしい。

たしかに、彼女の歌声はアイドルのなかではずば抜けた歌唱力があった。いまでは高音が出にくいようだが、それでも歌唱力には定評がある。

最期に、80年代を席巻したアイドルも年を取る。松田聖子さんは52歳になった。中森明菜さんは49歳だそうである。

輝いた時代にファンやそうでなかった人々にも数々の思い出となる歌を提供してくれた。そんな彼女たちの今後の活躍と幸せを願うばかりである。

アイドルは一瞬のイノチ

それはまるで身を削るかのごとく

されども、記憶には残りやがて思い出となる

そんなアイドルたちに捧ぐ

君たちに幸あれと

by cragycloud

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