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■デザイン|ストリームライン・モダン マイアミに咲いた様式美

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そのデザインは強い日差しと影が織りなす光景によく映えていた

豪華客船のような趣が、マイアミでは建物となって再現された

ストリームライン・モダン=マイアミデコと呼ばれた様式美
 ストリームライン・モダンとは、アールデコから派生した様式の一種だそうだ。とくにアメリカのフロリダ・マイアミを中心に広がったといわれている。

 そのせいか、マイアミデコ、またはトロピカルデコとも呼ばれている。(以下マイアミデコに略)他には、海事様式?(客船等)ともいわれるとか。

 アールデコの特徴である直線的なデザインはそのままに、所々に丸みを帯びたデザインがマイアミデコの特徴である。さらにその色調も本家アールデコとは少し違ったようだ。なにしろ、温暖というか暑いせいもあり派手な色合いとなっている。

 しかし、それが照りつける陽光と影が織りなす光景に良く映えている。

 ストリームライン・モダンとは、当初、照明を建物構造の内部に取り込むことが重要な要素だったらしい。

 その代表的なものが、豪華客船ノルマンディー号の室内であった。そこにはラリックがデザインした照明の柱が何本も立っていたとか。いわば、室内と照明が一体化するようにデザインされていた。

 そのような海事様式(要するに船の様式美)の流れに影響されたのか、マイアミデコでも照明は重要な要素となって表現されている。また、丸窓や欄干などに客船を思わせるデザインが採用されている。

 マイアミに何故このような様式が目立つ様になったか。

 それは1920年代に起きたハリケーン被害によるらしい。大きな被害を受けたマイアミは、街を復興する際にリゾート地に相応しい様式として当時流行りのアールデコを選んだとか。

 しかし、そこはマイアミである。アールデコはマイアミらしさを取り入れてマイアミデコとなって独特の趣をもたらした。マイアミデコの最盛期は1920年代から30年代といわれている。

 その後は紆余曲折あり、衰退もあったが現在では街の観光名所となってマイアミを象徴する様式美となっているようだ。

 ちなみに、マイアミデコのあとにはマイアミモダンという様式も登場している。

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ロンドン ストランドパレスホテル 代表的なストリームラインの照明と柱

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突き出た庇の角は丸みを帯びている、カラーリングも特徴的

マイアミの光と影のあいだで

マイアミは、マフィアもこよなく愛していた
 マイアミといえば、アメリカ人には老後の保養地として有名である。その一方では一大リゾート地としても世界的に認知されている。明るい陽光とそれに照らされて光り輝く海がイメージされる。

 のんびりと過ごせばこれほどいい環境はないと思わせる場所だ。しかし、それは表の顔でしかない。

 マイアミは犯罪率の高い場所としても知られている。違ったか。1930年?代頃からマフィアがこの地に入り込んで治安が悪化したといわれる。何故マフィアが、マイアミに入り込んだかといえば、キューバが近いということだった。

 当時のキューバは実質的なアメリカの植民地だったこともあり、そこに進出したマフィアのいわば中継地点として格好な場所だったと思われる。キューバは1959年にカストロが革命を起こすまで、マフィアの重要な収益源だったそうだ。

 この辺りの様子は、アル・パチーノが主演したブライアン・デパルマ監督の「スカーフェイス」に描かれている。キューバの革命後もマフィアはマイアミに残った。

 何故なら、マイアミがリゾート地として栄えればそこに商売のネタがあり、カジノ、麻薬、売春といったことに関わることで大きなチャンスがあった。

 映画「スカーフェイス」は、キューバ難民の一人がマフィアの下っ端からのし上がり、やがてマイアミの麻薬王となっていく様子を描いていた。それとおなじことが、起こっていても不思議ではない。それがマイアミである。

 たしか、1930年代?からマフィアの大物として君臨したマイヤー・ランスキー(ラッキー・ルチアーノの片腕)は、その晩年をマイアミで過ごしていた。

 老後の保養と商売のその両方を兼ねていたと思われる。マイアミに多額の投資をしていてホテルなどを経営していたそうだ。

 ちなみに、映画「ゴッドファーザー/パート2」にもマイヤー・ランスキーと思われる人物が登場していた。やはり、マイアミを拠点とする大物として描かれていた。

 映画では、キューバ革命前夜とその後のマフィア利権抗争の様子を垣間見ることができる。

 ついでに、このマフィアの大物(ランスキー)は、マネーロンダリングの生みの親ともいわれている。いわゆる、暴力よりも知性が売り物のマフィアであった。

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50年代のクルマとは実に相性がいいようだ

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これは、マイアミモダンかもしれない?

日本にもあったマイアミデコの建物

 日本の風土には似合いそうもないマイアミデコは、実は日本にもあった。それが、原宿(渋谷か)にあるピンクドラゴン・ビルである。たしか、80年代に建てられたと記憶しているが、確かではない。

 クリームソーダで一躍原宿の伝説となった山崎眞行氏が自社ビル兼自宅として建てたものであった。

 なお、この原宿の伝説的人物・山崎氏は2013年に犬の散歩中に倒れてそのまま亡くなったそうである。原宿の一時代を築いた山崎氏は、これからは本当の伝説となって語られていくことになった。

 原宿に記念碑が建立されてもおかしくはないだろう。

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ピンクドラゴン 2013年 http://kai-wai.jp/images/tk2555.html

 当該テーマとは直接関係はないが、ピンクドラゴンの写真を掲載していた「kai-wai散策」というサイトでは東京の界隈の写真を多く紹介している。なかなか見所満載であった。界隈に興味の有る方はぜひご覧下さい。
Kai-Wai 散策

ハリウッド、マイアミ アメリカン・デコの楽園 (アール・デコの世界)

ピンクドラゴン山崎氏の追悼ビデオ
DOQROが僕の夢をみる前に DVD

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