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■社会|迷走する新国立競技場 再び現行案見直しに!

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残された時間は、あと一週間程らしいがいかに

■揺れる文部科学省、いったい誰が責任者か分からない

 6月前半に文部科学省(大臣談話)が、ザハ案の見直しも含めて検討しているという新聞記事が掲載された。しかし、その後JSC(日本スポーツ振興センター)はキールアーチ(橋桁状の構造物)をそのまま進めていくと見直しを否定した。また、ザハ氏のデザイン事務所関係者も見直しをおなじく否定した。

 ところが、6月22日になってやはり見直しを検討すると、下村文部科学大臣が述べたそうである。いやはや、どうなってるのか?。新国立競技場を巡る最近の動きを整理すると以下の様になります。

5月18日
 下村文部科学相は18日に舛添知事と会談した際、総工費削減のため可動式の観客席1万5000席を仮設にするなどの計画見直し方針を説明し、都に500億円の負担を要請した。

6月5日?
 文部科学省は、新国立競技場の現行デザイン案の見直しを含めた検討に入ったという記事が一部メディアに掲載された。(その後、すぐに否定される)

6月5日
 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画をめぐり、建築家の槙文彦氏らが5日、東京都内で記者会見し、屋根を支える2本の巨大なアーチ構造を取りやめた抜本的な見直し案を提示して事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に変更を求めた。

6月8日
 JSC側は現行案で進める方針。8日には国際コンペで選出されたデザイン監修者「ザハ・ハディド・アーキテクツ」に計画続行方針を伝えたばかり。JSCを所管する下村博文文部科学相もこの日、「(自身が)腹をくくってやる」と責任の所在と、積極的に指導する方針を明らかにした。

6月9日
 下村文部科学相は9日の記者会見で、2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場建設費の一部費用負担を東京都に求めている問題で、「(負担する)根拠法を作りたい」と述べ、新法を含めた法整備を検討する考えを示した。

6月12日
 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設について、下村文部科学相は12日の閣議後記者会見で、「(19年秋開催の)ラグビーワールドカップでも使用できるタイミングが前提条件」と述べ、当初の予定通り、19年春の完成を目指す考えを改めて示した。

 新競技場のデザインも、「(現行の)斬新なデザインが東京招致の特徴。お金がかかるからやめたというのは信用問題にもなる」と述べ、全面的な見直しはしないとした。東京都への整備費用負担の説明は、すべてがまとまってから行う。

6月22日
 2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設を巡り、下村文部科学相は22日の閣議後記者会見で、「(建築家の)槙文彦氏らのグループ案が実現可能なのかを含め、1週間くらいで最終決定しなければならない」と述べ、コスト高騰の要因とされている現行デザインの見直しも検討していることを明らかにした。

6月24日(追記)
 文部科学省は巨大アーチなどを残した現行デザインで、大手ゼネコン2社と近く契約する方針を固めた。総工費は基本設計の約1625億円から大幅増の約2500億円程度で最終調整している。大会組織委員会の森喜朗会長や東京都の舛添要一知事らが集まる29日の調整会議で報告される見通し。

新国立競技場、現行デザイン見直しも…文科相(読売新聞)

建設費は?費用負担は?…どうなる新国立競技場(読売新聞)

<新国立競技場計画のこれまでの動き> 日刊スポーツより

 ▼2012年11月15日 国際公募でイラク出身の女性建築家、ザハ・ハディド氏のデザインが選ばれる。総工費1300億円での改築を目指す。

 ▼13年10月23日 下村文科相が、整備費は最大約3000億円になるとの試算を明らかにし、計画縮小を検討する方針を示す。

 ▼11月26日 延べ床面積を約25%縮小する修正案がまとまる。整備費の見積もりは1852億円。

 ▼14年5月28日 建物の高さを約75メートルから5メートル低くした基本設計案が承認される。総工費の見通しは1692億円。

 ▼15年5月18日 下村文科相が計画見直しを表明。開閉式の屋根設置を東京五輪後へ先延ばしに。

 そして、15年6月22日、新国立競技場、現行デザイン見直しも…文科相

とにかく、現行デザインでの実施設計および見積の期限である6月末までには何らかの動きがあるようである。

追記:6月24日、新国立、デザイン変更せず…総工費は900億増で最終調整だそうです。

現行デザインは、実は日建設計がしたらしい

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上/現行案 下/コンペ案(ザハ氏デザイン)

 現行デザインに実はザハ氏は関わっていないらしい。ザハ氏はあくまでデザイン監修として契約しており、基本設計には携わっていないようだ。コンペで選ばれたデザインを元に現行案をデザインしたのは、日建設計であるとか。

 このあたりの事情は、冒頭に載せた動画で詳しく解説されています。多少長いですが、途中を端折って見てみると大変興味深い内容となっています。

 キールアーチがどんだけ大変な工事かということがよく分かります。なにしろ長さ約400メートルに渡って、10メートル四方ある鉄骨をアーチ状にかけるそうです。半円ではない弓なりのアーチでは、その加重計算が大変難しいといわれています。

 要するにアーチの両端に掛かる力をいかに支えるか。これにとてつもない難工事が予想されるそうです。もちろん、時間と予算を掛ければ出来ないことはないそうですが、なんのためにそれを行うかを考えてみれば、ばかばかしくなります。

 何故ならば、それは単にデザインのためでしかないからです。

 機能性がとてつもなく良くなるとか、工費および工期が短縮できるとか一切無く、すべてはその対極にあります。見た目のためにだけで、莫大な費用と無駄な時間を浪費することでいったい誰が得をするのでしょう。

 一部の政治家は、3000億でも4000億でもいくら掛かってもいいから造れと言ってるとか。これには、怒りを通り越して悲しくなりますが。日本の政治家はなんて愚かなんだろうと。こんな政治家しかいない日本の未来に希望はあるか。

 とてもあるとは思えませんがいかに。とにかく、オリンピックは国が見栄を張るためのイベントですか?。そんな訳ありませんよね。世界各国の選りすぐりのスポーツ選手が鍛錬した技を競い合うイベントのはずです。

 それとも、この機会に東京を改造しようと思っているんでしょうか。政治家とその周縁企業群にはいい利権の草刈り場となっている、そんな気がしますが、はたして思惑通りにいくでしょうか。

冒頭動画:森山高至「真国立競技場へ」
こちらの動画では、実に分かりやすく現状の問題点を解説しています。

建築エコノミスト 森山のブログ

………
追記:6月24日、現行デザインはやはり変更しないことになった。その上で予算も900億円上乗せである。たぶん最終的には3000億円を超えるに違いない。日本特有の密室での政治的決着が図られたとみて間違いないだろう。あくまで推測であるが。

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