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■デザイン|五輪エンブレム問題 ついに出ました元祖元ネタが…

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どこまでも続く、パクリ疑惑はもう止まらない!?

■これでいいのか?とグラフィックデザイン業界は問われている

 先日、五輪委員会がエンブレムの選考過程の一部を公開した。そのなかで現行デザインは、コンペで選出されたデザインではなく、その後修正したものであると明らかにされた。似たデザインがあったとか、使用状況を考慮してとかいわれているが、どちらにしてもコンペとしてはアウトだろう。

 修正してまで採用しなければいけないルールでもあったのか?。なんのために次点やその他のデザインがあるのか、意味がないだろう。例えば、陸上競技ではフライング一回で失格である。ドーピングなどがあとから発覚した場合もおなじく失格となり2位が1位に繰り上げされる。

 今回のデザイン・コンペでは、それが適用されないようだ。あくまで疑惑だからと擁護する五輪委員会であるが、そもそも修正前の原案ですでに似たデザインがあったのなら、その次点でアウトのはずだがいかに。

 それを何故か、僅かなレイアウトの位置替えを施して押し切ろうとした。これを怪しいと言わずにして何をそう言うかである。違うか。とくに審査委員の発言がそれを物語っている。以下をご参照ください。

<当初案のデザインについて審査委員の発言>
「すべてにおいて優れている」
「圧倒的に優れている」
「なにがあっても使うと決めた」

 ところがどっこい、すぐに似てるデザインがあったから修正してねとなった。

 そして、さらに修正されて現行デザインとなった訳である。たしかデザイナー氏は採用されたデザインは、亀倉雄策氏の1964五輪エンブレムの理念を継承してるとか、そんなことを言っていたと思うが、実は当初案にはそれがみじんも感じられない。したがって修正後にこじつけたコンセプトと思われる。

<これまでの経緯をまとめた画像>

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どこの誰がまとめたか知りませんが、よく出来てます。

冒頭画像:左から当初デザイン案、修正デザイン案、さらに修正した現行デザイン。

■元祖元ネタが発覚!!

 当初案(これがあること自体がおかしい)が公開されたことで、あらたな疑惑がまた表面化してしまった。いやはや、もう止まらない。

 ついに元祖元ネタが明らかにされました。それが以下のタイポグラフィーの世界的な権威であるデザイナー、ヤン・チヒョルト氏の作品である。

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日本で開催された展覧会ポスター

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ヤン・チヒョルト展のデザイン監修は白井敬尚氏。作製は白井敬尚形成事務所。

 ここまでくるといかに擁護しようと逆に反発くらうだけと思われます。擁護派デザイナーのなかにも、もはやこれまでと擁護を諦める動きもあるようです。

 このまま現行デザインで押し切った場合、グラフィックデザイン業界は他のデザイン業界からは、一段低い位置づけと見なされるでしょう。とくに建築の世界からはグラフィックはバカにされることになる。なんせ建築デザイン界は、曲がりなりにも新国立を白紙にしたからです。

 グラフィックデザインの世界では、大手代理店と大御所デザイナーの覚えがめでたい人だけが大きな仕事にありつける。そして、有名デザイナーになりさらに大きな仕事があてがわれる。そんな仕組みにあるのかもしれない。

 あくまで個人的な見解ですが、今回のデザイナー氏が何故そんなに評価されるのか、ちっとも分かりません。なんでもフェラーリに乗って、莫大な収入があるとか。そのデザイン性と価値がそれほど高いとは思えないのですがいかに。

 そういえば、サイトウマコト氏もフェラーリに乗っていましたが、そのデザイン性の価値と比較してもよく似合っていました。ちなみに人物的(性格)にはあまり好きではありませんが…これは余計だったか。

 とにかく、今回の件ではグラフィックデザインのあり方を考えさせられました。多くのデザイナーたちは、大手代理店とは関係なく仕事をしていると思われます。代理店のバック(つまり営業)もなく、自らギャラの交渉もしているはずです。

 そんなデザイン界の中枢とは関係なく仕事をしているデザイナーたちに一番被害が及ぶのではないかと危惧いたします。ちょちょっとデザインしてくれるとか、どうせパクリだから簡単でしょとか。これからは絶対言われるに決まってる。

 それを思うと五輪エンブレムのパクリ騒動は、実に迷惑という以外の何者でもない。それを助長した五輪委員会、審査委員はさらに罪が深いと言うしかない。

 しかし、これを契機にデザインのあり方を見直し、初心に還るという動きに繋がれば、災い転じて福と成すとなるかもしれない。できれば、そうあってほしいと思います。

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