■社会|2016年出版界は瀬戸際に!いま出版のあり方が問われている

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はたして出版界は生き残ることができるか?

出版物の販売額は1996年をピークに減り続けている

 いまさらであるが、出版物が売れていないようだ。2015年の販売額は、前年の落ち込みをさらに下回ったようである。出版物のピークは1996年(平成8年)だそうであり、おなじく再販制度にある音楽CDなどのピークにも重なっている。

 書籍は言うまでもなく、雑誌の落ち込みが激しくなっている。かつては隆盛を誇った女性ファッション誌、通称”赤文字系”雑誌も販売数を落とし続けている。女性誌の代名詞でもあった「JJ」などは、信じられないくらい売上を減少させている。おなじく一時代を築いた「CanCam」も10万部台でしかない。

 これは、もはや時代の役目を終えたと言うことができるだろう。そして次代の役割を担うことが、はたして紙媒体に残されているかが、いま問われている。

出版物販売落ち込み最大 今年1.6兆円割れ 雑誌離れ響く

2015年に国内で出版された書籍と雑誌の販売額が、前年より約5%減の1兆5200億円程度にとどまり、過去最大の落ち込みとなる見通しになった。

出版物の販売額が1兆6千億円を割り込むのは32年ぶりで、減少率は昨年の4・5%減を上回り、昭和25年の統計開始以来、最大となる見通し。市場規模はピークだった平成8年の2兆6564億円の6割を下回る水準になる。

<雑誌別:販売数推移>
※販売数=左から01年、06年、15年、01年を100とした15年の比率。

<週刊誌>
週刊朝日  305,984  202,845  110,564  36.1% 朝日新聞社
サンデー毎日104,296   72,625   61,062  58.5% 毎日新聞社
週刊新潮  489,206  495,146  329,415  67.3% 新潮社
週刊文春  602,569  550,685  450,383  74.7% 文藝春秋
週刊現代  618,161  415,859  352,521  57.0% 講談社
週刊ポスト 682,072  373,111  278,904  40.8% 小学館
アサヒ芸能 241,060  165,885   97,584  40.4% 徳間書店
週刊大衆  346,375  226,409  127,549  36.8% 双葉社
ニューズウィーク日本版
      110,131   84,153   40,324  36.6% 阪急コミュニケーションズ

<女性誌>
※2015年のみ発行部数(6〜7掛けぐらいが実売数といわれる)

週刊女性  294,069  220,553  225,000  76.5% 主婦と生活社
女性自身  421,631  341,806  379,400  89.9% 光文社
女性セブン 475,127  352,858  372,500  78.4% 小学館

婦人公論  166,663  129,577  186,334  111.8% 中央公論新社
ESSE    455,454  471,923  334,334  73.4% 扶桑社
クロワッサン219,033  184,453  211,667  96.6% マガジンハウス
non-no   557,426  317,951  236,667  42.4% 集英社
Can Cam  323,553  622,660  141,667  43.7% 小学館
JJ     470,555  175,634  155,100  32.9% 光文社
with    635,055  377,844  210,000  33.0% 講談社

日本雑誌協会(発行部数)2015年
主要50雑誌の「部数激減(秘)データ」2001年、2006年
販売部数ランキング発表「文春」「現代」「新潮」…の順 総選挙特集で各誌を比較すると…2015年(j-castニュース)

 書籍の販売額は、芥川賞受賞作「火花」の大ヒットもあり若干であるが減少率が前年より縮小した。しかし、減少傾向に歯止めをかけるとはいかず、文庫本が相変わらず売れていない。雑誌はよりひどい状態であり、もはや起死回生の策も尽きかけている。そんな状況にあると思われる。

 何故なら、かつて雑誌が担っていた暇つぶしの役割を、いまではスマホが取って代わってしまったからだ。それを奪い返す手立てはいまのところ皆無と言っていいだろう。とにかく顧客が、雑誌を購入する動機が失われている。

 週刊誌にその傾向が顕著に表れているが、データを見る限りではすべての雑誌がおなじ状態にあることが判る。

 女性誌は、いまでも一見すると隆盛のように見えるが、その実態は火の車状態のようだ。いくら笛を吹けど踊らない消費者に対して、もはや流行の仕掛けもかつての様には通じ無くなっているようだ。きっとスポンサーも雑誌広告の価値を判断しかねているに違いない。

 ステマというやらせが一般に浸透した結果、いくら雑誌で流行を仕掛けてもどうせタイアップであることがバレている。雑誌とアパレルをはじめとしたスポンサーの”愛の関係式”はもう終わりが近づいている。そんな気がするがいかに。

 雑誌の競争相手はもはやおなじ雑誌ではなく、ネットの情報であり、なかでもSNSや写真・動画の共有サイトにあると思われる。それらは概ね無料であり、いくらでもネットに広がっている。それといかに差別化した価値を提供できるか、それが雑誌メディアに問われているのは言うまでもない。

 ちなみに、おまけ商法(宝島社が仕掛けた)もまだ健在のようであるが、最近では行き詰まったともいわれている。

紙媒体は終わるのか、それとも生き残るか

 紙(paper)の語源としても知られるパピルスは、BC3000年代からAD1000年まで古代エジプト文明において書写材料として発展し使用された。紙媒体は、それから実に数千年に渡ってメディアの王として君臨してきた。

 それが、すぐにネットにとって変わられるとは思えないが、いまのままで継続するという保証もないに等しいのも、また事実である。

 出版社は、新聞社やテレビ局と並んで高給であるといわれてきた。大卒の入社希望でも上位にあったと思われるが、いまは違うかもしれない。おなじ紙媒体である新聞社は、社会の公器という建て前があるから、それをいいことに時代の趨勢に抗っている。もっとも、いつまで続くか判らないが…。

 一方、書籍や雑誌が中心の出版社は、新聞ほどの建て前がある訳ではない。したがって、時代の変化の波をもろに受けている。

 かつて隆盛を誇った国や企業が衰退していく過程では、まずそのシステムが綻びはじめていく。それとおなじく出版という業種とシステムが時代にそぐわなくなったと言っても過言ではないと思われる。

 そのシステム破綻の一端は、「再販制度」にありか?。

再販売価格維持(さいはんばいかかくいじ、英語: resale price maintenance)とは、ある商品の生産者または供給者が卸・小売業者に対し商品の販売価格を指示し、それを遵守させる行為である。 再販売価格維持行為(再販行為)、再販売価格の拘束とも呼ぶ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/再販売価格維持

 文化を支えている出版物は、”再販制度”によって価格が保護されている。書店などの売り手は値段を決めることができない。したがって、値引きセールなど出版物には存在していない。在庫が余ってもセールはされず定価で販売される。

 出版社は密かにブックオフに転売しているかもしれないが、”取り次ぎ”を通した本や雑誌は定価でしか販売されない。”取り次ぎ”という出版物の流通を担う存在は、かつては出版の裾野を拡げる役割を担っていた。取り次ぎは、書店から保証金を受け取り、その変わりに”委託”で販売することを可能とした。

 書店は、保証金を積めば在庫のリスクを軽減することができた。一方、小売りの基本である、価格の決定権、品揃えの自由、利益率などをコントロールすることはできなかった。なにしろ、価格も利益率も出版社と取り次ぎが決めていたからだ。

 出版物に需要があるうちは、それでも商売に繋がったが、いまは時代が変わってしまった。なによりも需要が失われたのが見るに明らかとなっている。しかし、需要は喚起する方法いかんで創出することもできるはずだ。

 日本全国で書店が急減しているが、それは前述した出版システムの寿命が来ている証ではないかと思われる。

<出版を支えたシステム概要>
・再販制度…価格の維持
・取り次ぎ…流通代行、全国一律、画一的な品揃え
・委託販売…リスクはないが、儲けも少ない
・低利益率…仕入れ率の交渉権はない

 再販制度は、音楽にも適用されていた。音楽CDも出版物同様に売れていない。これは、何を意味しているか?。ネットのせいばかりとは思えないが…。

 出版の危機は、端的にいえばシステムの劣化と言うことができるだろう。とすれば、前述したシステムの見直しをすれば、まだ生き残る道はあるはずである。

 まず再販制度を止めて価格決定権を書店や小売りに与えること。そして、委託制度から買い取り制度に変えて書店もリスクを負うこと。したがって保証金制度も無くなり、出版物が書店以外でも売れる体制となる。

 出版物は書店でという常識を変えることも新たな機会創出となるに違いない。

 これで出版市場は、他の業種・業態とおなじ構造となることで活性化が図られていくと想像されます。ただし、一時的には書店の数が急減し市場規模が縮小するのはやむを得ないかもしれない。何故なら、これまで委託でしか商品の選択(品揃え)をしていない書店に目利きができるとは思えないからだ。

 市場の規模は縮小するが、生き残りの道は残されている。しかし、それを選択するかどうかは出版業界に掛かっている。はたして、取り次ぎと共にこのまま沈んでいくのか、それにはあと僅かの時間しか残されていないと思われるが…。

追記:上記した内容はあくまで個人的な見解である。”再販制度”にも”取り次ぎ”にもいい点はあるのは言うまでもない。しかし、現状を省みると何かがおかしい。そこで上記した様に短絡的かもしれないが、提言としてまとめてみました。

出版大崩壊 (文春新書)
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