■デザイン|日本では美術の正当な評価がされない 絵の価値が低すぎる?

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イラストレーションの価格は、いまどーなっているか

ITの進化とイラストの価値は、反比例している

 いま日本ではイラストの価値がとても低くなっていると訊く。価値とは、要するにお金に換算するといくらか、ということである。

 一般人はイラストは、無料とでも思っているのだろうか。最近、一般人がプロのイラストレーターにアイコンを頼んだ際に、費用がかかることを知ってブチ切れるという事案が発生したらしい。しかし、無料で描いてくれるなんてあるか。

 絵を描くというのは、人生のなかの限りある時間を使っている訳である。それに対し、対価を払う必要がないと考えるのは、どうかしている。費用を惜しむのなら、なんらかの見返りを用意するか、自分で描く以外にないはずだ。

 または、イラスト好きの素人にでも頼めばいいと思うがいかに。

イラストの価値が低すぎる問題 アイコン画像を依頼されて料金説明したら逆ギレされた人も!

4月中旬に、あるツイッターユーザーがイラストを描いてくれるように頼んだところ、 相手から料金を請求されて憤るツイートを投稿している。

「料金かかるならbio(プロフィール)に記載しろよ。イラストレーターの屑がこの野郎・・・」

投稿者はツイッターにイラストレーターとのやりとりのキャプチャを掲載している。 それによれば、アイコン画像の依頼をした結果、先方からは「アイコンサイズなら1100円からです」 「お支払いはペイパルでお願いしたいです」と返事がきた。これが許せなかったらしい。

一方で、仕事を受けた香港人のイラストレーターは25日に、 「ちゃんと(プロフィールに)『お仕事募集中』書いているですが、 それは無料の意味ですか、日本語は本当に難しいですね、すみませんでした」と投稿。

無償ではなく、ちゃんと仕事だと明示していたわけだ。この投稿は3000件を超すリツイートがされ、 イラストレーターに対し「何も間違っていませんよ」「気にしなくて良いですよ」と励ましのメッセージが寄せられた。

「リクエスト募集中なら、まだしも仕事募集中と書いてあるから問題ないですよ!」
「お仕事と書いてあれば基本的にはお金が発生するものと普通は解釈するものです」
「これは圧倒的に相手がおかしいですよ気にしないでください!」

 この件には、最近のイラストレーターが置かれている状況が垣間みえるようだ。訊くところでは、最近ではイラストに費用を惜しむ傾向が顕著だそうである。ほんの一握りのイラストレーターを除くと、大概は食っていけないといわれている。

 かつては、若いイラストレーターの登竜門となっていた出版社も、いまでは本や雑誌が売れなくて、青息吐息にある状況だから無理もない。まず出版社で安い原稿料の仕事をして、それから広告の仕事に繋げていくこともままならない。

 さらに出版不況と言ってもいい状況にあるし、イラストなどはコストとして省かれているのかもしれない。そういえば、雑誌を見ても一昔前とは違ってイラストを使っていないようだ。90年代まではもっとイラストが使われていたと思うが。

 確かではないが、そんな記憶がある。それでも出版社の単行本や文庫の多くでは、いまでもイラストが多く使われている。

 小説などのフィクションでは、写真よりイラストの方が相性がいいのかもしれない。小説などの挿絵というのも、まだ需要はあると思われるがどうだろうか。しかし、挿絵を必要とする雑誌自体が売れていないか。

 出版社=本が売れない=経費削減という図式にあり、当然のように関係するイラストも原稿料を低く設定されるか、除外されていると想像できる。

 だったら広告はどうか。しかし、広告はもっとひどい状況かもしれない。イラストが、広告イメージの主体として使われて話題になったというケースは、最近では訊いたことがない。かつては、たくさんあったのに。

 80年代では、パルコがその代表例だった。山口はるみのイラストが、パルコを象徴していた。パルコといえば、山口はるみのイラストだった。

 それから、企業名は忘れたが、ペーター佐藤、原田治などのイラストレーターも、企業のイメージをイラストで担っていたはずだ。他にも多数あると思ったが、残念ながら思い出せません。あしからず。

 とにかく、80年代までは、イラストの価値は向上していた。当方の記憶では、これからもっと向上していくはずだと思っていた。しかし、90年代(たぶん中頃)から若干様子が違ってきたようだ。それは、ITと関係ありそうである。

 デザインの制作がコンピューターで行われるようになったのが、90年代半ばからと思われる。そして、後半ではかなりの普及率だったはずだ。いまでは、手作業でデザインするデザイナーはほとんどいない。

 デザインの制作環境が変わった。これが、ひとつめのターニングポイントである。イラストも生原稿からデータに変わった。

 そして、インターネットが普及していく。IT環境が整い普及していくに伴って、企業、個人の環境もまた変わってきていた。新しい商品やサービス、ブランディングなどの企業のマーケティングに対し、生活者がそれに接する機会も、徐々にインターネットに比重が移っていた。

 インターネットが、顧客との接点を変えた。これが、ふたつめのターニングポイントである。新聞や雑誌は、もはやメインではない。

 インターネットの事業では、概ね無料で客寄せして、広告か課金で収益を確保する。無料が当たり前、それがインターネットだった。ということは、そのなかで制作する側も、知らず知らずに無料もしくは、低い原稿料しか払わない。

 そんな意識・価値観が定着化し、依頼する側もいつしかイラストなどのクリエイティブに価値を見出せず、ただ単に、にぎやかしのひとつぐらいの「安易な発想」しかもてなくなってしまった。それが現在の状況ではないか、と想像します。

 印刷媒体の時代では、イラストも十分その魅力を生かせた。しかし、ネットの時代となり、環境も変わってしまった。現在は、いわば過度期にあるといえる。

 ネットやその周辺でイラストを依頼する側も、まだ意識が十分ではないと思われる。かつて、1950年代か60年代頃の印刷媒体時代を顧みれば、当時はイラストなんて認知もされていなかったはずだ。

 それを考えれば、これから状況は変わってくるかもしれない。もちろん、当事者の努力が一番大事なのは言うまでもないが…。

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リリー・フランキー イラストレーター

イラスレーターは、事業者になればいい

 それにしても、かつての若いイラストレーターを育成するシステムが、壊れたようであり、才能のある若い人たちが活躍できる場がないのはさびしい限りだ。

 だったら、イラストレーター、または目指す人たちは、現在の状況をどうすればいいかである。当方の勝手なアイデアでは、これからは事業者を目指せばいいと思います。とんでもないことであるが、やってみる価値はあるはず。

 せっかく、イラストを描ける才能があるのなら、ただ単に依頼があるのを待つのではなく、自ら事業者となって商品開発やキャラクターを作り上げて、それを企業に売り込むなり、自らで商品化すればいいと思います。

 そんなの売れないと思ったが最後、売れる訳はありません。何事も自分を信じて邁進するしかありません。イラストが描けるなら、見本が作れると同義です。見本を作るつもりで、イラストを描いてみたらどうでしょうか。

 留意点として、一定のテーマを設けることが肝心です。何故なら、見る側に目的を明確に伝えるためです。どのような場所、場面で使われるイラストかを明確にしておけば、相手の理解が早いはずです。

 イラストを使って開発する商品としては、無数にあると言ってもいいでしょう。売れるか、売れないかを考えると作れなくなるので、あまり考えすぎないことも重要かもしれません。

 とにかく、ただ単に依頼を待つという、受注仕事からの脱皮を目指しましょう。

 楽をしようとすればするほどに、安い受注仕事の泥沼から抜け出せなくなります。自分でやりたいことは、「自分で創り上げるしかない」と肝に銘じてかかるべしと思います。生意気ですが、そう思います。

 あの、「ゆるキャラ」の命名者である、みうらじゅん氏は、仕事創造者の第一人者です。みうら氏が発案し、市場や世間で認知されたものの多くが、実は自分で行動を起こして企業、出版社などを動かした結果だそうです。

 そりゃそうだろーねと言うしかないが。とにかく、みうら氏の発案はぶっとびすぎてどこに需要があんねん、と思うしかないものばかりだからだ。

 そういえば、「いやげもん」というものもあった。お土産で貰ってもうれしくない、そんなお土産をそう言うらしい。

 とにかく、そんなとんでも発想を企業や世間に認知させてしまったのも、行動を起こしたからに他ならない。ちなみに、みうらじゅん氏は、言うまでもなくイラストレーターでもある。見習うことは多々あると思われるがいかに。

 そんな訳でとにかく「やってみなけりゃ、結果もでない」はずです、だったら、やったらいいと思いますがいかに。

 当方は専門家でもないのに、大変生意気なことを書いてしまいました。しかし、クリエイターが虐げられている現状には、なんとも不条理を感じて仕方がありません。近い未来にイラストレーターが、また光り輝く日が来ることを願います。

 イラストレーターのみなさまのこれからの検討をお祈りいたします。

20140522183108
みうらじゅん

追記:だったら、お前がやったらいいだろうという人もいると思われます。確かにその通りである。実は、当方は過去にやったことがある。オリジナルを創り、販売もしたし、お店も作った経験もあります。

 それが成功したかどうかは、それはまた別の話である。結果はやらなければ出ない。良くても、悪くても、おなじくである。

 ちなみに、当方はイラストレーターではありません。上記したことをした挙句に脇道に逸れました。いやはや。

冒頭画像:みうらじゅんと安斎肇 ふたりともイラストレーター

「ない仕事」の作り方 みうらじゅん
本書では、それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」を、アイデアの閃き方から印象に残るネーミングのコツ、世の中に広める方法まで、過去の作品を例にあげながら丁寧に解説していきます。
「ない仕事」の作り方

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