■映画|スイミング・プール 煌めくプールの水が官能の世界へと誘う

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これは真実か否か、謎が謎を呼ぶミステリー!

 舞台は、フランスの片田舎(南仏プロヴァンス)にある豪華な別荘である。そこにはプールがあり、陽光を受けた水がきらきらと輝いていた。

 謎めいた物語はここから始まっていく、そして、中高年の女性と若い女性ふたりの心の闇の奥が徐々に明らかになってくる。

 物語は進み、やがて謎は深まり、「それが真実か、それとも妄想か」は、それを垣間見ているあなた(観客)に委ねられる…。

スイミング・プール 2003年(仏)

 ビキニ姿の若い女性が、煌めく水も美しいプールの縁に横たわっている。

 この写真(冒頭)をどこかで見た記憶がある人もきっと多いに違いない。このキービジュアルが、映画「スイミングプール」を象徴していたのは言うまでもない。

「夏の輝く陽光」と「プールの水の煌き」、そして「若い女性」という絶妙な組み合わせを、この映画ほどうまく活かした作品はこれまでなかったかもしれない。

 プールの水は、陽光が強いほどに輝き、そして煌めいて魅せてくる。それは、ある意味では、若い女性が発する魅力を象徴している。それは、中高年の女性が抱える一抹の不安の裏返しであり、若さという輝きを一層まぶしくさせている。

 このキービジュアルには、映画の本質がひっそりと隠されている。なかなかに憎い演出であり、監督のセンスの良さが光っている。

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◆中高年の女流作家とあばずれの若い女性

 主人公は、英国人の中高年の女流作家である。彼女は、かつてはヒット作を出していたが、すでに忘れられようとしていた。出版社の社長(男女の関係あり)から気分転換にと勧められて、南仏プロヴァンスにある社長の別荘にとやってきた。

 気分転換が功をなしたか、女流作家は新作を書き始める。そんなある日、突然若い女性が別荘に侵入してきた。その若い女性は、別荘の持ち主である社長の娘であると言っていた。女流作家は、突然の訪問にいらだちを隠せなかったが、仕方なく同居生活をすることになった。

 女流作家は、英国のお堅い知識層を代表するような気難しさがあった。一方、社長の娘を名乗った若い女性は、見るからにあばずれな様相を示していた。

 ある日、女流作家は、若い女性が樹木の葉がたくさん落ちているプールで素っ裸で泳いでいるのを目撃する。その様子にいらだちが募る一方で、何かが湧き上がるのが感じられて若い女性から目が離せなかった。

 対照的な趣にある中高年と若い女性ふたりは、なにかとぶつかり合うことが多くなっていた。若い女性が、夜毎のように男を連れ込んでいたからだ。

 そして、若い女性は、昼間は若い肉体性を持て余すかのようにプールで裸同然の姿で泳いでいた。それを垣間見るたびに女性作家は、内なる何かが弾けそうになっていくのを感じるようだった。

 女流作家は、徐々に若い女性に歩み寄っていた。若い女性も気を許し、ある秘密を打ち明ける。それを聞いた女流作家は、その秘密を基に小説を書き始めた。

 若い女性は、あばずれであるが、その反面傷つきやすい性格でもあるのが判ってくる。男を連れ込むのは、愛情に飢えている証でもあった。

 物語は、この辺りから不思議なことが起こり、そして謎めいてくる。

 ある日、男を連れ込んだ若い女性は、些細なトラブルから男を殺してしまう。なんとなく異変を感じた女流作家は、若い女性を問い詰めて死んだ男を発見する。

 女流作家は、若い女性のために死んだ男を庭に埋めて隠蔽を図ろうとする。女性ふたりで庭に穴を掘り、そして男を埋めた。

 そして、ここから先にもうひとつ謎めいた事態が起こるのだった。

 はたして、それが「事実か、女流作家の妄想なのか」、それは観る人の感性に委ねられた。映画は、ヒントは与えるが正解もないことも示唆しているようだ。

 謎は、謎のままであるのも、また価値があるのかもしれない。

スイミング・プール [DVD]
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フランソワ・オゾン監督が対照的なふたりの女の駆け引きを描いたサスペンスミステリー。執筆活動中の作家・サラの別荘にひとりの美女が訪ねて来る。最初は彼女を嫌っていたサラだが、次第にその不思議な魅力に惹かれていく。

◆対照的な女優の演技が見どころ

 中高年の女流作家と、あばずれな若い女性という対照的な役どころを演じている二人の女優陣が好演している。

 中高年の女流作家サラ・モートンを、シャーロット・ランプリング(愛の嵐)が演じている。英国の気高い女性像をリアルに表現している。当時50代後半と思われるが、若い頃の美貌が感じられる。映画のなかでは全裸になるシーンもある。

 社長の娘ジュリーをリュディヴィーヌ・サニエが演じている。当時はまだ新人であり、この作品で一躍売れっ子になったそうである。当時20代前半であり、映画では、その魅力を惜しげもなく披露している。ほとんど裸同然のシーンが多い。

あばずれ=人ずれがして厚かましく、身持ちが悪いこと。すれっからし。

スイミング・プール/概要

<スイミング・プール/Swimming Pool>
 南仏プロヴァンスの美しい風景を舞台に繰り広げられる、リュディヴィーヌ・サニエの若く挑発的な魅力と、シャーロット・ランプリングの成熟した大人の女の色香の調和も素晴らしい、何ともゴージャスで薫り高きミステリー。

<ストーリー>
 スランプ中の英国のミステリー作家、サラ(シャーロット・ランプリング)は、南仏にプール付き別荘を借りる。しかし突然借り主の娘、ジュリ-(リュディヴィーヌ・サニエ)が現れ、彼女の生活は一変する。

<スタッフ&キャスト>
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
  :エマニュエル・ベルンエイム
製作:オリヴィエ・デルボス
  :マルク・ミソニエ
出演者:シャーロット・ランプリング
   :リュディヴィーヌ・サニエ、ほか
公開:2003年(日本2004年)

<映画の雰囲気として>
 全体にフランス映画らしいムードが漂っている。端的にいえば、粋でおしゃれであり、南仏プロヴァンスのロケーションの良さが魅力をさらに高めている。

 映像から受ける印象は、なんとなく「雨の訪問者」を彷彿させるところがあった。謎が謎を呼ぶところも似ていたように思うがいかに。

「雨の訪問者」1970年
 監督ルネ・クレマン、出演チャールズ・ブロンソンのフランス製ミステリー。
雨の中、突然見知らむ男が訪ねてくることから事件が起きるミステリー映画である。チャールズ・ブロンソンが謎のアメリカ人を渋く好演している。

追記:
 監督は、映画の解釈は観客に委ねると言っている。したがって、解釈はいく通りもあってかまわないということだ。ちなみに、当方は、社長の娘ジュリーは女流作家の妄想であり、心の内なる反映ではなかったか、と感じています。

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