■極私的アート展覧会|草間彌生の超絶的センス・オブ・ワンダー 類稀なる独自性がそこにある

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草間彌生は、すべてがアートだ

その世界は、ひとえに凄すぎる

 草間彌生といえば、世界に通じる数少ない日本人アーティストのひとりである。

 最近では、その知名度が高くなり、一般人にはかつての岡本太郎と同等か、それ以上となっている。しかし、岡本太郎と違っているのは、現在進行形の現代美術の世界で一線にいることである。これはかなり凄いことだ。

 しかも、日本だけではなく、その人気と評価は世界に共通している。むしろ、日本より世界の方が草間彌生を理解しているかもしれない。

 なにしろ、50年代に渡米して一躍ネット・ペインティングで注目されたが、日本ではまったく評価されていなかったとか。60年代にはハプニングの女王として一躍前衛の最前線に躍り出るが、これもまた、日本ではいかがわしいものとされた。

 当時の日本では、あくまでキワモノという存在感でしかなかった。

 日本には、画壇というものが存在している。当時はその画壇がいまよりずーと幅を利かせていたのは間違いない。世界で認められても、日本の画壇が認めなければ、日本に居場所はない。そんな時代であった。

 そういえば、イサムノグチもまたおなじく、日本では冷遇されていた。日本では、日本でしか通用しない価値観の方が大事にされたと言っても過言ではない。

 草間彌生は、70年代になって日本に戻っている。それは個人の意に反したことだったようだが、それもまた運命であった。日本に戻った当初は、苦難が続いたようだ。なにしろお堅いスクエアが支配する日本である、またアートの世界では画壇という鵺のような存在が幅を利かせていたからだ。

 しかし、それでも草間彌生の想像力、創作意欲は衰えることはなく、アートの制作に邁進してきた。アートは草間彌生にとって、もはや呼吸することとおなじく、生きていくことに欠かせない生命装置の一部となっていた。

 アートなくして草間彌生はなく、その逆もまた真なりか。

 そんな草間彌生さんは、このところ旺盛な創作意欲が止まるところがないようだ。ちなみに、草間さんは87歳になるそうだ。

 現在、毎日2メートル四方の作品を描き続けている。「わが永遠の魂」と名付けられたそのシリーズは、約7年間ですでに500点を超えたといわれる。目標は1000点といわれるが、草間さんはあと3年で90歳になる。

 とにかく、これを凄すぎると言わずして、何をそう言うかである。

草間彌生 わが永遠の魂


引用:http://kusama2017.jp/profile/img/pic01.png

 草間彌生のペインティングシリーズ「わが永遠の魂」展が、国立新美術館で開かれていた。まだシリーズは途中だそうだが、すでに500点を超えているとか。画面サイズは、すべて2メートル四方に統一されている。(正確には198センチ)

 なぜ2メートル四方なのか、それは知る由もないが、画面から迸る世界観を感じるには、ちょうど良いサイズなのかもしれない。

 画面から漂ってくる雰囲気は、とにかく溢れ出てくるイメージを描かずにはいられない、という草間彌生の気持ちが伝わってくるようだ。

 その創作スピードも半端ない。とにかく次々と思い浮かぶイメージを描くために、驚異的な集中力で作品を完成させているようだ。また昼間はスタジオで大作を、そして夜は自宅で小品を描いているとか。

 まるで残された時間を惜しむかのようだ。それは草間彌生にとって、まさに命を懸けて創作にあたっている、と言っても過言ではない。

 溢れ出るイメージをどれだけ具現化できるか、それは時間との戦いといえる。

「わが永遠の魂」とは、草間彌生のいわば遺言であり、また生きた証となるシリーズであるに違いない。芸術新潮のインタビューで以下のように答えている。

 死ぬまで描き続けたい。死んだあとも、「ああ、草間さんって、こういう絵を描いていたのか」と、それで若い人たち、未来の人たち、そんな人たちの心を感動させたい。そういった作品をたくさん残して、死んでいきたいと思っています。

 まるで草間彌生の命は、アート作品を制作するためにあるようだ。彼女はいま、残された時間のすべてをアートに捧げようとしている。

 わが永遠の魂……、それはアートとともに。


会場風景
引用:https://www.fashion-press.net/img/news/25879/DSC05624-1.jpg

 2メートル四方の作品を上下2段で隙間なくずらーと展示している。その圧倒的な迫力は写真でも半端なく伝わってくる。一分の隙間もないところが草間彌生らしいといえる。また、作品には草間彌生にしかない独自性が存分に表れている。


会場風景
引用:https://www.fashion-press.net/img/news/25879/DSC05764.jpg

 壁面によっては、作品が上下3段に展示されている。この迫力にはなかなか遭遇できないに違いない。作品の質もいいが、それより量的な迫力に圧倒されそうである。連作はそれが狙いかもしれない。とにかく生命力が溢れている。


会場風景
https://www.fashion-press.net/img/news/25879/DSC_6929.jpg

 おなじみの花のオブジェも展示されている。このタイプのオブジェには、高さが10メートルになるものがあるらしい。


草間彌生アートグッズのコーナー
引用:http://kusama2017.jp/goods/img/pic01.png

 草間彌生アートグッズの数々。草間は、60年代頃からファッション関係の会社を設立したりして、自身の作品の商品化を試みている。それはいまでも変わらずに続いているようだ。その個性が遺憾なく発揮されたグッズばかりだ。


作品:わが永遠の魂シリーズ
引用:http://marco-g.net/wp-content/uploads/2017/02/slooProImg_20170227005717.jpg


作品:わが永遠の魂シリーズ
引用:https://pbs.twimg.com/media/DAZjAtCXkAAoCId.jpg


作品:わが永遠の魂シリーズ
引用:http://www.tokyoweekender.com/wp-content/uploads/2017/04/tokyo-weekender-yayoi-kusama.jpg

草間彌生「わが永遠の魂」案内サイト
開催期間:2017年2月22日-5月22日 場所:国立新美術館

草間彌生のニューヨーク時代


引用:http://www.nippon.com/ja/wp-content/blogs.dir/2/files/c03703_ph03.jpg

 ネット・ペインティングと呼ばれた「無限の網シリーズ」。この作品群によって実質的なデビューを飾る。当時評論家だったミニマルアートの巨匠ドナルド・ジャッドは、その作品の独自性を高く評価しアート界に認知させた。

 ちなみに、この作品群は、ミニマルアートの先駆的な作品ともいわれている。そして、のちの水玉モチーフにも繋がっていく。


引用:http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryuuzanshi/20110716/20110716150925.jpg

 若い時の草間彌生。その眼光の鋭さはいまでも変わらない。意志の強さがなんとなく伝わってくるようだ。アートに生きる、その覚悟の表れかもしれない。


引用:http://www.edit-marks.jp/special/images/special_kusama_NY.jpg

 左は幼少の頃、右はニューヨーク時代初期と思われる。背景に自身の作品ネット・ペインティングとニューヨークの街並みが見える。


引用:http://livedoor.blogimg.jp/kaikaihanno/imgs/a/a/aa0b8b03-s.jpg

 たぶん60年代、ソフトスカルプチュア(柔らかい素材のオブジェ)の上に水玉のペイントをした裸の草間彌生が横たわっている。この当時はすでにハプニングなどをしていた頃と思われる。


引用:https://cdn.clipkit.co/tenants/8/item_images/images/000/020/543/medium/955495e1-d24e-4442-b9d7-170e86688e9a.jpg?1490865943

 ジョージア・オキーフ(画家)は、草間のニューヨークのスタジオを何度か訪問している。そして、草間を美術関係者に紹介するなど支援をしていたといわれる。もとは草間がオキーフに送った作品と手紙によって交流が始まったそうだ。

 オキーフの鋭い顔つきと、草間の顔つきとがなんとなく似ている。


引用:http://www.tate.org.uk/sites/default/files/styles/grid-normal-12-cols/public/images/kusama_with_joseph_cornell_in_new_york_1970.jpg?
itok=D1UeKqbN

 ジョセフ・コーネル(オブジェ作家)とは相思相愛だったといわれる。しかし、肉体的なものはなかったとか。とても強い精神性の結びつきがあったようだ。

 その他には、アンディ・ウォーホルとも交遊があったそうだ。しかし、ウォーホルには、アイデアを盗まれたと草間はのちに語っている。そういえば、草間のソフトスカルプチャの作品でシルバーに塗られた作品がある。

 ウォーホルものちにシルバー色の風船状の作品を作っている。とにかくニューヨーク時代の草間彌生は、多くの出来事に遭遇したようだ。

 それらの経験がいま活きているのか、それは知る由もないが、その経験は草間の血となり肉となり、そして精神に深く刻まれたことは違いないだろう。

参考:芸術新潮 2017年 04 月号 [雑誌] 草間彌生が凄すぎる

冒頭写真引用:
引用:http://kusama2017.jp/common/img/ogp.png

無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

草間彌生展「わが永遠の魂」 限定 YAYOIちゃん 人形
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