不都合な?自由展
アートとはなにか、自由とはなにか
さて、当サイトでは極私的な視点による「ネット限定の展覧会」を開催しております。今回はごく一部で話題となっている、名古屋方面の「どっかの展覧会」とはまったく関係なく(建前上ですが)、アートとはなにか、自由とはなにか、というテーマに基づいたアート作品をご紹介いたします。
ー「不都合な?自由展」の基本的な考え方ー
アートとはなにか、自由とはなにか。世界(人類)の歴史は不条理に満ちている。歴史は、平気で塗り替えられるし、また隠蔽されてきた。
そのような世界は、いつまで続くのか。それを変えるのは人類の知恵と勇気にかかっている。人類は馬鹿ではない、修正できるはずである。
世の中の動きに疑問を感じ一石を投じる、さらには考えるきっかけをつくる。
それがアートの命題および機能のひとつではないか、それは当たらずとも遠からずなり、そのように考えることができます。
パワー・トゥー・ザ・ピープル、人類に知恵と勇気を与えてください。
さて紳士淑女のみなさまへ、アートとは、自由とはなんですかーー。
当展覧会が、それを考える機会となれば幸いであります。
展覧会企画者/cragycloud
ー補足メッセージー
冒頭の動画は、覆面アーティストのバンスキー作品「少女と風船」がサザビーズのオークションで落札されたのち、額縁に仕掛けられた裁断機によって切断された際の様子を記録したものです。
バンスキーは、ストリートのアーティストですが、昨今ではその作品が高値で取引されるようになりました。動画にあるようにサザビーズのオークション会場は、お金持ちやその代理人で占められています。
それはアートバブルの様相を示しています。アートとはなにか、と考えざるをえません。バンスキーは、まさにその機会を創出しました。
バンスキー/バンスキーフラッグ
引用:https://theartofbanksy.jp/shop/banksy-flag/
太平洋戦争末期、硫黄島の攻防戦が大日本帝國とアメリカのあいだで行われた。この戦いの様子は、映画「硫黄島からの手紙」に詳細に描かれている。
アメリカは、予想以上の苦戦を強いられたが、それでも勝利した。そして擂鉢山の頂上にアメリカ国旗を掲げた。
この出来事は、いまでもアメリカ勝利の象徴として語り次がれている。
バンスキーは、この様子をストリートに置き換え、さらに兵士を黒人少年にして描いている。これが何を意味するか、「奢る者久からず」ということか。
レベッカ・ホーキンス/ライダイハン像
引用:https://www.sankei.com/world/photos/190801/wor1908010027-p1.html
ベトナム戦争での韓国軍による「女性暴行虐殺および混血児問題」を追及する英国の民間団体「ライダイハンのための正義」が、彫刻家レベッカ・ホーキンスに依頼し製作した当該活動を象徴する像である。
どっかの展覧会では、「慰安婦像」をアートとして展示したが、あれはなんだか腑に落ちない。なぜなら、あれがアートならば、中国の「毛沢東主席の肖像画」や、「レーニン像」もアートと同義といえるだろう。違うか。
個人的には、イデオロギー(ある主張と目的)の象徴となるアイコンはアートなのか、と思わずにはいられない。みなさんはどーでしょうか。なお、今回はあえて、疑問に感じながらも「ライダイハン像」をアートに入れてみました。
アートの定義は、個人および団体、また国家によってそれぞれ異なるのかもしれない。それが故に、現代アートを理解しがたくしている。
自由とはなんぞや、それを問うのがアートに課せられた命題かもしれない。がしか、個人的にはアートに社会変革を期待していない。ピカソのゲルニカは有名であるが、それによって戦争はなくなっていない。
柳 幸典/ヒノマル・イルミネーション
引用:http://artbasemomoshima.jp/exhibition/artist001_yanagi.html
タイトルどおりモチーフは日の丸であり、また旭日旗ともいえる。作者は、この作品でナショナリズムを高揚したいと考えた訳ではないだろう。
日の丸=日本であるのは間違いない。とすれば、なんともケバケバしく、光輝く、パチンコ屋の看板のようなこの作品は、いったいなにを意図しているか。
なんとなくであるが、現代の日本を象徴している気がしてくる。光り輝いてはいるが、なんとも安っぽく、それが日本という国家を想像させる。
そして、その先には国家とはなにか、という問いがあるようである。
アンディ・ウオーホル/小さな電気椅子
引用:https://www.cnn.co.jp/showbiz/35104804.html
死刑を宣告された犯罪人は、なにかの道具で処刑された。フランスではギロチンが有名である。ルイ16世もマリー・アントワネットもギロチンで処刑された。
アメリカの死刑に対処する道具は、電気椅子である。現在は違うようであるが、アメリカの死刑といえば電気椅子だったのは有名である。
アンディ・ウォーホルは、なんでも有名であれば作品にした作家である。その代表作は、マリリン・モンローやプレスリーなどのスターを題材とした作品だ。
とにかく、アメリカで世界に通じる有名なヒト・モノ・コトを作品にして、その結果自身も有名になった。その他のモチーフには、キャンベルスープ、ベトナム戦争、黒人暴動、ドル、フラワーなど多岐にわたる。
タトリン/第三インターナショナル記念塔(CG画像)
引用:https://www.tuad.ac.jp/museum/exhibitevent/index5.html
1917年のロシア革命前後、ロシアでは革命芸術が盛んになっていた。それが、のちにロシア・アヴァンギャルドといわれる芸術運動だった。
ロシア構成主義ともいわれるが、その革新性は、世界のアーティストに多大な影響を与えたのは言うまでもない。しかし、肝心のロシア国内では、革命政権によってロシア・アヴァンギャルドは弾圧されて、やがてロシアから消えてしまう。
スターリンが権力を掌握したあとは、全体主義を賞賛する写実的な絵画などが中心となって、革新性ある芸術などは反体制的とされた。
タトリンの第三インターナショナルは、革命を象徴する記念塔として計画されたが、実際に建設されることはなかった。やはりその革新性が疎んじられたか。
いま建設されても、とても新鮮なアート建築物となるにちがいない。
バンクシー/ジーザス・ショッピング
引用:http://andipa.com/artist/banksy/christ-shopping-bags
ストリートアーティストのバンクシーは、正体不明といわれる。ひとりなのか、あるいはグループなのかも不明だそうだ。匿名性というのが、現代的である。
とにかく、その活動範囲は広く、世界中にそのアートの足跡(グラフィティ)を残している。たしかシリアでは、戦闘地域にホテルを運営している。
この作品は、キリストを題材にしているが、その先にあるのはバチカンではないだろうか。ちなみにショッピングバッグはお金を意味している、と思われる。
たぶん、宗教とお金という古今東西の宗教問題を示唆しているはずだ。キリスト教の一大宗派カトリックでは、以前からお金に纏わる疑惑が囁かれてきた。
バンクシーの魅力は、テーマを直接的に訴求するのではなく、一捻りしたユーモア感覚があり、それを卓越した技法で表現するところではないか。
三流のアーティストは、過激であればいいとばかりに対象物を燃やしたり、または踏みつけたりすることで何かを表現した気でいる。それは単なるアジテーション(扇動)でしかないが、どこか勘違いしているのだろう。
その点バンクシーの作品は、やはり一流である。よーく見ると、または考えると過激であるが、それをわざと隠すようにしている。
その作品が価値ありと認知されたのも、うべなるかなである。
ロン・イングリッシュ/ゲルニカ(ピカソの再解釈)
引用:https://twitter.com/punxstilll/status/881146984718979072
グラフィティーアーティストが、ピカソのゲルニカをストリート感覚で再構成した作品。モチーフは、スターウォーズのキャラクターたちとなっている。
ゲルニカは、ピカソの代表作のひとつであり、また戦争の理不尽さを告発する絵画として超有名な作品である。
風間サチコ/ディスリンピック
引用:https://bijutsutecho.com/exhibitions/4022
2020年東京オリンピックが開かれる。とはいえ、二度目だから1964年のオリンピックを体験した人たち(おじんとおばん)は、案外醒めて見つめている。
オリンピックという大イベントで潤うのは、一部の政治家とその関係者、工事関係の建築業、広告代理店やテレビ局などであるのは、ほぼ間違いない。
おかげで建築費が高騰し迷惑だ、もはやオリンピックなぞいらん。
さらにいえば、国家持ち回り制度をやめて、いつでもギリシャかどこかでやってくれ、それを切に願う次第である。
風間サチコ氏のこの作品は、めゃちゃめちゃにでかい。縦242センチ横640センチもあるのだ。それをなんと木版で制作している。描かれた人の数は、なんと2400体もあるそうだ。気が遠くなりそうである。
今回の「不都合な?自由展」はここまでですが、時間をおいて追加したいと思います。また、いずれ第2回を開催したいと考えます。乞うご期待ください!
追記:
作品選ぶのと解説書くのが、とてもめんどーです。もっとたくさんの作品を掲載したかったのですが、あしからず。なお、後日追加する予定でいます。
注:画像は、クリックまたはタップすると拡大します。
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