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社会|いまファッションはどうなってるか コロナ禍で疲弊するアパレル業界の背景

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ファッションブランドの価値とはなにか

ラグジュアリーとオフプライス・ストア

 洋服が売れない、とくに中価格帯のアパレル小売が苦戦しているそうだ。アメリカでは、JCペニーが破綻し、ギャップも多数の店舗が閉鎖に追い込まれている。

 日本でもアパレルの老舗であるレナウンが破綻し、大手アパレル(オンワードやワールドなど)も百貨店からの撤退が続いている。

 アメリカでは、アパレルの重要な販売先であった百貨店が撤退や破綻に至っている。大型ショッピングモールでもテナントの撤退が続き、シャッター街化が進んでいる。アメリカの事情は、すぐに日本に押し寄せてくるのは間違いがない。

 90年代に隆盛を誇ったリミテッドなどはいまや見る影もなく、2000年代に一世を風靡したアバクロも存在感を失ってしまった。

 このようなアパレル、とくに中価格帯とリアル店舗の苦戦は、ネット流通の影響が顕著であると伝えられる。また、消費者の嗜好の変化もあなどれない。中途半端なブランド価値など、もはや顧客は求めていない。

 世界的な不況が伝えられるなかで、ファッションにお金を掛けられなくなっている。したがって、低価格のSPAであるZARAやH&M、ユニクロなどに顧客が集中しているのは否めない。

オフプライス・ストア
 最近の動向では、オフプライス・ストアが増大する傾向にあるそうだ。オフプライスとは、主に中間ブランドの余剰在庫品を低価格で投げ売りする業態である。

 アウトレットより安いのが特徴である。アウトレットは、たいして安くはないし(みなさんそう思いませんか)、ショッピングモールの一形態となっている。いずれ衰退する可能性が高いだろう。

 日本でもオフプライスは注目されて、ゲオが展開する「セカンドストリート」もオフプライス業態の展開に乗り出している。

オフプライス・ストアとは
複数ブランドにまたがって新品の商品を定価より安く販売する店舗、またはビジネスモデルのことだ。ブランドの余剰在庫を安価に仕入れ、高い値引率で販売する。

ラグジュアリーブランド
 一方、グッチやヴィトン、シャネルなどのラグジュアリーブランドは、あまり影響が見られない。金融バブルを背景に、売り上げを伸ばすブランドもあるようだ。

 老舗の高級ブランドは、固定客をがっちり掴んでいるし、昨今では金融バブルの恩恵を受けた新興の富裕層がバカスカと買っているようだ。

 コロナ禍前の英国ロンドンでは、高額商品を取っ替え引っ替えすることが、新興富裕層のトレンドとなっていたそうだ。

 具体的には、ロールスやベントレー、フェラーリという超高級車などがバカ売れし、それに乗るに相応しいファッションとして、ラグジュアリーブランドもおなじくバカ売れしたようだ。格差はここに極まれりという状態だった。

 ちなみにラグジュアリーブランドは、一般庶民に手が届かないところに価値がある。大量に売るわけでもなく、ごく限られた少数のリッチ層だけが手に入れる。そこに最大の価値があるはずだ。

 日本では、かつて高校生がグッチなどの財布をこぞって買っていたが、あれはブランドの価値を棄損してやまないことである。

 しかしブランド側は、なにを勘違いしたか、日本にはマーケットがあるとばかりに原宿や青山辺りに路面店を次々とオープンしている。

 日本では、金融緩和による金余りと、オリンピック景気を背景に「高級ホテル」や「高級ブランド」が次々とオープンした。

 はてさて、現在のコロナ禍が収束したあとも、それらに需要があるのかないのか、注目に値する。(歴史あるラグジュアリーブランドは生き残ると思われる)

ラグジュアリーブランドとは
高級嗜好品を売るハイブランドの事を指します。 たとえばルイ・ヴィトンやエルメス、シャネル、プラダ、グッチなど、皆さんも良くご存知の高級なブランドを指しています。

 このように最近の傾向を俯瞰してみると、ファッションブランドが、難しい立ち位置にあるのがよく判る。改めて、ブランド価値が見直される時期かもしれない。

 どう見直すか、それは残念ながら知る由もない。あしからず。

倒産したレナウン 一斉を風靡した頃がなつかしい

レナウン娘が街をゆく

 60年代、世の中にミニスカートが登場し、そして街は明るく活気に満ちていた。その当時の若き女性のオシャレをリードしていたのが、レナウンである。

 まだデザイナーズブランドなどはなく、海外有名ブランドは高嶺の花だった。レナウンは、「レナウン娘」というイメージキャラクターを創出し、小林亜星作詞・作曲のイメージソングとともに一斉を風靡した。

 それは、時代の気分というものを十分に感じさせる傑作だった。そのイメージ訴求は、当時の最先端といっても過言ではないだろう。

 その後レナウンは、「アーノルドパーマー」や「ダーバン」などを世に送り出し、同社の利益に大きく寄与したことで、我が世の春を謳歌した。

 そんなレナウンが、あれから半世紀を経て倒産した。さらに、いつのまにか中国企業の子会社になっていた。いったいレナウンに何が起きたのか。

 レナウンは、だれもが知ってる「レナウン娘」というブランドイメージを有しながら、時代の変化についていけなかったようだ。なんとか時代をリードできたのは、70年代初頭ぐらいまでではないか。

 70年代中期には、初期デザイナーズブランドが誕生し、そして渋谷パルコがオープンした。女性のオシャレは画一的ではなく、個性・多様性へと変化していく。

 女性のファッション意識と価値観の変化が、レナウンを片隅に押しやっていく。オシャレは、企業がつくるものではなく、個がつくるものへと変化したのだ。

 80年代、レナウンは遅ればせながら、レナウン娘のイメージチェンジを図る。ロックバンド「ブルーハーツ」を起用したCMの出来はよかったが、レナウンのブランド価値を向上するには手遅れ感が漂っていた。

 とにかく、デザイナーズブランドを着こなす人たちには、見向きもされなかった。(80年代は大デザイナーズブームだった)

 90年代、レナウンは、観月ありさをイメージキャラクターにした新ブランド「ΣΧΘΛΗ(スコレー) 」を立ち上げた。

 この「ΣΧΘΛΗ(スコレー)」は、衣服だけでなく生活雑貨なども扱い、無印良品を意識した総合生活ブランドとして登場した。しかし、MD(商品政策)に一貫性がなく、90年代半ばには、ブランド撤退を余儀なくされた。

 やることなすことうまくいかない、そんなレナウンは、もはやかつての輝きはどこにもなかった。なんとか生きながらえている、そんなイメージだった。

 90年代以降、アパレルはSPA(製造小売、安価販売)の時代となり、中途半端なブランド価値や価格帯では立ち行かなくなった。

 そして、2000年代以降は、もう忘れられていたに等しい。それでも、なんとか2020年まで持ちこたえたのは、ある意味ではたいしたもんである。

 なおレナウンは、90年初頭までアパレル企業として、世界最大の売上高があったそうだ。(ちょっと信じられないが、そうであるらしい)

 ΣΧΘΛΗ(スコレー)は、白がキーコンセプトのようだ。これは、無印良品の生成りをヒントにしたと思われるがいかに。

 それはさておき、観月さんがものすごく若い、そして手足が細くて長ーい。

画像引用:https://www.youtube.com/watch?v=qNMK1NBF0es

ある人の極私的ファッション史

 だれにでも時代とともに移り変わったファッション史がある。そこで、以下に某男性(おっさん)の事例を紹介したい。

70年代前半/VAN、JUNの時代
 若い人は知るわけない、それが「VAN」である。いわゆるトラッドといわれる、保守的なファッションであった。一方の「JUN」は、いまでいうモード系であった。流行に敏感なファッションであり、色気があった。

 ちなみに「VAN」はすでにないが、「JUN」はいまでも健在である。

70年代後半/初期デザイナーズの時代
 テレビドラマ「傷だらけの天使」を観て、メンズビギを知る。そして、青山キラー通りにあったメンズビギのお店へいき、スーツを買いました。

 その後、ニコルなども買うようになりました。なんと白いスーツも買いました。いったいどこに着ていくんだい、といまでは思いますが、当時はなんか舞い上がっていたようです。恥ずかしながら…。

80年代/デザイナーズ&キャラクターズブランドの時代
 デザイナーズとは、タケオ・キクチとか、ヨウジ・ヤマモトなどのことで、デザイナーがブランドの顔になっている。一方、キャラクターズブランドは、デザイナー名は表に出さないが、その個性を生かした商品グループのブランド。

 通称DCブランドといいました。この当時は、アーストンボラージュというブランドを買っていました。ディスコの店員さんなどが来ていたように思います。とにかく、エッジが効いていて、いまでは着られない、そんな服でした。

 あと覚えているのは、アニエスb、ポッシュボーイ、アバハウスなども着ていました。その他、セールで買った服は、いろんなブランドが入り乱れてました。

90年代/セレクトショップの時代
 ビームス、シップスなどのいわゆるセレクトショップに通うようになりました。その後、ユナイテッドアローズに移りました。

2000年代/安価SPA、ユニクロ、中古衣料品、グローバルワーク
 ブランドにこだわるということが希薄になって、ユニクロでいいいんじゃね、という風に変化しました。あと、中古衣料品があんがい使えることを知りました。

 それから、当時はまだポイントという会社のグローバルワークが気に入りました。価格も手頃でなんとなくビームスなどと似ていた。

2010年代/セカンドストリート、GU
 もはやオシャレは重要ではなくなった。とりあえず、安くても十分着られる服であれば、そんな価値観に変化しました。下着類は、ユニクロかGUのみ。

 それでもなお、かつてのブランド好きが高じて、セカンドストリートでユナイテッドアローズやビームスなどが安価であれば、ときどき購入しています。

 ちなみに、いま好きなブランドは、グローバルワークです。といっても中古品で買っています。あしからず。

 以上が、某男性のファッション史です。メンズビギは懐かしいですね。

 そういえば最近、アマゾンプライムビデオで「傷だらけの天使」が観られるようになりました。やはりショーケンは格好よかった、水谷豊もいいね。

おまけ/カトリーヌのテーマ

 映画「パリのめぐり逢い」の挿入曲「カトリーヌのテーマ」は、当方の記憶ではJUNのテレビコマーシャル(たぶん70年代か)で使われていました。

 オルガンがもの寂しく鳴り響き、なんともいえない郷愁を誘っていたと思いますが、定かではありません。

 朽ちかけた中世の城の様な場所で撮影されたCMでした。これが、なぜか最近記憶に蘇ってきます。YouTubeにないかと探しましたが、その欠片さえありません。わずかにテーマ曲だけはありました。ただし、バージョンが違います。

 朽ちかけた城の階段を若い男と女(昔の衣装を着ている)がのぼっていく、たしかそんな情景描写だったはずですが、いかんせん記憶がたしかではありません。

画像引用:https://twitter.com/kaz_raidou/status/863730002436603905?lang=ga

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