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社会|日本ではイノベーションが生まれない? 45歳定年制の是非

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めんつ・無関心・不寛容

日本ではイノベーションが生まれない?
 日本では、イノベーションが生まれにくいといわれます。その大きな原因は、「めんつ」「無関心」「不寛容」の3大要因にあるそうです。

 さらにいえば「波風を立てない」というリスク回避の姿勢が新しい機会の創出を妨げています。言葉を変えれば、前例に忖度することで機会を喪失しています。

 したがって、イノベーションなど生まれようもありません。

 日本型組織においては、思ったことを「言えない」「できない」空気が根深く存在しており、これまた生産性が上がらない理由となっています。

 なにかを恐れて忖度することが当たり前の社会、それが日本のいつまでも変われない姿であるといえるでしょう。これでいいのでしょうか。

 当然ながら、いいとは思えないですよね。しかし、あまりに根が深く、そして幹が太いのが現状でしょう。モンサントの毒性の強い除草剤でも蒔きたくなります。

 代表的な事例として、東芝や三菱電気などがあげられます。東芝は不正会計を代々の社長が受け継いできました。三菱電気も不正な製品審査を繰り返してきました。いずれもイノベーションとは真逆の姿勢です。(他にもあり)

 それら企業では、トップや経営幹部はめんつを保つことを優先し、社員は波風を立てないようにと無関心に、そして心ある少数社員の声は排除されてきました。

 東芝の社長などは、イノベーションどころか、不正会計で売上げを底上げしていた。それなのに、経団連の会長になることを目指していたそうだ。

めんつ=「体面をつくろう」、表面だけをつくろって威厳を保つ態度、行動を意味している。
無関心=物事に関心・興味が乏しく、気にもかけないこと。
不寛容=心がせまく、自分の価値観と異なる物事を排除する姿勢。

 日本の大企業をはじめ多くの企業では、新卒採用にあたって相変わらず協調性を基準としているようです。つまり出る杭となる人材は排除する。(一部企業では人事部中心の採用を止めたようですが、確かではありません)

 また人材の適材適所とずいぶん前からいわれていますが、それもたんなるお題目で終わっているのが現状のようです。(適材適所を判断できる人材がいない)

 協調性を基準に、金太郎飴のような人材ばかり集めて、いったいどうしようというのでしょうか。不思議を通り越して言葉もありません。

 東大卒でもパワハラなどを苦にして自殺したりしています。これはトヨタや電通で実際に起きたことです。メディアが取り上げたので広く知られましたが、その裏では表にでない多くの似たできごとがあると思われます。

 日経などを見ると大企業の経営者は、実にまっとうなことを、そして先進的とも思える考え方を披露しています。がしかし、その実態はどうでしょうか。日経の記事は、眉唾で見るのが正解かもしれません。

 所詮はダブルスタンダードであり、建前主義でしかありません。違うでしょうか。過去のルールや価値観ではイノベーションが生まれる余地はありません。

 日本の企業の課題は、中間管理職の革新ではないかと考えます。なぜなら、これまでの管理職といえば、部下を管理することでした。(いうまでもなくトップが変わらなければ、下も変わりませんが)

 しかし、本来のマネジメントを考えると「過去のルールや価値観」によって行われる管理という考え方では、企業の将来性にとって大きな損失になります。

 中間管理職は、主に短期的に結果をだそうとします。その結果、部下は「言いたいことがいえない」「やりたいことができない」ことにつながります。(一部の企業では管理職を立候補制にし、人事部基準の昇進制度を止めたそうです)

 そして、若く優秀な社員ほど早期退職し、他社に転職していきます。

 日本の科学や技術などの研究者が、中国企業に多く転職されていると訊きます。それもおなじような背景を理由としたものと想像できます。(単純にお金という説もありますが)

 明けない夜はないといいますが、きっと日本の企業もいつかは変わるはずと思います。しかし、日本では問題の根が深く根付いているので、まだまだ時間が掛かりそうです。あまりに「遅きに失する」とならないよう願います。

 リストラして、景気回復を待つなんてことばかり繰り返しては、アメリカどころか、中国や韓国にも抜かれていくでしょう。

 実際、半導体や家電などはとっくに追い越されてしまいました。

 最近、企業は早期退職を促す傾向が顕著となっています。主に中間管理職がターゲットになっていますが、ある意味では過去のルールや価値観でしか仕事ができない人材を整理するという動きかもしれません。

 日本政府は、65歳、70歳までの定年延長を制度化するよう企業に求めていますが、それが形骸化するのは自明の理となるでしょう。

 社内で「めんつ」「無関心」「不寛容」が、いつもの光景となったら、その企業は先行きが危ういと思ってほぼ間違いないはずです。(個人的な見解ですが)

東芝社長の「心理的安全性」 忖度がしぼませる血気
「波風立てない」が招く短期主義経営
心理的安全性はここ数年で広まった言葉で、本来は上司と社員に生じがちな問題の根源を指す。米グーグルが2012年に実施した調査が有名で、社員が思ったことを「言えない」「できない」空気がある組織では働きがいを感じることができず、生産性も悪い。その結果、技術革新が生まれにくくなる、というものだ。

日本ではハラスメントが花盛り

ハラスメント(Harassment)とは
いろいろな場面での『嫌がらせ、いじめ』を言います。 その種類は様々ですが、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します。

 ハラスメントは、1997年の男女雇用機会均等法改正によって設けられた規定だそうです。20年と少し経ていますが、注目されるようなったは比較的最近だと思います。2019年にはパワハラ防止策が企業に義務付けられました。

 広告大手の電通で20代の若い社員(東大卒)が、過労とパワハラを苦に自殺したことが大きく報道されました。そのあたりから、ようやく企業でも重い腰をあげて対策を施すようになっています。

 それでも、いまなおハラスメントに関する問題は多く存在し、やむことなく続いています。なぜでしょうか、日本人の性質なのでしょうか。(日本だけでなく世界中でこの問題はあるようですが)

2014年の男女雇用機会均等法の改正で、セクシャルハラスメントについて予防と事後対応の徹底が盛り込まれる。

2019年の改正労働施策総合推進法成立で、企業に対しパワーハラスメントについての防止策が義務付けられる。

<ハラスメントの種類>
・パワーハラスメント
・リストラハラスメント
・モラルハラスメント
・セクシャルハラスメント
・マタニティハラスメント
・ジェンダーハラスメント
・ラブハラスメント
・エイジハラスメント
・ソーシャルハラスメント
・パーソナルハラスメント
・スメルハラスメント
・スモークハラスメント
・アルコールハラスメント
・カラオケハラスメント
・テクノロジーハラスメント などなど

 上記したように実に多くのハラスメントが存在しています。日本企業の生産性が低すぎるとよくいわれますが、むべなるかなと思わざるを得ません。

 人を脅したり、怒鳴ったり、人間性を否定したり、とにかく考えられる限りの圧をかけて働かせても、生産性が上がる理由がありません。

 しかし、いまだに中途半端に権力を握った層は、圧をかけることが部下を統率することだと思い込んでいます。いやはや。

 また、なぜかパワハラの常習者が、トップ層に気に入られたりしているのが日本企業の特徴ではないでしょうか。そんな例をよく見かけませんか。

 とくに日本の未来を担う若い人たちをターゲットにしたハラスメントが止まない限り、日本の未来は暗いと言わざるを得ないでしょう。

45歳定年制は、すでに現実化している

45歳定年制、これが企業の本音か
 先日、サントリーの新浪剛史社長が、45歳定年制を提言したところ、ネットを中心に怒涛の非難が押し寄せて、新浪社長自身が謝罪するに至りました。

 新浪社長はビジネスエリートであり、経済合理主義に主眼があると思われます。したがって当然の帰結であり、経団連企業なども同義であるのは間違いない。

 数値的にみれば人的コストは、最大のリスクであり、また働かないおじさんをなんとかしたいと思うのは、経営者として当然かもしれません。

ホンダ「55歳で退職金8000万円」、残っても地獄の管理職剥奪!
そのホンダが、本気のリストラに着手。今年4月に募集をかけた「早期退職プログラム」には国内正社員の5%に相当する2000人もの社員が殺到した。

 しかし、一方では日本の労働環境が何十年も変わっていない問題があります。例えば、アメリカなどでは機会があれば何度でも転職するし、また独立に失敗しても再チャレンジする機会を得ることが比較的容易だそうです。

 ところが日本では、相変わらず、協調性や忠誠心といったものを企業は重視してています。転職は、負の要素であり好意的には見られません。また独立で失敗は許されません。再チャレンジは望むべくもありません。

 アメリカなどでは、起業した人間に投資するエンジェルが多くいる。さらに成功したベンチャーや起業家もまた投資する、という具合に資金が循環している。

 一方、日本では前例のない未知の新規事業に投資するのはリスクとされている。一部の政治家や利権案件は別として、おおむね資金は集まらない。

 現在、経済産業省が進めている中小企業事業再構築補助金では、積極的な構造転換を推奨しているが、いざ申請しようとすると新規事業の裏付けとなるデータが重視されるようだ。これは本末転倒ではないか。

 要するに前例のない新規事業では、補助金が支給されることはない。投資に関する基本姿勢に、日本とアメリカでは大きな違いがあるのは否めない。

 そのような労働環境のままで45歳定年制とした場合、社員は数少ない経営幹部登用の機会よりも、45歳までの転職や独立を前提とした人脈作りや能力向上に励み、会社の仕事は程々に、ということになりかねないでしょう。

 実際は、45歳からの転職は大変難しいので、40歳前後で決断することになるでしょう。とすれば、大卒で入社すれば約20年しかありません。

 さて、はたして、45歳定年制は実現するでしょうか。

 日本企業の体質を鑑みると、表立って制度化するのではなく、それとなく同じような仕組みを構築し現実化していくような気がします。

 なぜなら、もうすでにリストラでは45歳がターゲットとなっているからです。少し前では、50代以上がターゲットでしたが、昨今では45歳からの早期退職を促す事例がちらほらと垣間見られます。

 したがって、新浪社長の45歳定年制は、なにも突拍子もないものではなく、背景があっての提言だったことが理解できます。

 とはいえ、大企業が揃って右へ習えするなら、あえて逆張りする企業があってもいいかもしれません。どんなもんでしょうか。

 45歳定年制では、いまと同じ給与体系で優秀な社員が集まるとは思えません。たぶんですが、いまの倍ぐらいの給与体系にする必要があると想像します。

アメリカ型ビジネスエリート」が強引にすべてをリードする時代の終焉
最近サントリーの新浪社長の「45歳定年制案」が日本中で総スカンになっていたように、「日本社会の現状に理解が薄いアメリカ型エリート」が強引に全てをリードしていくようなあり方への反発が非常に高まっている 

恐れのない組織
エイミー・C・エドモンドソン Amy C. Edmondson
ハーバード・ビジネススクール教授。リーダーシップ、チーム、組織学習の研究と教育に従事し、2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続けている。

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