錯綜するアメリカの人権意識
Black Lives Matter(黒人の命は大事)
2020年5月25日、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで白人警官により首を圧迫されて黒人男性(アフリカ系アメリカ人)が、死亡する事件が発生した。
これを機に、全米各地で抗議行動が巻き起こった。当初は平和的な”Black Lives Matter”抗議運動であったが、すぐに暴動へと発展し、公共施設や商店などへの略奪、破壊行動が顕著となった。
いわゆる黒人暴動といわれる事案は、過去にもあったが、今回の抗議デモやそれに伴う暴動は過去にない広がりを見せている。ある意味では、アメリカでも未曾有の様相を示している。
ちなみに、抗議デモに集まった人々と、暴動=略奪、破壊を行っている人々は、まったく別の趣旨で活動している、といわれる。
なかでも「アンティファ」という日本では、あまりなじみのない団体の活動が注目されている。この団体の目的を端的にいえば、世の中に混乱を巻き起こし、秩序を破壊することにより無政府状態にすることにある、といわれる。
ほかには、中国の息のかかった団体が活動および支援に動いている、といわれる。たしかではないが、米中冷戦状態のなかでは何が起きても不思議ではない。
<抗議活動団体の概要>
平和的抗議デモ派=Black Lives Matter(黒人の命は大事)抗議運動
略奪、破壊、暴動派=アンティファ(無政府主義者)および、この機に乗じた人々
自治区宣言派=民主党サンダースの支持者である社会主義運動家たちといわれる
プロパガンダ派=中国の金銭的な支援で活動する正体不明の団体
アフリカ系アメリカ人のコミュニティに端を発した、黒人に対する暴力や構造的な人種差別の撤廃を訴える、国際的な積極行動主義の運動である。特に白人警官による無抵抗な黒人への暴力や殺害、人種による犯罪者に対する不平等な取り扱いへの不満を訴えている。
アメリカでは、けっしてコロナ禍が収束したわけではない。地域によっては感染者が増大しているところもある。(フロリダとか、感染者が増えている)
そのなかでの抗議デモの広がりと暴動騒ぎである。2020年11月には、大統領選も控えている。もはや選挙活動も従来通りとはいかないに違いない。
これらの出来事は、再選を目指すトランプ大統領に、いわば大災難となって襲いかかっている。いったい誰が得をするか、それを見極める必要がある。
大統領選挙を目前にして、民主党もこの機に乗じてとばかりに政府攻撃をすれば、ブーメランのように自らに返ってくる。なぜなら、民主党のオバマ前大統領も8年間政権にいながら、この問題をいわば放棄していたからだ。
日本のマスコミは、どちらかといえば民主党よりに偏り、なかでもオバマ前大統領を正義として報道する傾向にある。
しかし黒人暴動の根は深い、共和党も民主党もおなじ穴のムジナではないか。
Black Lives Matter(黒人の命は大事)運動の経緯
2013年2月、フロリダ州で黒人少年のトレイボン・マーティンが白人警官のジョージ・ジマーマンに射殺された。これを機に各SNS上で#BlackLivesMatter(BLM)というハッシュタグが拡散された。翌年の2014年には、7月にニューヨークでエリック・ガーナーが白人警察官による過剰な暴力により死亡し、8月にはミズーリ州ファーガソンでマイケル・ブラウンが白人警察官に射殺された。
マイケル・ブラウン射殺事件の翌日にミズーリ州ファーガソンで行われたデモ行進と関連した暴動でBLMは世界的に認知されるようになった。
そして、この騒動以降、アフリカ系アメリカ人が犠牲となった警官の過剰な治安維持行為を糾弾するデモが拡大していく。(ウィキペディアより)
ワシントン州シアトルの一角には、抗議デモ派が勝手に自治区の発足を宣言したそうだ。この抗議デモ派は、どうやら民主党系の社会主義者のグループではないかといわれている。その証拠に民主党系の市長は、黙認しているようだ。
画像引用:https://afri-quest.com/archives/22276
「アファーマティブ・アクション」について
一部の黒人は優遇されている?
「アメリカは、なんてひどい国だ」、と決めつけるのは単純すぎる。アメリカには、黒人を奴隷として売買し酷使してきた歴史がある。そして長い時を経て60年代の公民権法制定により、一応、法律上の平等な地位を獲得した。
しかしながら、人種的偏見の根は深く、機会均等は簡単ではなかった。そこで、黒人の地位向上を目的に、役所や企業、大学に黒人を優先的に(もしくは白人と同数)採用することを義務付けるアファーマティブ・アクション政策が取られた。
しかしながら、理念はすばらしいが、制度上の問題点が度々指摘されている。
具体的には、黒人やヒスパニック系には、大学入学、就職、昇進機会などで優遇し、一方アジア人に対する扱いは例外であり、学業成績が優秀であったとしても評価基準の曖昧な「人物評価」において低い点数をつけられたりしている。
また白人など多数派が、学歴や職を得るのを阻害しているとの批判も存在する。
例えば大学入試において、おなじ成績なら必ず黒人には点数が加算され、白人は不合格になるそうだ。おなじことは、就職や昇進の機会でも行われている。
アメリカのドラマを見ていると、警察トップが黒人であることが多い。一方、白人警官は昇進する機会に恵まれない。そのあたりも白人警官による暴力過多の背景にありそうだ。(あくまで推測ですが)
弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための改善措置のこと。民族や人種や出自による差別と貧困に悩む被差別集団の、進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置や、試験点数の割り増しなどの優遇措置を指す。
ちなみに、オバマ前大統領の娘さんは、この制度を最大限利用してハーバード大学に入学したとか、いわれています。(〇〇が悪いと有名だそうだ)
アメリカの大学入試競争においては、合格ラインが人種枠ごとに引かれており、アジア系は他人種以上に成績をあげることが必要だそうだ。
このアファーマティブ・アクション(黒人を優先的に採用する)政策によると思われる、行政や警察のトップおよび幹部層には黒人が多くいるようだ。それでもなお、人種差別問題が解決しないのは、なぜなのだろうか。
なんともはや、アメリカの闇は深過ぎると言わざるをえない。
アメリカの人種差別の歴史
大英帝国の奴隷商人
1776年に英国から独立したアメリカでは、欧州大陸から移民してきた白人が多数を占めて、かれらに奉仕する奴隷としてアフリカから多数の黒人が連れてこられた。(奴隷商人の多くは英国人など)
また、黒人奴隷に対する差別は合法とされていた。17世紀から19世紀にかけて、およそ1,200万人のアフリカ人が、奴隷業者により売買取引されて、欧州大陸やアメリカ大陸に強制的に連れて行かれた。
19世紀後半のアメリカには、約400万人の奴隷がいたそうだ。
リンカーンと奴隷制の解放
アメリカに送られた黒人奴隷の多くは、綿花農場などで過酷な労働に従事していた。その後、奴隷制度に多くの疑念が生じて、1860年11月に行われた大統領選挙では奴隷制が争点のひとつになり、奴隷制の拡大に反対していた共和党のエイブラハム・リンカーンが当選した。
しかし、リンカーンの政策に反対する南部諸州は、合衆国を脱退した。そして、1861年、アメリカの内戦である南北戦争がはじまった。
南北戦争は、1865年リンカーン指揮下の北部が勝利して終結した。その後、リンカーンは、奴隷制度廃止、公民権の付与、黒人男性へ参政権を付与する、3つの憲法修正条項を追加したことで、黒人奴隷の「解放」が表向きは実現した。
しかし、ことはそう簡単には進まなかった。人種差別はその後も続き、長い間黒人は、白人と同等に扱われることはなかった。
公共施設や交通機関(交通機関、トイレ、学校や図書館などの公共機関、さらにホテルやレストラン、バーなど)で、あからさまな黒人分離が行われていた。また、軍隊でも黒人は分離隔離されていたそうだ。
50年、60年代の公民権運動により、1964年に黒人の公民権法が制定され、長年アメリカで続いてきた法の上での人種差別は終わりを告げることになった。
一応、法制度上では差別はなくなったが、それでも現在に至るまで人種差別が根絶されていないのが、現状である。
Black Lives Matter抗議運動に伴い、新たな政策が付与されるか否か。次のアメリカ大統領に、重い十字架が背負わされたといっても過言ではない。
アンティファについて
日本でなじみのなかった、「アンティファ」という団体がクローズアップされている。このアンティファ(Antifa)とは、「アンチ・ファシズム」の略で、極左組織のことを指すそうだ。
無政府主義であり、政策改革より暴力を辞さない活動が特徴となっている。なにを目指しているか、不明な点が多々有る。たぶん、民主主義社会に混乱を起こすことが主目的であり、具体的な改革案はなさそうである。
あえていえば、世界を無政府状態にすることかもしれない。
各地で姿を現す日本版「アンティファ」の実態に迫る
「私はアンティファの活動をしている者だ。6月12日15時30分に、外国人を虐待している入国管理局と渋谷警察署の施設内で手榴弾2個を爆破する。爆破に失敗した場合は、1時間後に入国管理局と渋谷警察署で関係者を包丁で斬りつける」
とにかく、このアンティファは、アメリカではデモがあるとその目的いかんに関わらず、その活動に参加しているそうだ。
デモ活動を活発化させることを目的化していることが垣間みられる。デモの様子がSNSなどで拡散され、それに同調する人たちが活動に参加する仕組みができてるようだ。なんとなく、ISISといわれたイスラム国に似ている。
なお、上記内容はあくまで個人的な見解であることをご了承ください。
米国民の大半は暴徒の無法行為を肯定せず
トランプ大統領は暴動を鎮圧するために米軍の派遣を示唆した発言を行った結果、大手リベラルメディアから激しい批判に受けるとともに、反トランプ色の強い共和党関係者からも同大統領の指導者としての資質を疑う声が上がった。日本人の有識者らはこれらの発言を取り上げる形で大々的なトランプ批判の言論を煽っていた。
しかし、米国の著名な調査会社Morning Consultが5月31日・6月1日に実施した世論調査によると、トランプ大統領の「警察を補完するために軍隊を派遣する」という考え方を支持する米国市民の割合は58%、つまり過半数の人々は同大統領の方針を肯定していることが判明した。
つまり、米国民の大半は暴徒の無法行為を肯定しているわけではないのだ。
おまけ/町山智浩のアメリカの今を知るTV
オークランド在住の映画評論家、町山智浩氏が伝えるアメリカの現状報告である。日本のマスコミが伝えないリアルな現状が垣間見られます。
追記:
日本のマスコミは、トランプ批判一辺倒の報道しかしていないが、その理由はどこにあるのだろうか。トランプも怪しいが、民主党とオバマも同じくらい怪しい。
いまさらであるが、アメリカでは人種差別の問題だけでなく、銃規制なども根本的な解決を避けているとしか思えない。
アファーマティブ・アクション制度も一部の黒人富裕層には有利に働いても、その他多数の一般黒人層は、その恩恵にも授かれないようだ。(例/大学の学費が高い)
別に当方は、トランプを応援してる訳ではないが、マスコミの偏り具合がなんか気になる今日この頃である。いやはや。
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