武器展示会という摩訶不思議な現実
日本では、2014年に武器輸出3原則が緩和されて一定の条件が整えば、武器を輸出できるようになった。ところが、一旦世界に目を向ければ、そこは異次元の如くであり、武器が当たり前のようにショールームで売られている。
毎年のように世界各国で武器展示会は行われて活況を呈しているといわれる。リーマンショック後は、一時低迷したらしいが、最近ではまた盛り返しつつあるらしい。武器輸出は、とくにアメリカ、EU、ロシア、中国などが積極的といわれている。とにかく、先進国は大抵武器を輸出しているとみて間違いない。
日本でも遅ればせながら、潜水艦や飛行艇の輸出を試みているが、まだ成果は出ていないようだ。国内では、一部勢力による武器輸出反対運動もあるが、動き出したこの流れは止められないと思われる。
なぜなら、それが世界の潮流であるからだ。日本だけ蚊帳の外にいられるはずがない。軍事技術が、やがて民間移転して民生品(インターネットなど)になることから、技術の育成および維持の意味もあるようだ。
武器輸出三原則に代わる新ルール
新たなルール「防衛装備移転三原則」は、1)国際的な平和と安全の維持を妨げる場合は輸出しない。2)輸出を認める場合を限定して厳格に審査する。3)目的外使用と第三国移転は適正管理が確保される場合に限る。――という構成になっている。紛争当事国や安保理決議の違反国などへの禁輸を決めた当初の三原則の方針は引き継ぐが、全面禁輸に踏み切って以降に積み重ねた例外措置を再構築し、輸出を禁止する場合と同時に、認めうる場合の条件を盛り込んだ。(2014年4月1日、閣議決定した)
世界の武器展示会
世界各地で武器展示会は開かれている。そこでは、ミサイル、戦闘機、戦車、無人機(ドローン)、機関銃、各種装備品など、あらゆる軍事製品が所狭しと展示されて商談が行われている。
武器展示会には、招待された特別な人以外、一般人は参加できない。各国の軍事関係者、政府要人、兵器専門家など、そのなかにはスパイも紛れているそうだ。
武器展示会の様相はとても華やかであり、とても死と隣り合わせの展示会であるとは感じさせないとか。いわば、オタクマーケットなどと同じく、専門家など同好の士が集う賑わいの場、という趣にあるらしい。
自動車の展示会の様にコンパニオンがいてにっこりと微笑んでいる。また、エンターティメントのショーか何かを見るように、各種装備品の実演なども行われるそうだ。さらに、製品の販促用にグッズも用意されている。
軍事オタクなら、きっとなんとか潜入したい欲求にかられるに違いない。
しかし、いかに華やかであれ、製品は武器であり、紛れもなく死を誘引するものである。したがって、武器展示会=死のマーケットということもできる。
2012年の5大武器輸出大国は、アメリカ、ロシア、中国、EU、ウクライナであった。同年の世界の軍事支出は推定1兆7560億ドル。世界のGDPの2.5%だった。
アメリカのトランプ新大統領は、軍事支出を増やすと宣言している。それにつれて、世界の軍事支出も増加する可能性が高い。ロシア、中国はいうにおよばず、各国が右へならえとなるだろう。
そうなると、武器展示会は、ますます活況となるかもしれない。いやはや。
以下は、2016年にヨルダン(アンマン)で開催された「SOFEX2016」の様子を写したものです。SOFEXについては、あとの注釈をご参照ください。
武器展示会「SOFEX2016」
SOFEXは、世界中の兵器製造業者が主要意思決定者との戦略的議論に参加して、世界中の市民の安全と安全を維持する迅速かつ決定的で効果的なソリューションを提供する機会を提供します。
ようするに世界に向けて武器を売る場を提供します、ということです。
写真引用:world-defense.com
参考文献:ニューズウィーク日本版:2016/12/13
武器の世界地図 (文春新書)
人類の歩みとともに進化してきた究極の「道具」の変遷をひもとく。棍棒からドローンまで、歴史を変えた軍事テクノロジーのすべて。
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