オバマもクリントンも、タックスヘイブンに加担していた?
租税回避地、パナマの闇の奥
租税回避地パナマを利用していた顧客リストやその中身が流失した問題は、まだその全体像が明らかとなっていない。したがって、今後の影響の範囲もまだ藪の中である。はたして不条理なシステムは改善されるのか。
タックスヘイブンで租税を逃れる行為は、違法ではないが不条理に満ちたものであるのは言うまでもない。そこを利用できるのは富裕層とグローバル企業、そして麻薬やその他違法行為をする組織でしかない。
とくに悪質なのは、政治家の収賄の隠れ蓑や、麻薬組織のマネーロンダリングの場として公然と使われていることだ。
パナマ文書には、なぜかアメリカの富裕層や、企業が見当たらないか、あるいは少ないといわれている。揺れる欧州をさらに窮地に落とす算段か、それとも中国か、ロシアか、とその推測は広がっていく。
そのような現状のなかで、興味深い記事がニューズウィークに載っていた。以下は、それを要約したものです。
2009年、オバマが大統領に就任した後、クリントンとともにパナマ、コンロンビア、韓国と自由貿易協定(FTA)を推進した。
反対派の声は厳しかった。パナマでは税金が低く、また銀行機密法があることから、外国人の資産隠しや、犯罪組織のマネーロンダリングの温床の場になりやすかった。さらに、外国の捜査当局からの要請への協力を拒んでいた。
そんなパナマの問題を棚上げして、オバマ大統領はパナマとのFTAを11年に署名、締結した。国内では富裕層への課税強化を叫びながら、裏では租税回避地への逃げ道を用意した、と言ってもあながち間違いではないだろう。
このFTA締結によって、アメリカの捜査当局はパナマを強制捜査することができなくなってしまった。まるでシステムを守るための協定であった。
オバマ大統領は、就任当時は革新を期待されたが、実は案外と見掛け倒しだったのが昨今ではバレてしまった。
それをまた証明するかのようなニューズウィークの記事であった。
結局、オバマがしたのは混迷をさらに深めたことだけか
戦後のアメリカ大統領のなかで、ヘタレといわれたのはカーター大統領であった。ベトナム戦争後の戦争忌避ムードのなかで期待されて誕生した。
カーターは、話せば分かるという俗にいう平和外交ですべてを解決していこうとした。ところが、話せば通じるどころか、すべて裏をかかれるという無様な結果となり、再選されず退場していった。
現在、中東が混乱するなかで過激派が相変わらず台頭しているが、その中東過激派を育ててしまった元凶は、カーターにあるといわれている。
カーターは、中東やソ連とも平和外交で臨み、中東から兵を撤退させた。その結果、ソ連はアフガニスタンに侵攻した。
カーターはソ連を非難したが、もう後の祭りでしかなかった。そこでアメリカは、アフガニスタンに対抗する勢力としてアルカイダを組織した。そのアルカイダに武器を与え訓練を施した結果、なんとかソ連を撤退させた。
しかし、アメリカはその後の処理をおろそかにして、アフガニスタンから去ってしまう。そして、残されたアルカイダは裏切ったアメリカを、今度は敵として明確な攻撃目標にしていく。
アメリカが残していった武器と訓練は、アルカイダの基盤となっていた。
その後、イラクではアルカイダや過激派掃討のために地元民に武器を与え、さらに訓練を施した。しかし、やがて武器とともに過激派に衣替えされていた。
アメリカは、武器と訓練をして過激派を増やしている、と言っても過言ではない。
オバマ大統領も、2009年就任時からイラク、アフガンからの撤退を約束していた。カーター路線の踏襲といってもいいだろう。しかし、その後の状況変化で約束は果たされずに退任となりそうである。
オバマは、中東に限らず、アジアでもなぜか優柔不断であった。その結果、中国に裏をかかれたのは見るに明らかだろう。
さらに国内では、格差拡大が過去に例を見ない規模といわれている。オバマは一体なんだったのか、とアメリカ国民は思っているに違いない。
とにかく、アメリカは、なぜか負の連鎖を再生しているとしか思えない。それは、どこに原因があるのか。軍産複合体なのか、それともグローバル企業なのか、またはそれらが複合した要因なのか。
アメリカの闇は深すぎて、だからこそ、トランプのような大統領候補が人気を集めている。なんとか、是正してほしいという国民の切なる願いが、そこにあると思われるがいかに。
トランプが大統領になると、さらにややこしいことになると予想されてもいるが。
ISIS(イスラム国) なぜイスラム過激派は無限に生まれるのか
参考:ニューズウィーク2016.4.19
冒頭写真:パナマ サンプラス諸島
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