東京を買え!は、いつか来た道になるか
活況と言われる首都圏の不動産であるが、その実態は
アベノミクスの効果なのか知らないが、不動産市場が活況にあると言われている。ただし、東京を中心とした首都圏に限るようである。いくつか、その背景には要因があるようだ。そのひとつが2020年の東京オリンピックを踏まえた需要の先取りである。そして、中国を中心としたアジア富裕層の東京買いである。
2020年の東京オリンピックに向けた建設はこれからが本番である。それに伴って建設に従事する人員が不足すると言われている。すでに、現在でもマンション等の建設現場では人件費が高騰しているようである。また、同じく材料費もである。材料費の高騰は円安というアベノミクス相場にあるのは言うまでもない。
それによってマンション等の売値は高値になることは必然である。したがって、現在の首都圏のマンション等は一時期に比べその対価は高く、それに反して価値は低くなっているはずである。いかに高価格のマンションといえどその中身は、人件費および材料費の高騰が価格に反映したに過ぎないからである。
リーマンショック前の2000年代半ば頃に、ミニバブル的様相を示した時期があった。その頃は、たしかいまが買い時とばかりに不動産業者は煽っていたはずである。そして、現在のようにマンション建築が盛んに行われていた。そして、リーマンショック後いくつかのマンション業者は倒産した。
そのなかには、テレビコマーシャルを頻繁に出していた会社もあった。代官山にあった「モリモト」などもそうした会社のひとつであった。ちなみに、その当時のコマーシャルは、Us3の「カンタループ」という曲を背景に流したものであった。記憶に有る方も多いはずであるが、如何に。
アベノミクス相場で円安になった現在では、海外の投資ファンドが、いまが買いでしょとばかりに東京の物件に手を伸ばしている。しかし、かつての欧米系と違いその多くがアジア系であると言われている。高くなりすぎた北京や上海、あるいはシンガポールなどと比べて東京は安いと感じているようである。
なんでも香港などと同規模のクラスで比較した場合、東京は1/3の価格だそうである。いかに中国圏の物件が高値どまりしているかが伺える。したがって、東京の物件に投資したファンドは、賃料で十分収益を上げる事ができると判断したのだろう。しかし、それも今後の賃料の動向如何に掛かっている。
投資ファンドの見込みどおりに賃料収入が得られるどうか。実は最近では疑問がでている。それは、すでにマンションの供給が過剰であるという指摘があるからである。また、もっと深刻なのは日本の人口減少にある。2025年を境に世帯数は下降すると言われているからである。
しかし、それでもいまが買いでしょと言って憚らないのが、不動産業界とそのおこぼれに授かるメディアである。不動産広告が収益の柱であるリクルートは言うに及ばず、ビジネス雑誌も右に倣えで不動産市場を煽っている。それが、現在の状況ではないか。いつか来た道は、案外近いうちに訪れそうである。違うか。
関連記事:活況の不動産、一気に急落リスクも?
なぜ経済誌は不動産業界の広告・フリーペーパー化?
http://biz-journal.jp/2014/01/post_3831.html
日本の世帯数は、2035年までに減少を開始
国立社会保障・人口問題研究所が4月11日、『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(2014年4月推計)を公表した。それによると、日本の世帯数は2035年までに46都道府県で減少を開始するそうである。しかし、そのことはあまり問題とされていないようだが、如何に。
首都圏では、相変わらず新築マンションの建築ラッシュである。しかも、巷では億ションが飛ぶ様に?売れているとか。ほんとーかと思うが、まんざら嘘でもないようである。その実態は、上記に書いた様に海外の投資ファンドなどによる上げ底が実態のようである。そればかりではないが、要因のひとつであるのは間違いない。
供給過剰とも思える建築ラッシュは、いずれ価格の崩壊に繋がるだろう。あとは過去にもあったように誰がババを掴むかである。はたして投資ファンドは逃げ切るか。しかし、個人の購入者は諦めるしかないか。何故なら、如何に高額のマンションといえど今後は高く売れることはないと思われるからである。違うか。
現在、活況と言われる不動産業界であるが、上記のことを踏まえると需要の先食いをしているだけのようである。新築マンションの建築ラッシュは戸建住宅の需要を奪っているだけであり、先行きは暗いとしか思えないが、それは如何に。
新築マンション建築をいわば主導する国土交通省は、それを景気刺激策としてしか考えていないようである。総務省のデータを知らない訳ではないと思われるが、このまま有効な手を打たなければ壮大な無駄となるマンションが多くでるのではないか。そして、それらは不動産、金融等にも大きな影響を与えるはずである。
追記、最近政府は、海外からの移民を本格的に検討するとした。それは、人口減少を踏まえたものであるのは言うまでもないが、マンションの供給過剰とも連動しているのではないかと思わざるを得ない。
関連記事:マスコミが伝えない世帯数減少の衝撃、新築マンション供給過剰問題
http://blogos.com/article/84371/
2014/3月首都圏マンション発売は9.7%減、2013年度は18%増
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3E03E20140415
なぜ株より不動産なのか?世界の大富豪たちが認める名指南役が不動産投資の考え方とテクニックを公開。
コメント