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■社会|格差が生み出す二極化 それで誰が得をするのか

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絶望的な、詐欺化社会が拡がる

 何々が二極化するという言い方は、経済用語として、あるいはマーケティング用語としてよく使われてきた。それは、対立する概念を端的に言い表すのにとても便利だったからと思われる。違うだろうか。

 二極化の定番といえば、持つものと持たざるものという概念である。端的にいえば、富裕層VS底辺層ということになるだろうか。

 世界の1%未満の超富裕層がその他99%以上を支配する、という陰謀論の説があるが、昨今の世界情勢やグローバル化した大企業を鑑みれば、それがあながち間違いではない様相にあるのは言うまでもない。

 世界は、このまま二極化を推し進めていくのか、それともどこかでパラダイムシフトが起きて劇的な転換を迎えるか。そこに人類の未来がかかっている。

日本で拡がる不気味な格差とは

 格差社会といえば、欧米の専売特許であり日本には関係ないことのように思われたが、いつのまにやら、日本の格差社会は歴然と拡がりを見せている。

 たぶん、80年代までは非正規の問題などは聞いたことがなかったはずだ。しかし、バブルがはじけた90年代初頭から徐々に拡がっていた。

 00年代になるとそれは格差となってはっきりと表れてきた。派遣法の規制緩和、企業のグローバル化、何事も右に倣えの日本企業特有の横並び経営、そして短期的利益の追求などが、それを後押ししていた。

 なぜ日本では、わずか30年ほどの間に、正規雇用が減り非正規雇用が増えたのか?。その理由については、これまで様々な機関から多くの研究報告が出されています。それを整理すると以下のようになります。

・経済面(国内景気の長期低迷、市場のグローバル化による国際競争の激化や情報通信技術の高度化による人件費抑制圧力)
・労働政策面(派遣労働法改正による労働規制緩和等)
・社会面(若者を中心にした働き方に関する多様化、高齢労働者の増加、長時間労働など日本的労働慣行の弊害等)

 また、日本では上記以外に日本特有の問題があるようだ。それを端的に言えば「みんなで渡れば怖くない」という周りに流される文化である。

周りに流される日本人
 この30年間、日本社会の二分化と二極化を助長してきたものとして挙げられるのが「周りに流される」文化です。「周り」とは、世の中で広く言われていること、場の空気、社会のルール、マスコミ報道、組織の権力者、上司や同僚、競合他社の動きなど、自分の身の周りにいる人物、情報や雰囲気です。

「流される」とは、自分の信念、主義、主張や考えを持たず(または持っていても表に出さず)、周りに盲目的に(または意図的に)従うことです。この文化特性は、状況に応じ「付和雷同」「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」「横並び発想」「同じて和ぜず」等の言葉に置き換えることもできるでしょう。

 このような結果、日本では正規と非正規の雇用比率は、60:40(実質4割を超えた)までになっているといわれています。ちなみに、意外ですがフランスでは約90%が正規雇用であり、また「同一労働・同一待遇」も保証されているとか。

 欧米といっても、欧州と米国とではだいぶ様相が違っている。日本は、アメリカ様の真似をしたに過ぎないようだ。派遣労働法改正は、いわばアメリカ流の首切りを容易にすることを最終目的としていた。その一歩として非正規が増やされた。

 いずれは、正規も非正規も問わず、突然首切りされることが自由化されるだろう。それがアメリカ様の目論見であるからだ。日本はそれに従うのみか。

 格差を拡げて、いったいどこに得があるのか不思議である。

 なぜなら、消費という行動が伴って経済は廻っていく。しかし、非正規=底辺層を増やせば、増やすほどに当然のように消費は低迷するしかないからだ。超富裕層が、いくら豪邸や高級車を買ってもたかが知れている。

 クルマが売れないのは、当たり前というしかない。いまさら、かつてのステイタス性や女性にモテるとかの古い宣伝手法を持ち出しても、時はすでに遅しだ。

 それでもなお、日本では国家も企業も雇用環境を改善しようとはしない。それはなぜか。大企業は儲けを内部留保するばかりで社員に還元しようとはしない、そのくせ不景気だと嘆いてさらにリストラしようとしている。

「損して得取れ」のことわざどおりに、企業が内部留保をぶちまければ、だいぶ景気も上向くのではないか、と思わざるを得ないが。

 格差拡大と消費不況の主たる要因は、国家と大企業にあり当然同罪である。(憶測でいえば、主導したアメリカのせいともいえる)

 アメリカでは中産階級が失われて二極化が進展した結果、トランブ大統領候補という怪物を生み出した。トランプが大統領になれなくても、底辺層からの突き上げは、今後も大きな波となりアメリカを揺るがしてゆくに違いない。

 日本でも、いつ同じようなことが起きても不思議はない。

日本で拡がる詐欺的商法

 パソコン関連商品を販売する「PCデポ」が、高齢者に詐欺的商法をしていたことがバレて非難が集中し株価も下がったのは、つい最近の出来事である。

 しかし、昨今の日本ではこんなのは氷山の一角に過ぎない。

パソコン量販店「PC DEPOT」の高額サポートめぐりネットで激論
 ことの始まりは、8月14日に投稿されたあるツイート。「80歳を過ぎた父親が、PCデポに毎月1万5000円の“PCサポート契約”を結ばされていて、契約解除にも10万円(当初は20万請求された)支払う羽目になった」という旨のものだ。これが瞬く間にネット上で拡散され、多くの批判が集まることに。

 PCデポは、1万5000円という高額なサポート代に加え、解約時には20万円を請求したといわれている。(親族が交渉して10万円になった)

 これは、高齢者の知識不足につけ込んだ反社会勢力なみの詐欺的商法といえるだろう。とてもまっとうな会社ではない。しかし、この会社は上場している。いったいどこにコンプライアンスはあるのか、と思うしかない。

 上場企業は、いわば安心や安全、信頼性を顧客に与えているはずである。それは情報が公開されているからに他ならない。それがこの有り様とはいかに。上場基準なんて簡単に騙せることが露呈している。

 東証には、いずれ婚活詐欺会社なども上場するに違いない。

 2000年代以降から世の中は、なんとなく荒み始めたように感じる。オレオレ詐欺が広がって、反グレ集団が我が物顔で跋扈しだした。IT会社や芸能関係にも反社勢力が、手を伸ばし牛耳りはじめていた。

 六本木ヒルズが象徴していた怪しげなITバブル、その実態は株屋と金融が結託したまやかしだったことが、いまでは露呈している。

 とにかく、騙すより騙される方が悪いという風潮が蔓延したのが、00年代であったといえる。そんな風潮は、光通信やライブドアの不祥事が明るみに出て、是正されたかと思われたが、いまだにその根は深いと言わざるを得ない。

 PCデポには、かつての光通信の匂いがする。光通信は、携帯販売で「寝かせ」と呼ばれる大量の架空契約をしていた。これはキャリアからのインセンティブを狙ったものであり、収益の大半を占めていた。

 当然、違法な行為であり、光通信はドコモからは出禁となっていた。

 さらに、コンビニなどの入り口でくじを配って当たりが出ると携帯がもらえる、というインチキイベントもやっていた。当たった携帯は無料でも、当然のように契約が必要であり、これもインセンティブ狙いだったのは言うまでもない。

 とにかく、情弱や知識不足の消費者をカモにしていたと言っていいだろう。

 このようなインチキまがい、いや間違いなくインチキがまかり通っているのが、現代である。そして、市場や経済関係者は、その結果の数値しか見ていない。

 オレオレ詐欺は形態を変えて、いまだに蔓延っている。投資詐欺も健在だ。そして、最近では婚活詐欺も拡がっているようだ。婚活詐欺では、投資用マンションをターゲットに売ることが目的となっている。

 結婚を餌にして獲物を釣っている。すべての詐欺は、餌を目の前にぶら下げて食いつくのをいまか、いまかと待っている。インターネット時代になってから、この餌付け方が進化しているようだ。

 なんとなく世も末の匂いが漂ってきた時代の雰囲気である。いやはや。

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この社会にはきれいごとがあふれている。人間は誰しも平等で、努力すれば必ず報われ、〝見た目″はそれほど大した問題ではない―だが、それらは絵空事である。
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