新自由主義の成れの果て、ここに極まるか?
あらゆる業種で似た事が起きているに違いない
大手不動産会社(三井不動産)が分譲した大規模マンションで施工不良が露呈して問題となっている。しかも施工不良という不正は、なんと建築の要である基礎工事で行われていた。地盤強化のためのくい打ちを、その目的に到達していないにも関わらずデータを改竄しそれで良しとしていた。
今回はマンションが傾いて問題が露呈したが、時限爆弾のようにいつ傾くか判らないマンションが無数にあるのは嫌が応も無く想像される。もはや、不動産、建築業者は信用するに値しないと言っても過言ではない。それは言い過ぎかもしれないが、多くの不動産、建築業者は似た案件に覚えがあると思われる。
問題のマンションでは、くい打ちを担当した責任者の一存で不正が行われたと現時点では言われている。しかし、はたしてどうなのか?。建築の要である基礎工事に対し、大手不動産会社と建築会社(三井住友建設)は下請け会社(旭化成建材)の担当者に丸投げのままでありチェックもしていなかった。
そんな訳は無いだろうと思うがいかに。なんらかの形でくい打ちが目標に到達していないと、報告されていたと考えるのが常識的ではないだろうか。そして短期利益のために偽装は行われたと想像する。いつもの様にである。
それでも大手不動産会社は事前の売り出しにおいて、安心、安全を声高に唱えて販売を促進していたのは言うまでもない。不動産会社が売り出すマンションに疑いが生じる様な宣伝をする訳がないのは当たり前であるが。
ここで注視して頂きたいのは、不動産会社が宣伝する内容は建築の保証をしている訳ではない。宣伝を依頼された広告会社もそれを確かめようもなく、言われるままに安心、安全をイメージ訴求しているだけである。しかし、これは本来はあってはならないことである。嘘はいけない、それはいわば詐欺にも等しい。
今後は、このような場合は詐欺を適用する法律の制定が望まれると思うがいかに。不動産、建築業界のいかがわしさは以前から言われていた。今更ではあるが、これを機会に是正していかなければ将来に災いを残すだけである。
しかし、不動産、建築業界に清廉性を求めるのは無理かもしれないが。なんせ、反社勢力が一番多く進出しているのもその業界であるからだ。
三井不動産OBがバラす「ブランドに胡坐かいて手抜き」下請け締め上げコスト削り(J-CASTニュース)
これは氷山の一角、新自由主義の罠にハマッた日本企業
ずいぶんと前から日本の企業では短期利益が重視されて、長期的視点を欠いた経営が主流となっていた。サラリーマン経営者にとっては、自らの利益の最大化を図るにも理に適っていた。自分が退陣した後は例え会社がどんな荒れ地となろうが、そんなのは関係ないとばかりにである。
2000年代以降、多くの企業で不正が行われてきた。その多くが会計上の不正であったのは記憶に新しい。有名なところではライブドア、オリンパス、最近では東芝がある。日本に近来に無い災難をもたらした東京電力もそうかもしれない。まだ事件化していない案件は他にも数多くあるに違いない。
不正の主要因は、短期的利益が株価を左右するからであった。そして、それを目的にした経営がもてはやされてきた。そこには、もはや企業のビジョンなど無いに等しく利益を最大化することだけが求められた。
それは小泉政権下で行われた日本版・新自由主義によって、水戸黄門の印籠の如くとなり、さらに勢いを増したのは言うまでもなかった。新自由主義とは、端的には金融至上主義ともいえる。「金こそがすべて」であった。
もちろん、この考え方はアメリカからやってきた。
そのあげく、コスト削減を目的に人件費の抑制がされてきた。それが非正規雇用を増やし、いまでは国家存亡を怪しくさせる不安定要因となっている。それでも、企業、とくに大企業は限りなく非正規雇用を増やしたいようだ。政府を焚き付けて労働法を改正して人材使い捨て法案を成立させた。
それもこれも短期利益の最大化のためである。言い換えれば、株主と経営幹部、そして一部大企業の社員のためであると言うこともできる。
短期的利益を重視する企業では、当然の様に目の前の利益しか頭に無い。したがって、企業の存続に関わる未来像など描きようもなく、その場のみで利益があれば良しとされる。それを確実に達成するものだけが出世していく。そして、さらに短期利益追求は止むことは無く続いて行くのである。
しかし、そんな企業の未来に待ち受けているのは、企業価値を生む”イノベーション”に欠いていたことから、ある日突然死することになると想像される。
企業はあくまで顧客あっての存在であり、それを忘れて利益だけを追求していくことはできない。企業は、製品、サービスなどを顧客に提供しそれが支持されてはじめて存在できる。製品やサービスは時代と共に常に変化していく。それに応えていくには絶えずイノベーションが求められる。
短期利益重視の企業では、それ(イノベーション)をコストと判断し予算を抑制してしまう。人件費は言うまでもなく、やがてはイノベーションなんて考え方も否定されてしまう。そして、不正をして利益を上げる企業となるのである。
これにはどこか覚えのある企業は多いだろうと考える。当方が経験した企業でも同じ様なことが行われていた。その後、その企業は行く詰まったのは言うまでもない。
マンションのくい打ち偽装も、そんな背景から生まれた結果といえる。
マンション建築の当事者である企業は、くい打ちの担当者に責任を押し付けたいだろうが、そんな単純なことである訳が無い。マンションの事業主体の短期利益重視の企業姿勢こそが主要因であるに違いない。
それは上記した内容からも理解できると思われますがいかに。それにしても、アメリカは日本に新自由主義を押し付けて何をしたいのか?。それは言うまでもなく日本企業を劣化させて、そのあげくに買収するという算段ではないかと思われますがいかに。
ちなみに、当たるも八卦、当たらずともおなじくであるのは言うまでもない。
アマゾンの顧客起点とイノベーション
アマゾンは、そこで働く従業員に対してブラックであるという噂がある。しかし、その一方ではあくまで顧客起点でサービスの満足向上を図ってもいる。顧客側から見れば、アマゾンは優良企業であるに違いない。
アマゾンの事業方針の根底にあるのは、例え利益が少なくても長期的視点で見れば顧客はアマゾンに利益をもたらすという考えにあるそうである。新自由主義の本家であるアメリカの企業としては、なんとも悠長なと思うがいかに。
とにかく、ある意味では”急がば廻れ”を地でゆくような経営とでもいえる。このアマゾンが最近クラウドで利益を上げ始めていると言われる。その利幅は、本業?であるEコマースの利幅を大きく上回っているとか。詳しくは以下リンク先に。
AmazonをEコマースの会社だと思っているなら、認識を改めた方がいいかもしれない。Eコマースは、インフラを構築し、クラウドサービスとして販売することを正当化する口実のようなものだ。一番おいしい収益を上げているのは、「Amazon Web Services」なのだ。
Amazonの第3四半期の業績がそれを物語っている。実際にAmazonの業績報告を見てみれば分かる。Amazonの総売上高のうち、Amazon Web Servicesは8%だが、営業利益で見ると同事業は52%を占めているのだ。これは、Amazon Web ServicesがAmazonの北米のEコマース事業と同じ額の利益を上げていることを意味する。
これがどういうことか、分かるだろうか。Amazonは北米で5億2800万ドルの営業利益を上げるのに、150億ドルの売上高を必要とした。しかしAWSは、20億8000万ドルの売上高から、5億2100万ドルの営業利益を上げたのだ。
アマゾンのクラウドサービスは絶好調のようである。しかも、他社に比べて価格が安いのが売りだから、当分他社は追随できそうにない。
しかし、既存のITベンダーはアマゾンの真似はできそうにない。何故なら、アマゾンはEコマースで僅かな利益で商売をしてきたからだ。そして、多額の投資をして事業インフラを整備してきたのは言うまでもない。
長期的視点のアマゾンにあって他社にないものは、未来への想像力だろうと思われる。これは、案外大きな差であり、簡単には真似が出来ないのではないか。
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