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■マーケティング|企業の栄枯盛衰 GE1兆円の赤字、ソニー、マクドナルドに復調のきざし

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世界最大の複合企業GEが、苦境に陥っている

GEは、経営者の模範だった

 かつて企業経営の模範とされて、経営者たちから崇められた世界最大の複合企業GE(ゼネラル・エレクトリック)が、なんと1兆円を超す赤字を抱えて苦境に陥っているようだ。どうやら時代は変わったということか。

 90年代(2000年代にも)、日本の経営者やマスコミが、とにかく「GEに学べ」と言っていたことを考えると、なんとも隔世の感を覚えるしかない。

 長くGEに君臨し、経営のカリスマとして名を轟かせたジャック・ウェルチ(最高経営責任者/1981ー2001)は、伝説の経営者といわれた。1999年には、20世紀最高の経営者(フォーチュン誌)に選ばれている。

 現在のGEの苦境は、どこに原因があるのか。かつて無敵といわれた経営手法が、ITの進化とともに時代遅れとなったのか。それは知る由もないが、あながち無関係とは言えないに違いないだろう。

 なぜなら、ジャック・ウェルチがGEに君臨した時代には、ITはまだ進化途上にあったからだ。2000年代になるとGEは急速に輝きを失い、その存在価値も小さくなっていた。そして、その経営手法も古くなりリセットされた。

<GE/ジャック・ウェルチの経営手法>
1)「リストラ」「ダウンサイジング」と呼ばれる大規模な整理解雇による資本力の建て直し、再構築を図る。
2)「企業の合併・買収(M&A)」、国際化の推進を図る。
3)「世界で1位か2位になれない事業からは撤退する」とした。

基本方針はーー
会社優先、人材の切り捨てにあり、「建物を壊さずに人間のみを殺す中性子爆弾」の特性から「ニュートロンジャック」と綽名された。(ウィキペディアより)

大は小を兼ねる、そんな時代の終焉か
 2000年代後半にGEは、事業の「選択と集中」を行い、一時的に復活の兆しを見せたが、その後2015年には1兆円超の赤字に転落している。ちなみに、この当時(2000年代)「選択と集中」は、日本の企業でも大流行りだった。

 GEを日本の企業に当てはめると、三菱重工や日立、東芝などが想定される。しかし、その規模が大きく違うのは言うまでもない。いずれも複合企業であり、傘下には数多くの業種・業態の企業が連なっている。

 原発事業の負債をきっかけに存続の危機に堕ちた東芝の例を出すまでもなく、従来型の複合企業は、もはや時代おくれの産物となったのかもしれない。「大は小を兼ねる」が通じる時代ではなくなったといえる。

 GEはふたたび「選択と集中」で再生を図ろうとしている。はたして残る事業は、何になるのか。そこが注目されるが、噂では最終的には航空機エンジンだけではないか、といわれている。

 とにかくGEは、企業が規模(組織、仕組みの大きさ)を追う時代の象徴といえるに違いない。そんな時代は、もはや終焉を迎えそうな気がするがいかに。

 とはいえ、2000年代以降に躍進したIT企業であるアマゾンやグーグルなども、GEとおなじく規模を追っているように見える。しかし、GEなどの複合企業(異なる事業の集合体)と違って、どこかで本体というか、本業に集約されるような仕組みができている。

 アマゾンやグーグルなどは、新しいタイプの複合企業なのかもしれない。

<2017年世界の売上高ランキング>
1)ウォルマート/$482,130/アメリカ
2)China Petroleum & Chemical/$310,887/中国
3)PetroChina Co Ltd/$262,837/中国
4)Royal Dutch Shell Plc/$260,835/英蘭
5)トヨタ自動車/$252,220/日本
6)Exxon Mobil Corporation/$236,810/アメリカ
7)Volkswagen AG /$231,588/ドイツ
8)Apple Inc. /$215,639/アメリカ
9)BP Plc/$215,586/イギリス
10)Berkshire Hathaway Inc./$209,847/アメリカ

38)General Electric Company/$117,386/アメリカ

<米GE赤字1兆円>苦境 証取委が調査、電力事業も不振
 米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)が苦境に陥っている。傘下の保険事業の資産評価見直しを主因に1兆円超の赤字決算を発表したのに加え、米証券取引委員会(SEC)が過去の決算について調査に乗り出したためだ。今後の柱と期待する電力事業の不振も深まっている。

アイボは復活したが、ソニーは再生したか


引用:https://www.cnn.co.jp/

ソニー、20年ぶりの最高益に

 2000年代は苦境に喘いだソニーの復調が著しいようだ。

 ソニーは、2018年3月期の利益予想を上方修正した。営業利益予想は7200億円に、最終利益予想は4800億円とした。営業利益は、1998年3月期の5257億円を上回り、20年ぶりの最高益更新となるようだ。

 ソニーの復調の背景には、イメージセンサーなどの半導体事業の好調さが挙げられている。そして、安定した金融事業や順調に拡大するゲーム事業、さらには改善傾向にある映画事業なども後押ししている。

ソニーが利益予想を上方修正、今期20年ぶり過去最高へ
 営業利益予想は前年比2.4倍の7200億円(前回予想6300億円)に、最終利益予想は同6.5倍の4800億円(同3800億円)に、それぞれ引き上げた。スマートフォン向けイメージセンサーなど半導体事業の好調に加え、映画事業の改善も寄与する。ゲーム事業も順調に拡大する見通し。

 復調著しいソニーであるが、その中身は数年前からいわれていた内容とあまり変わり映えがなく、イメージセンサー、金融、ゲームという柱が支えている。その一方で、新しいヒット製品はまったく見当たらない。違うか。

 4番目の柱とされたモバイル事業は低迷したままだ。アップル、サムソンの2強に大きく離されたまま、一向に差は縮まらない。ソニーのモバイルは、製品のポジショニング(中途半端だ)や、マーケティングを見直す必要があるだろう。

 ソニーに唯一明るい兆しが見えるとすれば、その姿勢が攻めに転じたことか。それは、2006年に製造を中止した「AIBO」を復活したことに表れている。

 ソニーが、ロボット事業にふたたび復帰したことは、ソニーらしさを取り戻すと同義であるに違いない。復活した「AIBO」はその象徴である。

 ソニー凋落の戦犯といわれる出井元会長とその継承者たちは、似非GE的経営によって次々と次代の製品を潰してしまった。ズタボロになったソニーは、今度こそ甦るか、それは次期経営陣の差配いかんに掛かっている。


引用:http://toyokeizai.net/

ソニー平井社長、退陣を発表!
 2012年、傷ついたソニーのトップに就任し、「選択と集中」の差配の舵を取ってきた平井社長は、20年ぶりの最高益更新を機に退陣を発表した。社長退陣後は、会長に就任するそうだが、代表権は持たないそうだ。

 平井氏のその姿勢は、元会長の出井氏があくまで権力維持に固執したのとはだいぶ違っている。平井氏には、なんとなくソニー愛が感じられて、とにかくソニーをふたたび輝かせたい、そんな想いが伝わってくるようだ。

 そんな平井社長は、ソニーについて次の様に語っている。
「人々の好奇心を刺激し続けるのがソニーの存在意義」と強調する。

 ソニーがふたたび、人々や社会に「感動」をもたらす、「サムシング・エルス(Something Else)」を生み出すことを願ってやみません。

 ちなみに「サムシング・エルス」とは、英語で「何か他のもの」「格別に素晴らしいもの」という意味です。

ソニー、出井伸之路線失敗の象徴「AIBO」復活の意味
初代AIBO開発者の天外氏は“aibo復活”をどう見ているのか?
「決算の数字なんかどうでもいい。夢のない会社になっていたソニーが、再び夢を語れる会社になったことが大事。そういう意味ではソニー復活と言えるんじゃないかな。AIBOに関わった技術者の7割が残っていたことも大きい」

マクドナルドは、いかにして復調したか


引用:http://www.mag2.com/p/money/5363

あのマクドナルドがV字回復に

 マクドナルドが日米ともに復調しているようだ。日本では、元社長(プロ経営者)による粗雑な経営手法と、食材の雑な扱いが暴露されて、2014年、2015年と急速に売り上げが落ちていた。

 その後、新しい社長が就任したが、復調までの道筋は遠かった。そんな日本マクドナルドの復調が顕著となっている。いったいマクドナルドは、どんな戦略と手段をとったのか、そしてどんな効果があったのか。

上場以来最高の黒字見込み マクドナルド驚異のV字回復3つの理由
 一時、日本撤退もありうるのでは、との噂も飛んだほどドン底状態に陥っていた日本マクドナルドが、驚異のV字回復をしている。’17年12月期の連結決算では、上場以来最高の200億円の黒字。背景に何があったのか。

<日本マクドナルド/ビジネスリカバリープラン>
(1)よりお客様にフォーカスしたアクション
・メニュー
・バリュー
・お客様とのつながり
(2)店舗投資の加速
(3)地域に特化したビジネスモデル
(4)コストと資源効率の改善

 上記施策は、元社長のプロ経営者がようやく退陣したあと、日本マクドナルドが2015年に策定した戦略だそうだ。見て判るとおりとくに目新しいものではく、顧客満足の再構築が第一とされている。

 要するに元社長のプロ経営者がやってきたことのいわば否定となっている。元社長はアメリカで成功(当時)した事例を日本に投入したに過ぎなく、さらにいえば顧客満足よりも合理性や効率性を重視し、スタッフから笑顔さえ奪っていた。

 元社長が意図したマクドナルドは、餌場という概念でしかなかった。それが顧客に見透かされた結果、急速に売り上げが落ち込んだに違いない。

「よりお客様にフォーカスしたアクション」とは、なんのことはない、顧客の顕在および潜在している要望に応えようとすることだ。現在の日本マクドナルドの経営陣は、マクドナルドの原点に還り足元を見直すということをしている。

 上から目線でなく、あくまで顧客目線で、というマーケティングの原点に還り、基本に忠実に顧客満足を提供していこうとしている。

 そこが日本マクドナルドが復調している要因のようである。ほかにも収益面でも改善しているのは言うまでもないが。

外部関連記事:やれることは全部やった」どん底味わったマクドナルドが急速に業績回復できた理由

アメリカでもマクドナルドは復調している


引用:https://www.businessinsider.jp/post-106359

 米マクドナルドは、「顧客離れに苦しむファストフードチェーン」から、再び、業界のリーダーへと変身したといわれる。

 アメリカでは、ファーストフード業界の顧客離れが深刻だといわれていた。そのようななかで、米マクドナルドはいかにして復活してきたか。米マクドナルドCEOティーブ・イースターブルック氏は、以下の様に答えている。

「我々は我々自身を改善し、おいしいメニュー、お得感のある価格、素晴らしい体験を提供することで顧客を取り戻した」

 どうやら、上記した日本マクドナルドとおなじく、顧客目線をふたたび取り戻したことが復活に結びついているようだ。

 米マクドナルドの具体的な施策は以下の様なものとなっている。

<米マクドナルド/最近の施策例>
・スターバックスを追随するカフェメニューの強化
・従来商品の原材料の改善
・1ドルメニューの代替メニュー
・デジタル施策
・店舗リニューアル(次世代店舗)
・デリバリーサービス

 米マクドナルドはマックカフェの強化を図り、エスプレッソベースのキャラメルマキアート、バニラカプチーノ、アメリカーノなどをメニューに加えた。

 これは言うまでもなく、スターバックスを念頭においた施策であるのは間違いない。利益率が高いといわれるコーヒー市場で一定のポジションを獲得するのは容易ではない。しかし、顕在したニーズがある以上そこに注力していくようだ。

 マックカフェの新メニューには余分な投資が必要といわれるが、売り上げ増につながっているそうだ。違う側面から見れば、新規顧客の獲得に貢献したといえるだろう。

 また、2014年に1ドルメニューを廃止したあと、2016年には「マックピック2」という代替メニューを投入している。例えば5ドルでは、顧客はリストの中から好きなアイテムを2つ注文できる。2018年には、新たに1ドル、2ドル、3ドルの3パターンのメニューを投入している。

 次世代型の店舗開発も進んでいて、すでに全米の13%がリニューアル済みだそうだ。そこでは、オーダー端末やオプションテーブルなどが導入されている。また、安価だけでなく、高品質、こだわりの商品開発にも注力している。

 米マクドナルドは、攻めの姿勢で顧客満足を達成しようとしているようだ。


マクドナルドのオーダー端末
引用:https://trip-s.world/wp-content/uploads/2016/12/21145604/IMG_2317-e1482299771192.jpg


新メニュー/1ドル、2ドル、3ドルから選べる
引用:http://oceanguammag.com/food/2411/

外部関連記事:マクドナルド復活! 売り上げアップを実現した6つの取り組み

冒頭写真:GEの航空機エンジン
引用:https://www.americabu.com/wp-content/uploads/2015/04/general_electric_company.jpg

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