ソフトウェアは有料からフリーの時代へ
遅ればせながら、世はフリーの時代か!
関連記事:マイクロソフト、なぜハード本格参入?アップル、グーグル…FREE化でOS事業に転機
http://biz-journal.jp/2014/01/post_3863.html
かつてマイクロソフトといえば、PCを制覇したと言っても過言ではなかった。PCの要であるソフトウェアをがっちりと握り市場を独占したのであった。そして我が世の春を謳歌したのは言うまでもないことであった。そのソフトウェアの王朝に昨今では変化が出始めている。それは、グーグル、アップルなどによるソフトの無料化による影響である。
マイクロソフトのビジネスモデルは、ハードを生産しない事で在庫リスクを持たないという合理性であった。いわばリスクはハード生産企業に負わせて、自らはハードが売れても売れなくても利益を得る事ができた。(改めて言うまでもないが、ハードが売れた方が利益は最大化される)ある時代までは、合理的で頭のいいことと賞賛されていたはずである。
しかし、アップルの2000年代以降における新市場開拓と、グーグルがネット界の覇者を獲得した以降は、マイクロソフトの迷走が顕著となってきた。肝心要のソフトウェアであるウィンドウズもかつての勢いはなく、ひたすらに過去の蓄積をなぞるだけである。このままでは、いつか劇的な変化が起きても可笑しくはない。
それは、市場から有料ソフトが亡くなる日である。現在ではまだ考えられないが、クラウドサービスやその他サービスが安定化すれば、実現するかもしれない。それでも企業に巣食ったマイクロソフトのソフトウェアは、簡単には駆逐できないかもしれない。それは、多くの文書ファイルがオフィスで作成された可能性が高いからである。
今更であるが、一応念のため以下に解説しときます。
オフィス=マイクロソフトのアプリケーションソフトのパッケージ
しかし、それも技術の進化により必ずしもオフィスで無くても利用可能になるのではないか。また、互換性を糧に市場の独占を優位にしようと考えれば、きっといま以上に顧客離れが進むにちがいない。さらには、新しい市場を活性化させようと考えるアメリカをはじめとした先進国は、かつての遺産を守ろうとするマイクロソフトに足枷を嵌めるに違いない。
何故なら、マイクロソフトは古いソフトはサポートも打ち切ることから、その安全性を守る観点からも他社の互換性ソフトや新しいサービスの進展を助長させるのではないか。そのようなことを考えるとマイクロソフトは、すでに袋小路に嵌っているようである。もはや、ケンシローに言わせれば「お前は、死んでいる」状態である。
マイクロソフト苦肉の策、ハードを生産する!
過去の遺産は莫大なものがあるマイクロソフトは、その資産を使ってかつては馬鹿にしたはずのハードの生産に乗り出した。手始めはiPodの真似から始めたが、それは成功しなかった。たしか日本の東芝が生産を請け負ったのではなかったか。その後は、いまでは一定のポジションを獲得したXboxというゲーム機器であった。
ゲーム機は、いまではそれなりの成功をした。ソニー、ニンテンドーと三つどもえの勝負をしている状態にある。しかし、ゲームそのものがハード機からネットへと移る時代であり、その将来性は見えていない。
そして、ついにPCのハードも手掛け始めた。しかし、その成功はまだ実現していない。それは、何故かといえばマイクロソフトのPCハード機器には”魂”が込められていない。抽象的な概念であるが、そんな気がする次第である。金さえ出せば、誰でも委託メーカーにPCを作らせることができる時代である。
そんな時代だかこそ差異を生み出すには、お金以上の何ものかが必要であるはず。それは何かと想像するに、たぶんハードに込めた”愛情”のようなものではないか。と思う次第である。かつて、アップルのジョブズは、日本の製品に向けてセクシーではないと決めつけた。また糞だとも言ったはずである。
ハードをゼロに近いところから作るには、強い意気込みや誰にも負けないという姿勢が必要である。たぶん。そして出来上がった製品には、過程を経た上での強い愛情を感じるのではないかと想像する。
残念ながら、マイクロソフトのPC機器からは革新性や強い意気込みが伝わってこないと感じている次第である。あしからず。
一方、グーグルは自社ソフトを活かした”低価格PC”クロームブックで新たな市場の開拓に乗り出している。
マイクロソフト Surface(サーフェス)
フリーの意味とは、如何に!
これまでマイクロソフトは、非常に高い価格でOSソフトを買い替えさせることで利益を天文学的に上げてきた。これは、異論のないことと思うが、如何に。永遠に続くと思われた?この構造も転換点に差し掛かったようである。それは、この世には何事も永遠のシステムはないと言わんばかりである。
グーグルは、クラウドサービスでマイクロソフトのオフィスに似た機能を有するソフトを無料で提供している。マイクロソフトはこれに対応すべく同じくクラウドでサービスを始めたが有料である。
何故、マイクロソフトは、有料でなく無料にできないか。それは収益がソフトの売上に依存しているからに他ならない。一方、グーグルはソフトで収益を上げている訳ではない。ソフトは、収益に結びつける一手段でしかない。この差は大きいと言わざる得ないだろう。
アップルも新しいOSから無料とした。それ以前から新OSを安く販売していたが、ついに無料に舵をきった。これが、できたのもグーグルと同じく収益をソフトに依存していないからである。ソフトを無料にすることで現有顧客の維持および新規顧客の獲得に結びつけようという目論みである。
無料=フリーという構造を獲得するには、収益の構造が問題である。アップルはハードの利益、グーグルは広告の収益が会社を支えている。しかし、それもさらに多層化させようとしている最中である。そこでは顧客の獲得増が最優先である。そのためにも、ソフトのフリー化は有効な手段だったのではないか。
アップルもグーグルも収益の多層化により、ソフトの無料化を販売促進費ぐらいと捉えることができる。しかし、残念ながらマイクロソフトにはそれができない。収益の柱が、なんと言ってもソフトであるからである。かつての最高のビジネスモデル?が、いまや足枷となっている。まさに栄枯盛衰である。
「時代は変わる」、まさにその通りである!!
以下は、「FREE」という書籍に書かれている無料のルールである。
<無料のルール>
1. デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
2. アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3. フリーは止まらない
4. フリーからもお金儲けはできる
5. 市場を再評価する
6. ゼロにする
7. 遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8. ムダを受け入れよう
9. フリーは別のものの価値を高める
10. 稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう
今後は、ますますこのようなフリー化が進展しそうである。しかし、無料の影にはその対価をどこかで穴埋めしていると想像する必要がありそうである。
あなたがどの業界にいようとも、〈無料〉との競争が待っている。
それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。
そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得る。
このフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか?
コメント