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■映画|愛のむきだし(上)園子温のてんこもり

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もうー、むちゃくちゃやでー!

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なんなんだこの映画は?そう思う事ひさしからずや

映画「愛のむきだし」は、2009年に公開された園子温監督の問題作?である。日本のみならず、海外でもその問題作は話題となった。当該ユーザーは、この映画を観たとき「なんなんだー、この映画は?」と当初は思った。女性のパンツを盗撮するシーンが、これでもかと続いて?マークが点灯しっぱなしであった。

しかし、観続けるうちにそれは変わった。これは、もしかしたらすごい映画かも、そう思う様になったのである。10人のうち2〜3人の人達はこの映画を冒頭部分で諦めて観るのを止めるかもしれない。そこをぐっと堪えて観ていると意味がだんだんと分かってくるのである。この映画の底知れなさがである。

ちなみに当該映画は、2009年の第59回ベルリン映画祭で「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を受賞した。第83回キネマ旬報ベスト・テンでは、主演の西島隆弘が「新人男優賞」、助演の満島ひかりが「助演女優賞」、また日本映画ベスト・テンでは第4位であった。第64回毎日映画コンクールでは「監督賞」に園子温、「スポニチグランプリ新人賞」に西島隆弘、満島ひかりが選ばれた。また『映画芸術』誌では2009年度ベストテンで第1位になった。(参考:ウィキペディアより)

このように受賞経歴は華麗と言う他ない。園子温監督に、まさに時はきたという感じである。その後の監督の活躍は、いまさら言うまでもない。

とにかく、なんなんだー!?という思いは、ひさしからずや(長くはつづかない)である。観てみれば分かる。しかし、すべての人に勧めるものではない。そんな映画である。あしからず。

映画|愛のむきだし(下)愛は偽りに勝てるか
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愛のむきだし 予告編

愛のむきだしとは、何だ!

愛のむきだしとは何だ。愛とはむきだしにできるものか。それが問題である。なんとも哲学的な論点であるが、当該ユーザーは哲学にはあまり関心がない。なにしろ哲学をあまり知らないからである。

この映画はとにかく長い、上映時間がである。約4時間あるが見終わるとそれほど長かったとは思えなかった。それは、その時間が必然であった証である。

園監督には、そこに目論んだ訳があったに違いない。長い事もひとつの意味有るものとしてである。この映画を観てコッポラ監督の「地獄の黙示録」を思い出した。映画の中身はまったく違うが、探し求めているものが近いような気がしたからである。「地獄の黙示録」はモンド映画と言われているから、その原作「闇の奥」に近いと言った方が正確かもしれない。

共通点は原罪である。人の犯した罪とは何かである。その果てにあるのは、人は何のために生きるかに繋がるはずだ。なんだか分かりづらくなったが、当該ユーザーの頭では現在これ以上分かりやすく説明できない。あしからず。

「愛のむきだし」では、主人公のひとりである(ちなみ主人公は3人?)少年は親子の愛情を取り戻す(または維持)ために罪を犯す。神父である父親に罪を懺悔することで親子の絆をなんとか維持しようとする。その犯した罪が、パンツの盗撮であった。このあたりの設定が、なんとも園監督の面目躍如である。

ちなみに原作も園監督が書いているが、事実に基づいているそうである。なんでもパンツを盗撮する人と出会い、話を聞いた事がこの映画の原点にあるそうである。

しかし、この少年はパンツの盗撮を繰り返すも性の証がない。それは、ようするに勃起しないのである。それは何故か。たぶん、それは目的が違ったからである。性のはけ口としてパンツを盗撮しているのではなく、父親との絆をつなぎ止めたい一心で罪を犯すことが目的であったからである。

それでも少年は、ある女性と出会うことではじめて勃起する。これが映画ではなんとも象徴的に描かれている。偶然出会った女性のパンツの神々しいまでの白さが印象的である。

白さは、純粋さ、無垢の証であり、またキリストの象徴である。たぶん。そして、偶然出会った女性は、青年にとってのマリア様であった。

少年は、父親とともにキリスト教徒になっていた。人は原罪を背負っていると信じている。そして、前述したように罪を懺悔するために罪を犯し続けるのであった。それは、まるで原罪を背負って張り付けられたキリストのようにである。なお、この表現はあくまで隠喩である。ご了承ください。

なんだかよく分からん?。そんな人達に言い訳をしたい。とにかくこの映画はいろんな事象がてんこもり過ぎて当該ユーザーもよく分からんのである。したがって、解説内容も意味不明な箇所が多々あることをお詫びします。あしからず。

とにかく、なんだかなーと思いながらも嵌る、そんな映画です。なお、繰り返しますが、誰にでもお勧めできる映画ではありません。


町山智宏の映画解説 愛のむきだし

愛のむきだし ストーリー(前編)

当該映画は、DVDでは上下2巻に別れて収録されています。また、映画館で上映されたときには、休憩時間が設けられたようである。

<主人公ユウ>
高校生のユウは、キリスト教の神父をしている父親と暮らしていた。父親は、妻を亡くした後、信徒から神父となっていた。ユウは、そんな父親から毎日のように罪を告白しなさいと詰め寄られていた。父親は、人は原罪を背負っており罪を犯しているはずと言って憚らなかった。

しかたなくユウは、自ら罪を犯しはじめた。そして辿り着いたのが女性のパンツを盗撮することであった。いつしか、ユウはその達人となっていた。しかし、かれにはパンツを盗撮する技術はあっても、それによって性的な興奮、つまり勃起をすることがなかった。

そんなとき、偶然出会ったヨーコにこれまでに感じなかった何かを体感していた。

<主人公のマリア/ヨーコ>
ヨーコは、荒んだ不良少女であった。父親には幼い頃から虐待にあっていた。また父親は、次々と女性を連れ込んでは新しい母親だと紹介した。親の愛情をなんら受けずに育った彼女は、当然のように荒んだ性格を育んでいた。

人の愛情のなんたるかを知らないまま育ったヨーコは、いっぱしの不良となり向かいところ敵なしの強さを誇っていた。そんな彼女にかつて父親と暮らしていたある女性から一緒に暮らすことを提案される。

その女性は、ある神父と結婚し一緒に住むと言う。そして、その神父の家に行くとヨーコを自らのマリアとして想うユウがいた。

<後編に続く>

■愛のむきだし 園子温監督 2009年公開

愛のむきだし(Love Exposure)
監督・脚本・原案:園子温
<キャスト>
西島隆弘(ユウ)
満島ひかり(ヨーコ)
安藤サクラ
尾上寛之
清水優
永岡佑
広澤草
玄覺悠子
中村麻美
渡辺真起子
渡部篤郎(ユウの父親)

上映時間 237分

<愛のむきだし/原作本とDVD>
父親から懺悔を強要される優等生のユウは、毎日「罪作り」に励んでいた。それは次第にエスカレートし、やがて彼は“盗撮のカリスマ”になっていた。運命の女性・ヨーコと出会ったユウは、生まれて初めて恋に落ちる。が、ヨーコには、謎のカルト教団の魔の手が近づいていた。

愛のむきだし (小学館文庫)

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