幕末の殺伐とした雰囲気が漂う傑作!
映画「竜馬暗殺」
坂本龍馬:原田芳雄
中岡慎太郎:石橋蓮司
右太:松田優作
幡:中川梨絵
先日、エヌエッチケーで竜馬暗殺に関する番組を観ていて「竜馬暗殺」という映画を思い出した。この映画は、1974年に公開されている。個人的には、ずーと後になってから観たのであるが、どこで観たかそれは定かではない。ま、どこかの名画座であるのは間違いないが…。
この映画は、ATGというインディーズ系の映画製作・配給会社が製作したものと記憶している。ちなみに、この映画会社はもう存在していない。
予算がないことから、16ミリで撮影し、それを35ミリに焼き直したと何かで読んだ記憶がある。また、モノクロである。しかし、それらも結果が幸いにも良い方向に転んだ希有な作品である。なにしろ、なんとも殺伐とした時代の雰囲気がそれによって醸し出されたのである。
それが、監督の計算であったか、単なる予算の都合であったかは、知る由もない。
薄汚くても、なんとも魅力的な竜馬である
竜馬を演じるのは、日本のジャック・ニコルソンとも云うべき原田芳雄である。この当時の原田は、役者としても肉体的にもまさに油の乗った時期であった。ギラギラとした男臭さは、かつての三船敏郎のデビュー当時を彷彿させる。また、間もなくブレイクする松田優作も岡田以蔵をモデルとした殺し屋の役で出ている。
竜馬役の原田は、独特の男臭さとユーモアを重ね合わせた竜馬像を実にうまく演じている。まさに竜馬を体現していると思わせるほどであったと記憶している。脇を固める役者も、前述した松田以外にも達者な役者が揃っていた。竜馬と同じく暗殺された中岡慎太郎役に石橋蓮司、竜馬の妻をモデル?とした役に中川梨絵、竜馬が滞在していた近江屋の娘に桃井かおりなど錚々たる顔ぶれが揃っている。
この映画はモノクロであり、かつ映像は粒子が荒くざらついている。しかし、この映像の表現が、幸いにも時代の雰囲気を創りだしている。なんとも汚らしく、かつ雑然とした時代を創出するのに成功した。そして、緊迫感が漂う世界もである。
本作は、竜馬が暗殺されるまでの3日間という、ほんのわずかの日々に絞ったものであり、その舞台はほとんど滞在する近江屋を中心としたものである。しかし、以外にもそれが故に竜馬を濃厚に感じられる映画である。
個人的には、竜馬をモデルとした映画、テレビドラマなどのなかで最良の作品が、本作「竜馬暗殺」である。
竜馬暗殺 DVD
幕末の志士・坂本竜馬。彼が暗殺されるまでの最後の3日間を、70年代の新左翼運動の内紛とダブらせて、16ミリ撮影によるザラついた映像で描く。
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<スタッフ&キャスト>
監督:黒木和雄
坂本竜馬:原田芳雄
中岡慎太郎:石橋蓮司
右太:松田優作
妙:桃井かおり
幡:中川梨絵
富田三郎 :粟津號
藤吉:野呂圭介
大久保利通:田村亮
中村半次郎:外波山文明
岩倉具視:山谷初男
公開:1974年 製作・配給:ATG
以下は、龍馬暗殺犯、さらには幕末維新の真相を暴く、驚愕の書。
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