シリコンバレーの海賊たち
バトル・オブ・シリコンバレー世界を変えた2人ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズを描いた、実話に基づくストーリー。
アップルが、10年ぶりに減益となったそうである。スティーブ・ジョブズ亡き後、果たしてどうなるか興味が尽きないアップルであったが、早くも失速のようである。とはいっても90年代中頃にジョブズが、復帰する以前とは比べようも無い大企業である。上り詰めたものは、何れ下がるのは鉄則である。
いつまでも上り続けられるはずがないだろう。今後、どのような企業になるのか。先の事は誰にも分からないが、ジョブズの精神、革新性は受け継いで貰いたいと思うのである。
ジョブズは、海賊の親分だった
映画「バトル・オブ・シリコンバレー」の原題は、「パイレーツ・オブ・シリコンバレー」である。つまり、シリコンバレーの海賊である。これは、実際にジョブズが80年代にマッキントッシュの開発チームを率いていたときに、スタッフを鼓舞するためのメッセージであった。なんでも、海賊を表すフラッグもあったようである。
この映画では、ジョブズとビル・ゲイツの二人がシリコンバレーで成功していく過程を写し取っている。ちなみに、日本未公開である。したがって、DVDで観るしかない。ただし、現在レンタル店にあるかどうか、その保証はない。
何故、ジョブズとゲイツが海賊か。というと二人とも他人の開発したソフトや製品を盗むのになんの躊躇もしなかった。盗み取るといっても、そこは合法的にであるが。まずジョブズは、云わずと知れたあのアイコンを含む、グラフィカル・ユーザー・インターフェイス、通称GUIと呼ばれるシステムをゼロックスの研究所から盗んだ。
しかし、ジョブズは盗んだ意識はなかったと思われる。ゼロックスは、まったく製品化する気がなかったのである。したがって、アップルは堂々とこのシステムの開発を引き継ぎ製品化を進めることができた。
一方、ゲイツも負けてはいない。IBMのシステムを開発する際、何ら持ち駒がないにも関わらず開発を受注する。そしてDOSというシステムの基になるソフトをある人物から、合法的に譲りうけるのである。もちろん、IBMのシステムになることを隠してである。
さらに、ウインドウズの開発の際には、なんとジョブズから開発中のマッキントッシュを譲り受け、まんまとそのアイコンを始めとしたGUIを盗んでしまう。当然、ジョブズは怒り、ゲイツを呼びつける。しかし、ゲイツもあんたも盗んだだろう。と言い返し、ジョブズはぐうの音も出ず引き下がるしかなかった。
ジョブズのしたたかさ
ジョブズが90年代に、アップルに復帰後その秘密主義が話題となったが。どうやら、ゲイツにしてやられた後遺症のようである。以降、ジョブズは慎重に事を進めるようになり、現在のアップルの隆盛期をもたらした。この映画は、実質的に追放されたアップルに復帰したジョブズが、ゲイツ率いるマイクロソフトから資金提供を受けることなったことを発表するシーンで終わる。
会場に集まったアップルファンからのブーイングを浴びながら、ジョブズはにこやかに微笑みながらスピーチするのである。その後のアップルを考えると、なんともしたたかな微笑みである。
本作でジョブズとゲイツを演じた俳優は、とても雰囲気がよく似ており演技も素晴らしい。まもなく、ソニーピクチャーとインディーズ系のふたつのジョブズ伝記映画が公開されると思うが、本作もよく出来た映画である。個人的には、この映画より面白くするのはなかなかしんどいと思うのである。さて、新しい映画はどんなものになるだろうか。
以下は、バトル・オブ・シリコンバレーのDVDとジョブズの伝記1と2。
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