■小説自作|コンビニの夜7 芳しの乙女たち、JKペア現る

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コンビニの夜7 芳しの乙女たち、JKペア現る

作:cragycloud
登場人物:アタシ(21歳の芳しと呼ばれたい女性)

アタシの存在意義は何処へ

 ピコン、ピコンと腕時計型端末が緊急を示す赤色を灯らせながら鳴っていた。

「おはよー、ハニー。緊急指令だ。豊洲に怪獣が現れたすぐに行ってくれ」
「はーいボス。だけどいやだよー」と言ってやった。

「ハニー、ハニーちゃん。何を言ってるんだキミはー、あん」
「だってー、豊洲って毒があるでしょ、そんな場所にか弱いアタシが行けるわけないじゃん。そうでしょー」

「ワハッハ、テャーというか、キミはアンドロイドなんだから問題ないから」
「あ、そうなの。テャーというか、アタシは人間じゃないの、悲しいー」

 そうなのだ、アタシは人間ではなくアンドロイドなのだった。それが実は悲しかった。それをいま思い出させたボスに怒りモードのスイッチが入っていた。

「ま、その問題はあとにしよう、行ってくれたらまたなんかプレゼントするから」
「あっほんとー、じゃねエステローダーとサンローランのねー」と、怒りモードから、瞬時におねだりモードに変わっていた。

「わかった、それあとで聞くからね。すぐに行ってくれないか」
「ラジャー!、ボス。キューピー・ハニー出動しまーす」

 怪獣が現れた豊洲新市場に着くとそこには、なんとも得体の知れない奇妙奇天烈な怪獣が2体いた。ボスに現場到着の連絡をすると怪獣の名前は、「ベンゼンなんたら」と「シアンなんたら」だと言っていた。

 豊洲には、かつて化学工場があって土壌が汚染されていた。その汚染された土壌がなんらかの作用をもたらし怪獣が発生したようだった。

 アタシは、よく理解しないままに「ベンジョコーロギ」と「シアンコロガシ」と勝手に名前を付けていた。どっちしろ、怪獣に変わりはなかったからだ。とにかく、名前なんかどーだっていい、早くやっつけてエステローダーとサンローランの化粧品をゲットしたかった。

「おーい、そこの気持ちわりー怪獣ども。このキューピー・ハニーちゃんが、これからお前たちをこの世から抹殺するからな。それが嫌なら、とっとと失せろ」と怪獣どもに逃げる機会を与えてやった。

 できれば戦わずに済ませたかったからだ。なにしろ、戦いは疲れるからだ。

 しかし、怪獣どもはアタシの忠告など意に返さずに、ドシン、ドシンと地響きと臭い体臭を放ちながら近づいてきた。

 仕方がない、必殺ワザを繰り出すしかないかと思うと同時に、ハニーフラッシュのポーズを取っていた。

「えーい、怪獣ども。月に変わっておしおきよ。くらえハニー・フラッーシュ!」と叫ぶと、怪獣に向かって閃光がほとばしっていた。と同時にアタシは、ハニー・スペシャル・ドロップキックを怪獣に食らわせていた。

 確実に急所を捉えたはずだった。やったかと思って振り向いたが、そこにはまだ怪獣が臭い体臭をさらに強くして立っていた。どうやら、アタシの攻撃は怪獣の毒を巻き散らかしただけのようだった。

 そして気が付くと、怪獣「ベンジョコーロギ」と「シアンコロガシ」の2体に挟み撃ちに合っていた。これはヤバい、キューピー・ハニーの危機一髪だ。

 そのとき、「ビューティーペア参上!」という声が聞こえた。そして、爆音とともに爆煙が巻き起こり、怪獣の身を包み込んで一瞬にして消し飛ばしていた。

「ハニーせんぱーい、大丈夫ですか」という声がどこからか聞こえた。声がする方向に顔を向けると、そこには二人の戦闘服姿の若い女性が立っていた。

「えーとだれ、アンタたちは」と思わずアタシは言っていた。
「はじめまして、せんぱい。アタシたちは、芳しのビューティJKペアです」と言って、二人して決めポーズを取っていた。

 彼女たちは、新しい戦闘員のようだった。見るからに若々しく、体はシュッとしたスリムで、かつ顔がとっても小さかった。

 アタシは思わず、自らのお腹周りを意識せざるを得なかった。そして、ムムー、アタシのコンプレックスを刺激する嫌味なヤツらだと思っていた。

「芳しのって何かしら。どういう意味なの」とアタシは聞いていた。
「あ、芳しはですね、ようするに若々しくて美しいと同義ですね」
「ちなみに辞書には、においがよいとか、こうばしいと書かれています」

「あ、そうなの。なんでアタシには付かないのかしら」とアタシ。
「さぁー、どーなんでしょうか」とJKペアは小首を傾げて二人してニヤリとした。

 く、くやしいー。なんでアタシには芳しが付かないの。なんでキューピーなの。キューティーじゃないのは何故なのー、と思うと同時に、自分の存在意義について疑問が生じてきていた。

 アタシはいったい何なのー、アタシの存在意義は何処に〜とばかりに…。

(アタシの部屋)

「くわんばしのー、くわんばしのー」と叫びながら、アタシはベッドから落ちていた。起き上がりながら「くわんばしのー」とまた一言つぶやき、ベッドにもどると布団をかけてふたたび寝入っていた。

芳しの乙女たち、JKペア現る

 アタシは、21歳になっていた。コンビニのバイトも1年が過ぎていた。

「さむいぞ、さむいぞ」と小さく独り言を呟きながら信号待ちをしていた。1月の空はどんよりと曇り、ときおりどうだー寒いだろ〜、と言わんばかりに風がピューと吹いてきた。「ばかやろー寒いんだよー」とまた独り言を呟いていた。

 バイト先のコンビニに着くと、そこには入れ替わりとなる若い女性が二人してレジの仕事についていた。この二人は花もうらやむ年頃のJKであった。そして、それがアタシのアイデンティーをどん底に落とし込んでいた。

 なぜなら、これまでアタシが一番の若手だったからだ。同僚の男性陣になにか言われても、「ふーんだ、まだ20歳だかんね」で済んでいたが、あっという間に21歳となって、唯一の特権であった若さもJKたちに奪われてしまった。

 この一年何をしてたんだ、と思わずには居られなかった。夢の中では、何体もの怪獣をやっつけてきたが、現実の世界ではなんの進展もなく、自分自身のなかでもあらゆる進化も深化もなかった。いやはやと思うしかなかった。

 それはさておき、二人のJKペアを見るにつけ思わずには居られないことがあった。それは、なーんて顔が小さいのだということだった。アタシは彼女たちの1.2倍は顔がでかい、いや正直にいうと1.3倍かもしれなかった。

 それにスリムだったし、そこがまたアタシのコンプレックスを刺激した。アタシは、いつの間にかお腹周りがキューピーみたくなっていた。そんなはずはないと何度も確認したが、事実は残酷なまでに客観的であった。

 アタシといつもペアを組むマスク・オブ・美人のともみさんは、そんなことは意にも返さずに平然としていた。アタシとは随分と違っていた。そこはやはり大人というべきか、麗しの美人さんだからか、それは知る由もなかったが。

「ねー、ともみさん。JKペアの彼女たち、顔が小さくないですか」
「そうかしら、よくわからないわ」
「アタシと比べてどーですか」と禁断の比較を聞いてみた。
「えーと、そうねー、あまり変わらないわよ」と、ともみさんは言ったが、どこか言いにくそうだった。

「そんなに気になるんだったら、一緒に写真でも撮ったらどうかしら」
「え、そんなー。勇気がいるんですけどー」
「そんな大げさなことじゃないと思うけど、そうなの」

 自分なりに熟慮したあげく、ついに決心をしてJKペアと一緒に写真を撮ることにした。彼女たちと交代するとき、意を決して一緒に写真を撮ろうと言った。

「あのー、花も恥じらう乙女の彼女たちー。お願いがあるのだけどいいかなー」
「あーはい、なんですかー」
「あのね、一緒にね。写真を撮りたいんだけどいいかなー」とアタシ。
「かまわないですよ、べつに」ここはいいともーと言ってほしかったが、JKはアタシと違って実に冷静だった。

「あのね、君たち可愛いでしょ。うん、うん、とっても可愛いよね。だからね、アタシはちょっと引け目を感じちゃうのね。いや、気にしないでいいから。顔もでかいし、スタイルもね、あれだしね。でもね、でもね、アタシ思ったの。可愛いあなたたちと写真を撮るて意味あるなーっと思ったの…」どんな意味があるのか、それは顔がでかいかどうかを再確認するためだったが。

 くどくどと言い訳がましく、また自虐的なことを言ってると、写真を撮る役目を押し付けられたともみさんが、早くしろとばかりに目で合図をしてきた。

 そこでようやく写真を撮ることになった。アタシがセンターで両脇にJKペアが立っていた。JKペアはさすが年頃の乙女たちで、しっかりと可愛いポーズをしていた。ところが、アタシはこわばってしまって笑顔が硬かった。

 ともみさんが、それに気がついてもう一枚撮るかと言ってきた。しかし、アタシは「いいです、いいです、もう十分です」と言っていた。なにしろ、顔のでかさを確認するだけだから、2枚も3枚も撮る必要はなかった。

「おつかれさまー」と言ってJKペアが去ったあと、ともみさんが写真を見るかと聞いてきた。アタシはあとでと言って、スマホを受け取っていた。

 この写真をいつ見るか、それが問題だった。いま見たらきっと落ち込んでしまい、仕事に支障をきたすと思われた。この時点で、もはや私には覚悟が必要となっていた。あとは、どんだけ落ち込んでしまうかが気がかりとなっていた。

 仕事にできるだけ没頭するようにして気を紛らわせた。ともみさんから、今日は働き者ねと言われてしまった。「いやー、いつも働いてますよー」と言ってみたものの、ともみさんの一言はぐさりと刺さっていた。

 たしかにね、思い当たる節は重々ありますよ。だけどいま言わなくてもいいじゃないですかー、とアタシはなぜかナイーブになっていた。それもこれも、あの写真のせいだった。顔がでかいことを認定する覚悟ができていなかったからだ。

 なんとか仕事も終わって、家に帰り着いた。なんせ昼と夜が逆転してるから、もう眠くなっていた。写真のことより眠気が勝っていたので、着替えるとすぐにベッドにもぐりこんだ。

 ところが、なんと夢の中に例の写真が出てきたのだ。夢の中で見た写真は衝撃的だった。なんと、アタシの顔がJKペアたちのかるーく2倍はあったのだ。

 いやいやいや、これは違う何かの間違いだと思おうとしていた。しかし、まぎれもなく写真のなかにいるのはアタシだった。夢の中だけどシクシクと泣きだしていた。そしてそれは号泣へと変わっていた。

 夢の中で号泣する自分に、現実の自分が驚いてハッとして起き上がっていた。そして、枕元にあったスマホを取ると例の写真を探して確認してみた。

 そして、「よかったー」とホッと胸を撫で下ろす気分となっていた。写真に写っていたアタシの顔は、JKペアの2倍はしていなかった。アタシが想定していた1.3倍より大きいようだったが、とにかく2倍はなかったので安心した。

 そう思うとまた眠気が襲ってきて、そのままベッドに入って深い眠りについた。そして、しばらくすると何事かを呟いていた。

「1.3倍…、1.3倍…、1.3倍…」と寝言を繰り返していた。

コンビニの夜7 おわり

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