■映画|クラウドアトラス 時を超えた物語

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それは繋がっている。過去、現在、そして未来まで

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人は一人ではない、いつでも他者とつながっている!?

命は自分のものではない、子宮から墓場まで。人は他者とつながる、過去も現在も。すべての罪が、あらゆる善意が未来を作る。

これは、映画のなかで語られる言葉である。元ネタは旧ソ連の反体制作家のソルジェニツィンが語った言葉にあるらしい。この言葉の引用からして、映画のベクトルが想像できるはずである。

「クラウドアトラス」は、「マトリクス」のウォシャウスキー姉弟と「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァが共同脚本・監督をしたSF映画である。原作は、デビッド・ミッチェルの同名タイトルの小説である。6つの時代の、それぞれの物語を丁寧に紡ぐようにして作られている。

その丹念な織物のような映画は、一度観ただけでは理解するのが難しいかもしれない。

しかし、例え理解はできなくても、なんら不自然な感じを得ないで鑑賞することができる。それは、監督たちの手腕によるものである、と個人的には思うのである。しかしながら、この映画を観るにあたっては、予備知識が多少あったほうがおもしろいと感じるはずだと思う次第である。

そこで、感想を述べる前に、映画の内容を以下の様に簡略化して紹介しておきます。

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<クラウドアトラス/あらすじ>

6つの時代の、それぞれの物語が時を超えて紡ぐように織りなして展開していく。

1849年/波乱に満ちた航海の物語
奴隷解放の前、奴隷売買の契約に携わる弁護士ユーイングは、医師グースとともにアメリカへの岐路の船旅に着く。しかし、その舟には脱走した黒人奴隷が潜んでいた。そして、奴隷はユーイングに助けを求めてきた。

1931年/幻の名曲の誕生秘話
偶然発見したユーイングの航海日記を愛読する音楽家フロビシャーは、幻の交響曲「クラウド・アトラス六重奏」を完成させた。しかし、彼は自らの過ちから自殺しようとしていた。

1973年/巨大企業の陰謀
アメリカ。意図的に原発事故を起こすことで、石油利権を維持しようとする企業の企みが推進されようとしていた。それを知った物理学者シックススミスは、その情報公開を知り合ったばかりのジャーナリストであるレイに託す。しかし、それを阻止しようと闇の手が忍び寄っていた。

2012年/ある編集者の大脱走
ロンドン。編集者カベンディッシュは、作家ダーモットが起こした事件によって、その著作がベストセラーとなったことから、出版元でもあり大儲けをした。しかし、作家の親族から金を寄越せと脅迫を受けていた。銀行にあるはずの儲けたお金は負債の天引きにされていた。苦境になった彼は、実兄に助けを求めたが…。

2144年/伝説のクローン少女と革命
未来社会。全体主義国家のネオソウルでは、遺伝子操作で作られた合成人間が労働力として酷使されている。合成人間であるソンミ451は、ある日、革命家チャンに救出され、初めて外界に足を踏み入れる。そこで彼女は、自分たち合成人間が一種の共食いをするシステムのなかにあったことを知った。

崩壊した地球での戦い
文明の崩壊した未来の世界。ある島では凶悪な人食い種族に怯えながらも、人々は遥か昔、世界を救ったとされる女神ソンミを崇め、素朴な生活をしている。ある日、島に科学文明を維持したコミニティーからメロニムという女性がやってきた。

参考:ウィキペディア及び映画のウエブサイトより

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クラウドアトラスは、カルトムービーになるか

当該映画は、もしかしたら「ブレードランナー」のような、カルトムービーになるかもしれない。その理由は、いくつかある。まず、非常に丁寧に創られた革新的な映画であること。そして、そのテーマ性は不朽的であること。さらに、公開時には大ヒットしなかったこと。などが上げられるだろう。「ブレードランナー」も公開時は大コケした映画として有名である。

したがって、その評価はもうしばらく待つ必要があるようだ。レンタルが開始されてまだ数ヶ月である。これから徐々に評価が高まるかもしれない。個人的な感想を述べるとそうなっても可笑しくはないが、「ブレードランナー」には及ばないだろうと感じている次第である。しかし、これは個人的な趣向性もあるのでなんとも言えないところである。

カルトムービーになるには、いくつかの尖鋭的な要素が必要であるはずである。それは、これまでの概念を覆す表現方法やテーマの設定・解釈の仕方などである。それによって、公開時には理解されなかったが、後年になり評価が高まりカルトムービーとして認知に至るのである。「クラウドアトラス」には、その要素がいくつか当てはまっているのは、前述したとおりである。

ちなみに、「クラウドアトラス」の製作費と興行成績は以下のとおりです。
ハリウッドでは、製作費の3倍の興行収入が収益の目安であるらしい。それを考えると目標未逹というしかなさそうである。(興行成績ウィキペディアより)

製作費:1億ドル(約100億円)
興行成績:アメリカ 約2,700万ドル
    :世界 約1億3,000万ドル

システムという見えない支配者との戦い

6つの物語には、それぞれシステムという目には見えないが、何者かが支配する世界が描かれている。奴隷解放前の時代では、人に序列を付けていることが当たり前の世界であった。それを覆すのは、異端として除かれる運命を与えられた。1930年代では、音楽と云う閨閥や経歴とは一見関係ない世界でもシステムが存在していた。無名という存在では、音楽でさえ発表する機会を与えられなかった。

1970年代では、石油利権こそが最大のシステムであったようだ。その利権の前では、簡単に人は抹殺されてしまうのだ。2144年では、クローン人間が労働力として活用されている。そして、クローン人間は、宗教的な儀式や教えで洗脳教育され都合の良い道具として使われる。さらに一定期間を経ると抹殺されて、リサイクルされるのである。そのシステムは、現在の人間社会を皮肉ったかの如くである。

崩壊した世界では、弱肉強食の世界にもどり、善意の人々は動物的本能の人々の前では怯えて暮らすしかない。このシステムは、人類の歴史のなかでも最も古いシステムである。しかし、それは現代でも衰えてはいない。深く静かに潜行しており、忘れた頃に現れるのである。映画の後半では、人類は地球を捨ててどこかの惑星に住んでいることを思わせる。

しかし、そこでも新しいシステムが、また現れるだろう。どうやら、人類とシステムは離れられないようだ。善意なシステムを生むか、そうでないかの違いでしかないようである。

<クラウド アトラス:Cloud Atlas/スタッフ&キャスト>
監督・脚本:ラナ・ウォシャウスキー
     :トム・ティクヴァ
     :アンディ・ウォシャウスキー
原 作:デイヴィッド・ミッチェル『クラウド・アトラス』
出 演:トム・ハンクス
   :ハル・ベリー、他
時 間:172分
公開年:2012年 米 2013年 日本

以下は、クラウドアトラスのDVDと原作本(上下あります)

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