■社会|イオン、トップバリュを4割削減?ついでに商品政策の見直しに着手するとか

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ここには、あなたの欲しいものはありません!?

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PBの罠にはまったイオンは、いずこへ

〆ネットでは、「トップバリュいらね!」という声が盛んにいわれていた。

イオンがついにというか、ようやくというか。商品政策の仕切り直しをするそうである。昨今では、イオンのスーパー事業はずーと赤字が続いていて、その原因がトップバリュというPB(プライベートブランド)にあるといわれていた。顧客と現場はそれに気が付いていたが、本部は気付かない振りをしていたと思われる。

ネットでは、ずいぶんと前から「トップバリュいらね!」という声が盛んであった。イオンもそれに気が付かなかったはずはないが、何故かその後もどんどん商品の幅を広げて行くという逆の方向へと舵を切っていた。

イオンとすれば、認知が浸透されれば自ずと顧客は付いてくると踏んだのかもしれない。しかし、そこは顧客にも選択の権利がある。安かろう、悪かろう、安心・安全も不安だ、という商品に飛びつくような顧客はそれほど多くはいなかった。

むしろ、どんどん増えてくるトップバリュによって棚が占領されて、NB(ナショナルブランド)や地方ブランドが棚から消えていった。それに伴って、顧客は品揃えの悪さを認識するようになり、他のスーパーへと向かうことになっていた。

これに現場が気が使ないはずはない。たぶん、本部に意見を具申したはずである。しかし、想像するにそれは却下されて本部の言うことを聞けとばかりに押し戻された。そのような光景が思い浮かぶ次第だ。違うか。

役所の縦割り行政のごとく、イオンも大企業ならではの弊害に陥っていた。一旦走り出したら止まらない、例えそれが間違っていたとしてもである。それを正論で指摘しようものなら、左遷または首になるかもしれない。

たぶん、イオンでも異を唱えた人達もいたはずだ。商品政策の見直しを求めて、まっとうなサービス(顧客起点の)を行おうと…しかし、それも適わずに去った人もいるのではないか。とくに、イオンに買収されたスーパーのなかに…。

〆合理化・効率化重視の落とし穴、それがPBかもしれない。

PBは、けっして悪い商品ではない、しかし、その役割の設定を間違えるととんでもない事態となる。その見本がいまイオンで起きていることではないか。セブンイレブンのPBはけっして評判は悪くない。それどころか、セブン躍進の要ともなっている、と経済誌等には書かれている。

それに対して何故、イオンのトップバリュは評価が低いか、いや、それどころか嫌われているか。それは、その魂胆が透けて見えるからである。売り場を見てみれば一目瞭然であるだろう。商品棚には他の商品を押しのける様にトップバリュが、「さあ買え、さあ買え」とばかりに主張している。

イオンは、顧客の安価な商品ニーズに合わせたと思っているだろう。しかし、顧客の望みはNB(ナショナルブランド)の安価な商品が欲しいであった。そこを読み間違えたとしか思えない。したがって、NBの欲しい商品が棚から消えたスーパーに行くことはない。

これは、当たり前であった。「欲しいものがない」ようなスーパーで買い物をする必要はないし、他の店舗へ行けばいいだけである。イオンは、来店すればNBがなくとも変わりにトップバリュを買ってくれると考えたに違いない。

しかし、それは甘かった。顧客の方が何倍も賢明な判断をしていた。イオンは、その規模のでかさから顧客をどうにでもできると思ったのではないか。

PBの商品開発はオリジナルではなく、NBの商品をベンチマークして開発されているはずだ。したがって、いわばその多くが偽物といってもいい。NBのメーカーは開発に多大なお金をかけて、他社とは異なる商品を造り上げることに血道を上げている。そして、その結果としてようやく市場に出回ることになる。

しかし、PBはそんなNBメーカーのいいところだけをチョイスして、しかも品質を落とし、さらに安価に設定して販売する。開発コストがいらないし、経費が少なくて済むことから粗利は増えるという具合である。

この粗利が増える商品は、スーパーにしてみれば喉から手が出るほどに欲しい商品だ。何故なら、NBや地方ブランドで品添えしても利幅が低いからだ。しかも、PBが売れてくれれば、流通コストも削減できる。まさに、一石二鳥の商品だった。

経営者が望むであろう、合理化や効率化に願ったりの商品、それがPBであった。しかし、一方ではそこに罠が仕掛けられていた。その罠に嵌ったのがいまのイオンではないかと想像する。

〆マーチャンダイジングこそ小売りの命であったはず、しかし、そこを合理化という誘惑に駆られて進んだ結果が、イオンのスーパー事業の苦境の原因ではないか。

イオンモールは盛況といわれているが、そこにあるイオンのスーパーは素通りする人が多いそうである。それは何故かといえば、どこも似たり寄ったりの店舗であるからそこで買う必要性がないからに違いない。

似たり寄ったりとは、商品の品揃えのことである。どうせ、「トップバリュばかりでしょ」ということを顧客は気が付いてしまっている。

スーパーに限らず、小売りの命は「品揃え」にあるはずだ。小売り業界では、これをMD(マーチャンダイジング)という。これは、マーケティングと同義語である。したがって、その基本は「顧客起点」にある。使命は、顧客の満足度の向上だ。

至れり尽くせりの品揃え、これこそがスーパーの場合の品揃えの理想である。商品の幅、奥行き、価格、それぞれに対応できれば向かうところ敵なしに違いない。ところが、そんな理想はなかなか現実化できない。そこで、イオンは規模の拡大と市場の独占によって他を押しのけていくことにした。たぶん。

その結果、地方の有力スーパーはイオン傘下となり、あのダイエーもいまではイオンとなった。しかし、買収したはずのイオンがまさかのダイエー化するとはいかに。ダイエー化とは、末期のダイエーが陥っていた「なんでもあるけど、欲しいものがない」という状態を指している。

イオンは、かつてのダイエーのいつか来た道を辿ろうとしているように見える。

〆合理性や効率化が優先順位のトップバリュ(第一の価値)

前述したように、本来あるべきMD(マーチャンダイジング)は顧客起点である。
しかし、イオンのMDでは顧客はないがしろにされて、合理性や効率化が優先順位のトップバリュ(第一の価値)であった。

顧客起点の小売りとは、顧客の欲しいものを売ることに尽きる。また、顧客の潜在意識にあるニーズを先読みすることも大切となる。顕在化する前にそれを提供できれば、他社より優位に展開することができるからだ。

〆ウォルマートの例を出すまでもなく、現在の小売りはPOSデータを元に様々な解析をしてそれを品揃えや売り方などに活かしている。

すべては数字となって把握できるシステムが備わっている。それがいまの小売り業である。したがってイオンが、トップバリュの現状を把握していなかったはずはない。それでもなお、PB偏重路線を突き進んでいたのは何故か。それは、経営トップとその幹部達にあるのは必然であろう。

トップ及び幹部達は、下からの意見具申に建設的でないとしたに違いない。あくまで想像であるが、そのように考えられる。そうでなければ、システムがおかしいとしか言い様がない。多大な投資のシステムはなんのためだったか。

ウォルマートのデータ活用の例として有名なのが、乳児のおむつの近くに缶ビールを山積みにしたという話しがある。これは、おむつと一緒にビールを買う顧客が多かったからだ。イオンの店舗では、棚のエンド(プロモーションエンドともいう、季節、限定商品などを訴求)に、トップバリュを山積みにしていたそうだ。PBは定番商品だから、本来はエンドで展開する商品ではないはずだが。

ある時期から、トップバリュの広告が増えたように感じた。それは、きっと経営トップ等の強い思惑を感じて、広告でなんとか顧客を釣ろうと足掻いた結果ではないか。と穿った見方ではあるが、想像する次第である。

トップバリュは、大量のコマーシャルで認知はされているが、はたしてその支持者はどのくらいいるか?、はなはだ疑問である。

トップバリュの不人気は、顧客、現場、そしてなによりもデータによって明らかだったはずだ。しかし、それを押しのけて進めて来たのは何故か?。結局のところ、「分かっちゃいるが、もう止められない!」それが実態だったのではないか。

最後に一言、トップバリュとは、顧客にとっての第一の価値ではなく、「経営者達にとっての第一の価値」であったといっていいかもしれない。

「トップバリュやめようか」…イオン挫折、出直しへ (日経)

………………………
なお、上記内容はあくまで想像に基づいた見解であることをご了承ください。

ついでに加えると、PBといえば日本での先駆者は西友の「無印良品」ではないかと思う。ダイエーの「セービング」もおなじ頃だったと記憶しているが、どちらが早かったか、それは残念ながらよく分からない。

しかし、いまでもその存在価値を高めているのは「無印良品」である。PBの優等生と言っていいだろう。いや、いまではPBとはいえない、もはやブランドとなってしまった。それも有力なブランドにである。

そんな「無印良品」であるが、平成生まれのヤング諸君は、西友から生まれたPBであったことを知らないに違いない。しかし、そんなことはもうどうでもいいと思わせる程に価値あるブランドになっている。

「トップバリュ」と「無印良品」の違いはどこにあるか?。それは、センスの差異にあるのは間違いないだろう、と思うがいかに。

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