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■企業|ZOZOに不安要素が強まる 有力ブランドが退店、PBの評価も低下する

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前澤社長の露出過多に顧客はどう思っているか

ZOZOの未来はいかに

 会社名を「ZOZO」に改名したアパレル通販サイト「ZOZOTOWN」の評価が、最近では下降気味である。(旧社名はスタートトゥデイ)ZOZOへの出店会社は1139店、出店するブランド数は6820になる。(2018年7月)

 2019年新春セールの取扱高が史上最速で100億円を突破したそうだが、その反面、今後の動向を危惧する報道が多くなっている。それでも、年初から1億円(個人資産から)のお年玉をくばるイケイケぶりを発揮して話題を提供している。

 2018年、前澤社長は、女優さんとの交際をSNSを通じて発信しまくり、話題を提供し続けたが、それと反比例するようにZOZOの評価は低下した。マスコミはこぞって前澤社長の話題を報道したが、それが顧客獲得に繋がったかどうか。

 優良顧客(リピーター)、および出店有力ブランドは、それぞれやりすぎにも程がある、と思ってるのではないか。そんな想像をしてしまうがいかに。

 自分ぴったりの身体サイズが判るゾゾスーツの無料配布と、それに基づいたプライベートブランドを売り出したが、顧客からの評価は低く、製造工程の不備ばかりが注目された。企画目的はいいが、肝心の品質が追いついていない。

 さらには、ZOZOTOWNの基盤である出店ブランドの中から、有力ブランドの退店があり、今後の動向が注目されている。ZOZOでは、毎年のように売上歩率を上げており、それが出店各社の収益を低下させている。

ZOZOでは、オフセールが当然

 退店したブランド(オンワード)では、自社のブランド価値の維持と自社通販サイトを強化する方向という。ZOZOで売るには、オフセールが必要で、かつ利益率が低下ぎみとなれば、退店し自社サイト強化は必然の流れというしかない。

 ZOZOでなくてはならない、という理由が失われつつあるようだ。顧客からの支持率が他を圧倒するほどであればいいが、昨今では顧客が引き気味という噂もあるようだ。それは、前澤氏のメディア露出過多と無関係ではないだろう。

 また、取引各社もZOZOをあくまでアウトレットセールの場として活用する、という動きもあるようだ。とすると現在のような高いブランド力は失せて、たんなる在庫セールの通販サイトとなってしまう。

 創業以来、急成長を続けてきたZOZOも転換点を迎えたのかもしれない。今後は、プライベートブランドの品質向上と、有力ブランドの維持、新規ブランドの発掘、育成に懸かっているか。それとも、オフセールをさらに強化するか。

 ちなみにオフセールの強化は、タコが足を食うようなものと思うがいかに。

 2019年は、前澤社長の手腕が問われるのは間違いない。なお、個人的にはおなじアートファン(ただし購入者と見るだけという大きな違いあり)として、ZOZOには独自の戦略とその展開を期待したい、と思います。

 上記した内容は、2018年のZOZOの動きを客観的に整理したものですが、若干負のバイアスがかかっているかもしれません。なぜなら、やはり前澤社長の露出過多に食傷ぎみだからに他なりません。いやはや。

 とにかくZOZOでの正価販売はむずかしく、顧客はセールにしか期待していない。したがって、PBも低価格が求められる。次代のアマゾンか、またはユニクロか、それとも独自の道を切り開くことができるか、それが注目される。

「ZOZO離れ」オンワードだけではない!?セレクト各社の危機感
新春セールの取扱高が史上最速で100億円を突破したというアパレルECサイトのZOZOTOWN。ZOZOの前澤友作社長は私財で総額1億円の現金プレゼントをぶち上げ意気軒高だが、一部の出店者は、やや異なる気持ちで新年を迎えたようだ。

冒頭写真:ZOZO前澤社長とバスキア作品
引用:https://bt.cdn.bijutsutecho.com/magazine/4333/main/704×396/basqiat01_c_small.jpg?v=6

ZOZOの歴史を顧みる


引用:https://number.bunshun.jp/articles/-/831400

 前澤社長は、スタートトウディを設立する以前は、バンドマンだった。(ドラマー)インディーズでデビューし、全国のライブハウスなどで活動していた。

 ライブでは、生活費や活動経費を賄う目的でCDやグッズなどを販売、それがZOZOTOWNへと繋がっていくことになる。

✔︎1998年/自宅(千葉市)にて有限会社スタートトウディを設立。CDやレコードのカタログ通販をはじめる。

✔︎2000年/スタートトウディを株式会社に改組し、裏原に代表されるストリート系のアパレル通販サイトをはじめる。

✔︎2004年/新しく「ZOZOTOWN」を立ち上げる。ユナイテッドアローズやビームスをはじめ、おしゃれ系有力ブランドが多数出店する。

✔︎2007年/東証マザーズに上場する。

✔︎2012年/東証1部に昇格する。

✔︎2017年/現代アーティスト「バスキア」の作品を約120億円で購入。

✔︎2018年/10月、会社名を「ZOZO」に改称する。時価総額は約1兆円、前澤社長の個人資産は約5千億円といわれる。

2019年、ZOZOの動向を勝手に予想する


引用:https://sociopouch.files.wordpress.com/2018/04/pjimage-23.jpg

 ZOZOの特徴は、端的にいえば出店・ブランド数の多さ、そしてお手頃価格ということができるだろう。顧客にとっては、センスのいいブランドが低価格で購入できる便利なファッションECサイトということになる。

 絶好調と言われた企業にもいずれは壁が立ちはだかります。それを如何に脱するか、2019年のZOZOの施策の方向性を想像してみたいと思います。なお、単なる思いつきであり、ツッコミどころが満載であることをご了承ください。

その1)優良顧客へのおもてなし

「ZOZO・ザ・パーティー」を開催する。ZOZOの固定客のなかでも、ぶっとい顧客を対象にした、顧客維持政策である。中国王朝の酒池肉林とまではいかなくとも、それに近い想像を超えた顧客優待を実施する。

 流行りのエンタメありーの、美女・美男子の芸能人、その他セレブとの交流ありーの、さらには、前澤社長とのツーショットおよび握手会もある。

その2)一見さんいらっしゃい特典

 初回購入者のみ「〇円で購入できるキャンペーン」、新規顧客の獲得、購入機会を創出する目的で、ZOZOではじめて購入する人には「初回のみ0円」で購入できる機会を提供する。ただし条件として、ZOZO会員登録が必要となる。

 また、0円で購入できる商品は、予め用意された商品から選ぶことになる。(会費/年間3000円、または月500円、すでに実施されている)

その3)販売データの利活用

 販売分析データのMD活用提供サービスを展開する。価格訴求だけでは、いずれは行き詰まる、アパレルはやはりMD(商品政策)が肝心である。そこで、ZOZOと取引する価値として、販売分析データを活かしたMD支援サービスを提供する。取引各社と共同で顧客獲得、売上の向上を図る仕組みである。

その4)GORIKIブランドを立ち上げる

 いわずと知れた女優.剛力さんをデザイナー(客寄せ)として起用したブランド。ニーズがあるのかないのか、当方には知る由もありませんが。とはいえ、話題になるのは、ほぼ間違いない。なお、売れる保証はどこにもない。

その5)アパレルブランドの買収

 プライベートブランドの評判がいまいちなのは、優れたマーチャンダイザーがいないからだろう。そこで、手っ取り早くブランドごと買収して、ノウハウを手にいれる。さすがにユナイテッドアローズは無理であるが、アパレル不況の現在、有力ブランドといえども苦戦している、だから買収するには頃合いである。

 他にも思い当たるものが幾つかありますが、それはまたの機会といたします。なお、ZOZOから依頼があれば、企画提案いたします。ま、それはないと思いますが…。

おまけ/顧客創造の方向性

 昨今のネット全盛時代では、商品を購入する機会はどこから生まれるか、それを単純化すると以下のようになるようです。(参考:マック復活の仕掛け人が語る「逆境の仕事術」より)

1)クチコミ
『友達が言っていたから』『SNS上で流れていたから』『ネットニュースに出てたから』といった昔ながらの口コミが、いまでも重要であるそうだ。

2)話題になる情報
 話題の基になる情報をたくさん発信する、さらには、接触する情報の量を増やすことで顧客の興味・関心を高めていく。

3)購入以外の理由
 ほとんどの会社が、まだ手掛けていないといわれるのが、お店に来る、サイトに来る(購入以外の)別の理由を大量に作ることだそうです。

1)と2)については、いわずもがなですが、3)を行うには、類まれなる企画力と実行力が問われます。したがって、あまり実行されていないようです。

 一見すると無駄かもしれない、ということが3)のヒントのようですが、とにかく常識に捉われない発想が必要でしょう。

 前澤社長の露出過多は、1)と2)を心がけているのでしょうか。よく判りませんが当方などは、ZOZOでの購入には若干気が引けている昨今です。

 ただし、ZOZOという会社の経営方針には、賛同する部分が多くあります。例えば、ZOZOには人事評価というものがないそうです。一般企業には、人事担当者がいて評価する仕組みがありますが、それを信じていないそうです。

 以下のインタビュー記事に、前澤氏の考え方の一端が伺えます

ZOZO前澤社長がいま明かす「私の幸福論、仕事の哲学」
前澤:普通の会社だと四半期ごとに評価シートがあって、人事担当が面接をすると思うのですが、うちは評価そのものをしない。ただ、仕事の発注依頼が増えてくるやつは、結果、社内からも相対的に評価され仕事が集まってくるし、同僚や部下から多くの相談が持ち込まれる。

曖昧です。曖昧だからこそ、誰も文句のつけどころがない(笑)。そもそも評価なんてあってないようなものじゃないですか。全ては自分ではない誰かの価値観によって判断されている。そのこと自体に無理があると思いますね。人間は神様じゃないんだから。そんなことに時間をかけているんだったら、お客様のために、社会のために何ができるか考えたいんです。

僕は学校が嫌いだと言いましたけど、その理由も同じなんです。例えば、答えが一つしかないような数学であればともかく、例えば国語や音楽、道徳の点数なんてつけられるんですか。私たちは誰かの決めた価値観によって子どもの時から評価され続けています。この国は、こうした教育を変えないと変わらないと思います。

追記

 前澤社長が、千葉市に自宅兼美術館を建設中と訊いてから、だいぶ日数が経つがまだ竣工しないのでしょうか。美術館がオープンしたら、ぜひ訪れてみたいです。

 約120億円のバスキアの作品を生で体感したいと思います。(バスキアの作品は、80年代後半に池袋の西武美術館で一度だけ観たことがあります)

バスキア (角川文庫)
80年代のNYアート・シーンを疾走した天才画家ジャン=ミシェル・バスキア。ストリート・アーティストから時代の寵児となりながら、27歳で夭折した無垢の魂が描きつづけた絵を収録したポケット画集。
バスキア (角川文庫)

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