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■社会|アメリカVS中国 AIが未来の覇権を握るか

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AIのデファクトスタンダードはいずこに

 現在、米国と中国は、貿易の不均衡に端を発した関税問題ですったもんだの最中である。その背景には、中国による知財盗用という問題が横たわっている。

 米国は、これまで中国に対しては寛容な態度を示してきた。なぜなら、米国が主導権を有した上で、中国13億人の市場を握ろうとしたからに他ならない。その一方では、米国は日本に対しては、冷たい態度に終始してきた。

 たかが一億人程度の日本など眼中にはない、とばかりに草木もなびくように中国へ、投資とあらゆる技術移転(事実上の)をせっせとしてきた。

 ところがどっこい、中国は米国を手玉にとるという手練手管の限りを尽くし、投資と技術をちゃっかり手に入れて、そのあげく米国を締め出した。(グーグル、アマゾン、フェイスブックなどは締め出され、アップルは中国に恭順した)

 中国の経済が豊かになれば、自由主義の国になるという淡い期待は、もろくも崩れ去ってしまった。米国には、優秀な人材を集めたシンクタンクなどが数多くあるが、どこで戦略を読み間違えたか。期待を込めた戦略は、戦略ではない。

 中国に取り込まれたキッシンジャー元国務長官の影響は大きいに違いない。(キッシンジャーは中国の手先といわれている、その実態は知る由もないが)

 米国の戦略を中国優位に導いたのは、中国のしたたかさの方が、米国を上まわっていたことを証明している。とにかく米国は中国を侮っていたのは間違いない、そのように中国が仕向けたのは言うまでもないだろう。

 これには、さすが中国というべきかもしれない。現在の日本には逆立ちしても、おなじような芸当はできないに違いない。

 現在、中国は次世代通信網の5G(第5世代)、そしてAIの主導権を握るために準備万端を整えてきたようである。米国は、それにようやく気がついて戦略転換に乗り出した、そして中国発の5Gを排除するべく同盟各国に同意を求めている。

 一方、AI(人工知能)のデファクトスタンダード(事実上の標準)の行方はいかにーー。これは、いまだ不明であるが、仮に中国がAIの主導権を握った場合、それは世界覇権に向けた大きな一歩になるに違いない。

中国のIT、AI立国化が進む


引用:https://nissenad-digitalhub.com/articles/ai-china-2/

 中国のITやAIに懸ける意気込みは、半端ではないようだ。中国では、優秀な人材を海外留学(主にアメリカ)させて、技術者を戦略的に育成してきた。

 留学した中国人は、卒業後には米国企業(グーグルやアップルなど)に入社し、そこで技術を習得したうえで、数年後にふたたび中国へと戻るそうだ。

 中国に帰国した海外留学および海外企業組は、新たに起業したり、中国企業に就職する。その際、国を挙げて支援する体制をしっかりと構築しているようだ。

 具体的には、中国の投資ファンドなどが積極的に関わっている。1億〜2億ドル程度なら、右から左に融資されていくようである。(冒頭動画を参照ください)

 さらには、中国の投資ファンドは、国内だけでなく米国のベンチャーにも積極的に投資をして取り込んでゆく。中国の考え方は、実に合理的である。

 中国国内で足りない技術は、海外から取り入れればいいからだ。それは、米国も同じことをやってきたから、とやかく言われる筋合いはない。

 米国の防衛を担う高官は、その辺りに危機感を抱いているが、当の米国ベンチャー企業は、融資してくれれば中国でも歓迎だ、という姿勢にあるようだ。

 とにかく中国のやり方は、実に一貫している。目的を達成するための手段が用意周到に準備されている。それを粛々と実行しているだけといえる。

中国では、お金が湧いてくるのか
 中国のITやAIの技術が、短期間で先端企業と遜色のないキャッチアップができたのは、いうまでもなく潤沢な資金によるものだと思われる。

 米国やその他先進国からの技術盗用だけでは、技術の移転、利活用ができない。そこで、長期的視点による人材育成が行われてきた。その成果が現在の中国で現れているといえる。ただし、その背景では多額の費用が掛かっているはずだ。

 問題は、その費用はどこから調達しているかである。中国の無尽蔵とも思える資金は、いつまで続くのだろうか。中国では、お金がどこからか湧いてくるのだろうか、そんなことはある訳はない。だからとても不思議である。

 昨今、中国の景気が急減速しているといわれる。そのようななかで、ITやAIへの多額の投資がいつまで続けられるかである。

 想像するに、中国でITやAI技術が急速に進んでいるのは、景気減速と無関係ではないだろう。資金のあるうちにデファクトスタンダードを握り、世界中のデータを中国に一極集中させて世界経済を牛耳ること、それが中国の狙いではないか。

 だからこそ、多額の投資で開発を加速させているといえる。中国の経済崩壊が早いか、ITやAIの技術で優位に立ち世界覇権を握るか、そのどちらかしかない。

 その鍵となるのは、中国の野望に唯一対処できる米国の出方次第ではないだろうか。そして米国には、中国のしたたかさに対応する術があるか否かである。2019年には、その道筋が見えてくるのではないだろうか。

中国版AIは、すでに日本に導入されている
 現在、中国の通信機器大手ファーウェイの新通信網5Gは、デバイスのデータ盗用やスパイ疑惑で米国と同盟国を中心に排除の動きが顕著となっている。

 一方、AIはどうかといえば、まだその問題はあまり話題になっていない。しかし、AIこそ近い未来の鍵を握る技術といえる。

 そのAIを中国では、自主開発で世界の主導権を握るべく開発を進めている。留学組、海外企業組を積極的に参加させて、さらに潤沢な資金を提供している。

 日本のベンチャー企業には、うらやましい限りの環境を構築し整えている。

 そのような環境で開発されたAIは、日本でもすでに導入されている。大阪のタクシー会社では、配車サービスの効率化に活用しているそうだ。

 このAIは、大阪の道路交通事情をリアルタイムで把握し、その情報は中国の会社で見ることができる。このシステムを日本全国で展開すれば、日本の交通事情は丸わかりとなる。そして、そこで得たデータを何かに利用することが考えられる。

 このAI技術がより発展すれば、やり方次第で交通だけでなく他の情報も丸わかりとなり、他の目的(軍事とか)に転用することも可能に違いない。なにしろ、中国は終身独裁の国家主席がいる国である。なんでもありだ。

 現在でも中国によるハッキングによるデータ流出の噂が絶えない。それがAIとなれば、その脅威は何倍どころの話ではないはずだ。

 このようなAIシステムを、もし日本の企業が逆に中国に売り込んだ場合、中国は許可しないだろう。なぜなら、中国は自由主義国家ではないし、経済も自由化されていない。国内の情報を他国に筒抜けにすることはしないはずだ。

 繰り返すが、中国ではグーグルもアマゾンも、フェイスブックも許可されていない。その反面、中国で開発した技術は、世界で展開することを積極的に推進してやまない。それは片手落ちではないか、という反論は中国には通じない。

 中国はそれを当然と考えている、中国の常識は世界のそれとは相通じない。

 したがって、中国の技術がいかにすごかろうが、それを利用するには常にリスクが伴うことになる。中国の国家体制が変わらない限り、それは続いてゆくだろう。

 それはさておき、ITやAIの技術開発について、日本の存在感がまったく感じられないのはどういうことだろうか。日本ではIT系技術者をITドカタと蔑み、その他の技術者も使い捨てされている、といわれる。(確かではないが)

 かつて日本は電子立国といわれた時代があった。しかし、いまでは見る影もない有様となっている。日本の企業は、いつのまにか短期的視点でしかモノごとを考えられなくなった。技術者が夢を実現するような環境は失せてしまった。

 日本が優位に立った技術もあったが、経営者の無能のせいでその多くがリストラという短期的利益のために葬られた。ちなみに無能経営者=リストラは同義である。(これはまず間違いない)

 一方、中国は長期的視点に立ってロードマップを描き、それを着々と実行してきた。目的のためなら手段は選ばずという国家システムの違いはあれど、その差は大きく、みるみる広がって現在に至っている。

 現在、日本の技術者には環境がよくないかもしれないが、なんとか日本の未来につながる技術を開発してくれることを切に願ってやみません。

電子立国日本のいま


 かつて日本は電子立国といわれた。(上の動画は、91年NHKが特集したもの)

 90年当時、日本の半導体の世界シェアは約50%だったそうだ。ところが時代は変わり、いまでは半導体はサムソンや中国企業が大きなシェアを占めている。ちなみに東芝は、金のなる木だった「メモリ事業」を売却してしまった。

 電子立国と持て囃された当時の日本企業は、なぜか韓国や中国にせっせと技術移転を推進していた。その後は、奢るもの久からずの例え通り、日本企業はあっという間に韓国や中国にシェアを奪われてしまった。

 それは、まるで絵に描いたような間抜けな出来事だった、違うだろうか。当時の日本企業の経営者のなかには、韓国や中国への技術移転は、「感謝されればいい」と思っていたとか、ところが感謝どころか、なかったことにされている。

 ちなみに日本の技術移転に関しては、政府の圧力だったという説もある。韓国、中国の技術もルーツをたどれば日本にあり、その日本もルーツは米国にあった。(一部背景を簡略化しました)

 例外はあれど、概ねそのようなルーツがあった。それを考慮すると、昨今米国が怒り心頭なのも”むべなるかな”、と思わざるをえない。

1990-2017 国別半導体シェアの推移

引用:https://news.mynavi.jp/article/20180509-627793/

2018年の半導体ランキングトップ10(調査:Gartner)
1. Samsung Electronics
2. Intel
3. SK Hynix
4. Micron Technology
5. Broadcom
6. Qualcomm
7. Texas Instruments(TI)
8. Western Digital(WD)
9. STMicroelectronics
10. NXP Semiconductors
※13. 東芝メモリ

参考記事:電子立国は、なぜ凋落したか(日経BP)

米、中国通信機器禁止へ=来週にも大統領令
ワシントン時事】米紙ポリティコ(電子版)は7日、トランプ大統領が来週、米国の通信会社による中国製通信機器の使用を禁じる大統領令に署名する見通しだと報じた。

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