■80年代|80年代アンソロジー 番外篇「ペンギンカフェ」

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ペンギンカフェ003

ペンギンカフェという異端の雑貨店があった!

前回、80年代の雑貨店について書いたが、そのなかで「ペンギンカフェ」を個人的には気に入っていた。そのお気に入りだったお店が、すでに閉店していたのを知ったのは、ごく最近である。店舗を閉めた後は、しばらくネット通販をしていたようだが、それもすでに閉鎖したようだ。それ以上の情報はネットではよく判らない。

「ペンギンカフェ」については、ネットでもあまり情報はない。そこで、個人的に持っている資料を公開すると同時に、個人的に知っている事柄をいくつか書いてみたいと考えた次第である。

数ある雑貨店のなかでも特異な個性を発揮していた

「ペンギンカフェ」とは、正確にはカフェの店舗名である。雑貨店の方は、「ペンギンカフェTWO」といった。他にも「ペンギンカフェTHREE」「ペンギンカフェQUATRE」といった店舗があった。

オーナーは、元・新宿高野の社員だったそうである。その後、どういう経緯で、これらのお店を開店させるに至ったかは、残念ながら知る由もない。

1983年、雑貨店「ペンギンカフェTWO」が、「ペンギンカフェ」の上の階にオープンした。場所は、吉祥寺駅の南口を出てすぐを右にしばらく歩くと、井の頭通りと交差する手前にある古いビルのなかにあった。

ビルの入り口から階段を昇っていくと、踊り場にペンギンカフェの照明看板があったはずである。2Fにカフェがあり、3Fが雑貨店であった。

カフェは、当時としてはあまりお目に掛かったことのない空間であった。欧米のどこかから輸入したと思われる年代物らしいカウンターがあった。店内の中央には、木が一本天井に向かって伸びていた。

それは、大きめの鉢に埋けられた葉のない木であった。枝も部分的に切り取られていた。シンプルな空間であるが、どこか懐かしい雰囲気を漂わせていた。それが、何故なのかいまでも不思議である。

シック&シンプルな空間が心地良かった

カフェの上階にあった「ペンギンカフェTWO」は、これまた独特の空間であった。板張りの床に、水道管で骨組みをこしらえた棚什器が壁に沿って長く続いていた。

棚の一番下の床には、かつて風呂屋で使われた籐籠が置かれて、そこには商品が入れられていた。オリジナルの食器の数々がうずたかく床に直置きで積み重ねられていた。お店の奥には、これまた年代物のレジカウンターが鎮座していた。

店舗の空間は、けっして豪華ではないが、そのセンスの良さは十分感じることができた。装飾性を排した、シンプルだがアーティスティックな空間には、他の追随を許さない個性が迸っていた。現在では、いくらでももっとお洒落な空間があるはずである。

しかし個人的には、何故か「ペンギンカフェ」の空間には及ばない感が否めない。

そこには、豪華さやテクニックでは表現できないものがあったのである。それは、時代のなかで咲いた徒花だったせいかもしれない。

デザイン性は高いが、品質はあまり良くなかった?

「ペンギンカフェTWO」の商品構成は、テーブル&チェア、テーブルウェア、ステイショナリー、バッグ&袋物、Tシャツ等のウェア、タオルなどである。

基本的には、オリジナルが中心となっていた。商品ティストは、シック&シンプルであり、色使いも派手な色はなく、アイボリー、グレー、ブラック、ゴールド、シルバーなどが使われていた。

その商品のデザイン性は高かったが、品質には問題があったと感じている。特に、ウエア類であるが、その品質は最低レベルであったと記憶している。

Tシャツの襟など、一度洗えばくたくたになった。また、時々パクリもんを作っていた。個人的に知っているのは、コムデギャルソンのカジュアルシューズをパクっていた。あとは、フランスのどこかで仕入れたと思われるリボンやシールなども売っていた。

家具類もその価格の割には、品質が悪かった。いま思えば、ぼったくりに近い価格設定であった。中国製の折りたたみ椅子などは、安い物でさえ5,000円以上していた。製造ロットが少ないこともあったと思うが、それにしても高過ぎた。

現在では、この手の椅子はイオンあたりで1,980円で販売されている。

その先見性とオリジナリティを考慮しても価格戦略の失敗であったと思われる。そのあたりも人気が失速した原因であろうか。

ペンギンカフェのパーティーに行った

87年か、88年か忘れたが、「ペンギンカフェ」の何周年かのパーティーに行ったことがある。このお店と関係が深かったという訳ではないが、ある関係筋から呼ばれたのである。しかし、あまり馴染まなかったことが記憶にある。

オーナーはかなり酔っぱらっていたのを覚えている。当時、イケイケだったこのお店は、3店目、4店目と新しい店舗を開業していた。さらに、西武百貨店やプランタンなどにコーナー出店をしていた。また、地方の小売店に卸もしていた。

オーナーとは、何度か話をしたことがある。かなり我の強い、そしてアーティスティックな性質を有した人であった。経営者というよりも商品開発や店舗開発に強い興味・関心があったのではないか。個人的には、そのブラフ的ともいえる強気な姿勢に若干不安を覚えた記憶がある。

80年代後半は、絶好調であったはずである。しかし、その反面で調子に乗りすぎたのかもしれない。「ペンギンカフェTWO」をメディアで紹介した雑貨スタイリストと仲違いしたという噂を聞いたことがあった。そして徐々に、マスメディアで取り上げられる機会が少なくなっていった。

2000年代では、まったく聞かなくなっていた。この頃には、すでに店舗は「ペンギンカフェTWO」のみとなっていたようである。

そして、2004年頃(時期は確かではない)に店舗は閉店したようだ。以後はネット通販で販売は続いていたようだが、それも現在では閉鎖となったようである。したがって、あのペンギン柄のテーブルウェアなどはもう手に入らないようである。

独特の個性で一世を風靡したといえる「ペンギンカフェ」であるが、現在では、若い人たちが、それを知る機会はもうないのである。まことに残念である。

個人的には、ペンギン柄のマグが欲しかった。かつて持っていたが、どこかに無くしてしまった。ネット通販を復活して欲しいが、それはもう無理なのだろうか。デザインや商品化の権利は誰が持っているのか、ちょっと気になる次第である。

どこかのアパレルが、権利を買い取って活用したらどうかと思うが、それとも商売に成らないと判断されているのか。それは知る由もないが、果たしてそれは如何に…。


ペンギンカフェTWO 入り口 ドアの雰囲気がとてもいい

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