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■80年代|80年代アンソロジー その10「雑貨文化の夜明け」

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80年代、生活雑貨というジャンルが生まれた

80年代、何故か雑貨が主流商品として表舞台に登場した

 かつて雑貨といえば、金物雑貨とか日用雑貨と言われた時代があった。

 そして、70年代には、ガジェットと呼ばれる何の役にも立たないが、楽しい雑貨を扱う小売店がちらほらと目立つようになった。それは、やがて来る雑貨文化の時代の予兆を感じさせていた。

 そして80年代になり、無印良品、アフタヌーンティー、フォブコープ、ペンギンカフェ等々の雑貨をメインとした業態が次々とオープンし、瞬く間に雑貨ブームといえる現象となったのである。と同時に、カフェを併設する小売店という業態も登場していた。それは、現在のカフェブームのはしりともいえる。

 以下は、その代表的なお店を年代順に紹介致します。ほんの一部です。

冒頭画像:F.O.B COOP

1980年 無印良品が誕生する

・大中(中国雑貨店) 渋谷店
・無印良品ブランド 発売開始

「大中」は、ダイエーの新規事業として開発された、中国輸入雑貨のお店である。この事業の担当者であった人物は、後に「宇宙百貨」をオープンさせる。

「無印良品」は、西友のプライベートブランドして開発された。当初は、訳あって安いというテーマを掲げていた。装飾を排したシンプルで、かつ安いということが主張であった。日本でのPB商品の先駆けと言っても過言ではない。

1981年 アフタヌーン・ティーが注目される


アフタヌーン・ティー 渋谷パルコ店
画像引用:https://www.afternoon-tea.net/about/history/

・アフタヌーン・ティー 渋谷パルコ店
・フォブコープ 広尾店
・リブング・モチーフ 六本木店
・レイジー・スーザン 青山店

「アフターヌーン・ティー」は、家具・バッグ等の製造・卸をしていたサザビー(現サザビーリーグ)が開発した、新業態の店舗であった。この店舗の登場まで、生活雑貨というジャンルのお店はなかったはずである。

 食器屋、家庭雑貨はあったが、いずれも日用品のジャンルであった。この店舗の独自性は、これまで女性目線が中心であった雑貨を、男性目線で捉え直したことにあった。

 現在では違っているが、当初は商品選択の中心は男が行っていた。それはなんとも革新的であった。板張りの床に直置きで積み重ねられた食器類の数々。

 使い古されたオールドパインのテーブルでのディスプレイ、厨房専用のエレクター什器を物販で使用するなど、いずれも新鮮な驚きをもたらしていた。

「フォブコープ」は、主婦が趣味で開店したヨーロッパの生活雑貨を扱ったお店であった。しかし、この主婦の趣向性は只ものではなかった。その慧眼さは、後の雑貨業界に多大な影響を与えたのである。

 ちなみ、彼女の夫は、浜野商品研究所に在籍していたそうである。このお店によって、デュラレックスブランドのグラスは普及した。現在では、この主婦は雑貨業界のカリスマと言われている。

「リビング・モチーフ」は、ブリジストン系列のアクシスが開発した、デザイン性と機能性を重視した生活雑貨の店舗である。このお店が入居するアクシスビルは安藤忠雄が設計したことで有名である。

1982年 温故知新のユーズド家具と雑貨

・温故知新 恵比寿店
・アフタヌーン・ティー 自由が丘店

「温故知新」は、ハリウッド・ランチマーケットにいた店主が、昭和初期をテーマに開いた家具・雑貨のお店である。主に、昭和の香りがするユーズド家具を修理し販売していた。

1983年 異端の雑貨店ペンギンカフェTWO


ペンギンカフェTWO

・ペンギンカフェTWO 吉祥寺店
・無印良品 青山店
・シャビー・ジェンティール 代官山店

「ペンギンカフェ」は、当初カフェを運営していた。そこで使用していた食器類が好評であったことから、独立した業態として雑貨店を開業した。

 その特徴は、シンプルなペンギンのイラストと金や銀をあしらったデザインにあった。それは、何故か懐かしい香りを発していた。古くて新しい、そんな雰囲気を漂わしたこのお店は、以後も雑貨業界の異端として人気を博した。しかし、現在は閉店したようである。

 あの独特の雰囲気を醸し出していた数々の商品群に、もはや出会う事はないようである。残念なことである。しかし、これも時代の流れらしい。

「無印良品」青山店は、当時のデザイン業界で言われ始めていたハイテック&ハイタッチという概念を目に見える形として表現した見本であった。

 それは素晴らしい出来映えであり、デザイン系学生などに注目の的であった。商品と店舗が一体となった無印良品の発展は、ここから始まったと言っても過言ではない。

「シャビージェンティール」は、アパレルブランドの新規事業である。雑貨が商売になると踏んだ各アパレル企業は、雑貨市場への参入を増やしていくのであった。


無印良品 青山店
画像引用:https://prouve.exblog.jp/5108030/

1984年 アーリー・アメリカンが注目される

・デポー39 田園調布店
※ユニクロ 一号店開業

「デポー39」は、アメリカン・カントリーをテーマとした雑貨店である。このお店は、ドライフラワーなどの普及に貢献したようである。

1985年 アート雑貨の登場

・スパイラルマーケット 青山店
・イデー・ショップ 南青山店
・クリスマスカンパニー 代官山店
・マチルド・イン・ザ・ギャレット 代官山店

「スパイラルマーケット」は、青山にあるワコールが運営する文化施設のなかに設けられたアートおよびデザイン性を重視した商品を数多く揃えたお店である。

「クリスマスカンパニー」は、一年中クリスマス商品を販売するクリスマスに特化した品添えのお店である。

1986年 ヴィレッジヴァンガード一号店

・ファーマーズテーブル 表参道店
※ヴィレッジヴァンガード 一号店開業

「ファーマーズテーブル」は、当初は、表参道の同潤会アパートにあった。シンプルでゆったりとした生活道具を揃えた個性のあるお店であった。オーナーはスタイリスト。後にキャットストリートに移転した。

1987年 専門大店ロフト・オープン

・ロフト 渋谷店
・キャトル・セゾン・トキオ
・トゥワイス

「ロフト」は、西武百貨店の新規事業として渋谷の旧緑屋の跡地に開店した。雑貨市場の定着化を見越した当時の西武は慧眼であった。

 現在でもロフトは安定した人気を得ている。開店当時の内装やディスプレイは、それは壮観であったと記憶している。当時のアート界の人気作家がオブジェを制作し展示していた記憶がある。また、品揃えも現在とは比べようもないほど先鋭的であった。

1988年 高級アンティーク家具と雑貨

・ロイズ・アンティークス 広尾店
・ウイリアムズ・ソノマ 渋谷店

「ロイズ・アンティークス」は、ヨーロッパのアンティーク家具や雑貨を輸入販売するお店である。

1989年 激安の殿堂ドンキホーテ

※ドンキホーテ 一号店開業 府中

参考:雑貨ショップの歴史 
www.life-c.jp/z-history/z-history.html

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