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■映画|猿の惑星シリーズ 逆転した世界

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いっぺん猿に地球を支配してもらうか

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猿の惑星を、いまこそ振り返ってみる

2014年現在、最近の出来事を振り返るとなんだか世の中は物騒な雲行きである。日本の表向きは相変わらずのんびりであるが、世界に目を向けるときな臭ささが漂っている。

ロシアのウクライナへの侵攻(事実上の)、中国の領土拡張的な野心と国内テロの活発化、そして言わずもがなのバブル崩壊予兆など。そして韓国は、反日を煽り中国と連帯を強化する方針を打ち出している。

欧米では、アメリカの覇権国、世界の警察としての地位が揺らいでいる。ヨーロッパでは、ロシアにエネルギー供給を握られてかの国を抑止する力を失っている。これらを俯瞰すると、いまや世界は独裁的国家のやりたい放題に、そして、それに歯止めをかける有効な手段をもっていない状態にある、といえる。

国内では、人を騙しても数字(売上)を上げよという、まさに詐欺的行為等が蔓延化している。振り込め詐欺は言うに及ばず、携帯端末のオプション契約もある意味では詐欺的行為ではないか、といえるだろう。

かつてイノベーションの代表的企業であったソニーなどはいまや数字しか弄る事ができない体たらくである。なお、これは余分であったかもしれない。

さらには、他人のPCを通してネットに犯行声明などを書き込み、見ず知らずの他人を傷つけて、なお平気で自己弁護できる異常な性格の犯人を生み出すネット社会では、自己中心性とモラル崩壊が進行中である。

俗に25人に1人は良心のない人が存在すると言われるが、ネットの世界ではそれを軽く超えるに違いない。いやはや。

とにかく、このような世界の特徴は、自己中心的な強欲が動かす社会といって良いだろう。何処かで歯止めを掛けなければ何れは、本当に人間は滅びるかもしれない。そう、「猿の惑星」のようにである。

前置きが長くなったが、ごく最近久しぶりに「猿の惑星」を観たのである。きっかけは、映画評論家・町山智宏氏がこの映画を解説するYouTube動画を観たからであった。町山氏の解説が大変面白くて、興味を掻き立てられた次第である。

そして観た後に感じたのは、「猿の惑星」を生んだ時代背景からあまり進歩していない現在の人間社会の現状であった。技術は進歩しても、人間は進歩できないのだろうか。

…いやはや、また時代が逆戻りしたか、と思わざるを得ないが。

猿の惑星は、すべてに意味が込められていた

「猿の惑星」は、今更言うまでもなく、斬新な発想を有したSF映画の傑作である。

猿が地球を支配するという逆転の発想が受けて大ヒットし、続編も含めて5作品が製作された。その後、リメイクされたティム・バートン作品、そして2011年には、かつての作品の文脈を受け継ぐ新作「猿の惑星・創世記」が公開された。

この作品の特徴は、比喩に富んだ物語の構造にある。一作目は、人間と猿の立場が逆転した題名どおりの世界であった。そこには、実は現実世界が投影されていた。それが黒人の人権問題である。当時の公民権運動の影響も見て取れる。

当時(1960年代)のアメリカでは、黒人は差別・迫害を受けていた。白人とは同等の権利はなく、奴隷制度の時代を引きずるかのような虐げられた存在であった。その世界をSF映画として投影したのが、「猿の惑星」であった。

そこでは、なんと白人の主人公が、猿から迫害を受けるのであった。現実世界に照らせば猿=白人、迫害される白人=黒人という具合である。つまり逆転して描いたのである。まるで現実に対する嫌みのように。

「猿の惑星」は、ある意味では政治的な背景をもった作品である。それでもSFという娯楽性を十分満たしていたことで映画は大ヒットした。

ちなみに、映画の原作では猿の比喩は日本人とも言われている。それは、原作者が第2次大戦で日本人に虐げられた(たしか捕虜になった)記憶があるからだそうだ。なんの本だったか忘れたが、そのように書かれていた記憶がある。

したがって、映画は原作に忠実ではなく、かなりオリジナルな創作が加えられたようである。しかし、それが功をなして魅力的な映画となっている。

公民権運動とは
主に1950年代から1960年代にかけて、アメリカの黒人が、公民権の適用と人種差別の解消を求めて行った大衆運動である。64年7月ジョンソン政権下で人種差別撤廃をうたった公民権法が成立した。
猿の惑星 タイトル別テーマ&キーワード

1)「猿の惑星」1968 奴隷の話 黒人

2)「続・猿の惑星」1970 核の恐怖

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3) 「新・猿の惑星」1971 女性解放 平和運動

4)「猿の惑星・征服 」1972 黒人暴動 キング牧師暗殺

5)「最後の猿の惑星」1973 米ソ冷戦 

6)「猿の惑星・創世記」2011 動物実験 バイオテクノロジー 

ちなみにティム・バートン作品は除外しました。理由は、映画の文脈から外れており前作との整合性がいまいち欠けているからである。町山氏はティム・バートンは単なるお金儲けと示唆する発言をしている。ただし、原作には近いという説もある。

新作の「猿の惑星・創世記」は、よくできた作品で評判もいい。バートン作品には辛口だった町山氏も絶賛している。


町山智浩の映画塾! 猿の惑星:創世記

猿の惑星 第一作のストーリー

1972年1月、ケープ・ケネディから打ち上げられた宇宙船が、1年6ヵ月後、ある惑星の湖に不時着水。地球時間で約2000年という歳月が流れていた。 宇宙船は破損し沈没してしまったため、地球への生還の望みが絶たれた。無事だったテイラー隊長(チャールトン・ヘストン)ほか2人は、食糧を求め砂漠をさまよい歩き、泉を発見。しかし喜びもつかの間、その先で馬に乗り銃を手にした猿の一群を目にした。

その後、テイラーらは捕らえられ、現地にいた女性ノバ( リンダ・ハリソン)とともに檻に入れられた。この惑星では猿は英語を話し、人間は口もきけず、奴隷の扱いを受けていた。その中で英語を話し、字を書くテイラーはザイウス博士(モーリス・エヴァンス)らに驚異だった。数千年前、人間が猿より高度な知能を持ち、文明が発達していたことを知っていたからだ。

テイラーとノバは、考古学者コーネリアス(ロディ・マクドウォール)と動物心理学者ジーラ(キム・ハンター)の助けで脱出し、新天地を求めて旅立った。その先で見たものは、砂に埋もれた自由の女神だった…。

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第一作 ラストシーン

<猿の惑星 製作概要>
原題:Planet of the Apes

監督:フランクリン・J・シャフナー
脚本:マイケル・ウィルソン、ロッド・サーリング
原作:ピエール・ブール
製作:アーサー・P・ジェイコブス
出演者:チャールトン・ヘストン
   :ロディ・マクドウォール
   :キム・ハンター
   :モーリス・エバンス
配給:20世紀フォックス
公開:アメリカ 1968年
上映時間:112分
製作国:アメリカ

参考文献:町山智宏YouTube動画、ウィキペディア、ほか

<猿の惑星(第一作)>
スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』とともに、その後のSF映画の流れを作った大ヒットシリーズの第1作目である。
ケープ・ケネディから打ちあげられた宇宙船が、1年6か月後、ある惑星に不時着する。しかしそこは猿人が支配者であり、人間は下等動物という星だった…。

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