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■書籍|スティーヴン・キング著「書くことについて」

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なによりも、「読むこと、そして書くこと」

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スティーヴン・キング氏(以下キング)は、現代アメリカで最も成功した作家のひとりと思われる。戦後のアメリカを代表する文豪と言っても過言ではないと思うが、いかんせん通俗小説といわれるホラー小説(そればかりではない)の大家である。そのせいか文学の専門家には、あまり評価は高くないようだ。

しかし、アメリカを代表するベストセラー作家であることは間違いない。

純文学のように評価されないことに対し、彼自身、自らを三文文士という言い方をしている。しかし、これは純文学しか評価しない批評家に対する当てつけか。キングには通俗小説家としての自負があり、と同時に純文学に対しなんら劣る事はないという気概が感じられる。

当該ユーザーは、キングのファンという訳ではない。たまたま、この著作を読む機会があり、多少大袈裟ではあるが感銘を受けた次第である。

キングは、巷に多数ある文章読本を否定している。その多くはなんの役にも立たないどころか有害としている。そして、それは大学の講義内容にも及んでいる。何故、そこまで言えるかといえば、彼自身が体験してきたことに他ならない。

しかし、それでも数少ない有用な文章読本として、「英語文章ルールブック」というものを上げている。まだ読んだことはないが、キングに言わせれると「向上心のあるものなら、必ず読むべし」という本だそうである。

「英語文章ルールブック」は、英語で書く文章に対して書かれたものである。したがって、日本語にすべて適合するとは限らないが、少なくともその概念は活かすことができるはずである。

無駄な言葉は省け!

その本の核心は、文章づくりの原則として「無駄な言葉は省け」に集約されているとキングは書いている。キング自身もそれを実践しているそうだ。本著「書くことについて」のなかには、元の文章と添削後の文章が参考として添えられている。

これを見る(読む)と目から鱗の落ちる思いとなる。それぐらい「無駄な言葉は省け」は的を得た文章づくりの原則のようである。

キングは、文法や作法も然ることながら、とにかく「読むこと、書くこと」が大事と繰り返している。言葉を覚える、充実させるには、やはり読むこと。そうすれば、自ずと言葉も豊富になるということのようだ。

この著作「書くことについて」は、キングには珍しく1年以上の執筆期間があったとか。ちなみに、キングは3ヶ月あれば長編が書けるそうである。執筆期間が長かったのには訳があった。

それは、事故に合って生死の境を彷徨ったからである。ほぼ奇跡的に一命を取り留めて復帰した後に、この著作を仕上げた。したがって、そこには生きることを踏まえた、書くことに対する想いが濃厚に漂っている。たぶん。

以上、具体的な内容に乏しかったかもしませんが、文章に対してなんらかの興味があるひとには御勧めの本といって間違いない。そのように思います。

ホラーの帝王、S・キングの成り立ちとは!

キングは、1947年にアメリカ・メイン州ポートランドで生まれた。父親は幼い頃に家を出てしまい、以後は母子家庭として育った。兄弟は兄がいる。しかし、血のつながりはないそうだ。(兄は、養子らしい)

したがって、母親は生涯を通じてずーと働きどうしだったとか。キングが「キャリー」で長編デビューしてから、まもなくして亡くなっている。かれの大成功を目の当たりにはできなかったが、きっと成功を信じていたはずである。

なにしろ、この母親なくしてキングの才能は存在していない。それは間違いない。キングは、幼い頃からその才能の片鱗をみせていた。それに気が付いた母親は、それを伸ばすべく後押しをしていく。例えば、模倣をしていればオリジナルを創るように促すとかである。

キング自身、幼くして創作するようになり、いずれは作家になるのは必然のようであった。大学を卒業すると洗濯工場で働きながら小説を書くようになる。これは、教職の仕事がなかったからである。

しかも結婚し、すぐに子供が二人もできた。それでも、アルバイトしかなく、妻もケンタッキーで働いていた。小説は、ときどき売れたがたいしたお金にはならなかった。やがて、教職にはありついたが、低い給料に変わることはなかった。

1970年に売れた「地下室の悪夢」は200ドルだったとか。(日本円で当時72,000円か)

1974年、長編「キャリー」が大手出版社の目に留まり出版された。実質的なメジャーデビューである。この作品ではじめて大金を手にした。作品のペーパーバック権が40万ドルで売れたのである。キングには、20万ドルが支払われた。(当時のレートは、1ドル=360円。したがって7200万円か)

ここから、キングの怒濤の快進撃がはじまる。呪われた町(1975年)、
シャイニング (1977年)、ザ・スタンド(1978年)、デッドゾーン(1979年)など、いまでも人気の高い作品を70年代に出版している。

80年代も相変わらず多作であったが、いつ頃からかアルコールと薬物に嵌ってしまった。そして、妻から「治療するか、家族を捨てるか」を迫られる。そして、治療して依存から脱却した。

アルコールや薬物依存はあったものの、作家としては誰からも異存のない大家となっていた。ホラー=S・キング、まさにホラー・キングとなっていた。

99年、別荘の近くを散歩中に自動車に跳ねられる。かなりの重傷であったが、かろうじて死を間逃れる。此れ以後、後遺症から片足を引き摺るようになる。

「書くことについて」は、キングには珍しいノンフィクションである。99年の事故の前後に渡って書かれたものである。

書くことに関する、個人的な事情!

当該ユーザーは、文章を綴ることを生業としてる訳ではない。短い言葉を並べた、いわゆる企画書は作ってきたが、めったに長い文章を書く事はなかった。とくに必要ではなかったし、作家やライターになろうなどとは思ってもいなかった。

しかし、1年半ほど前からブログで文章を書くという行為を始めた。最初は、何を書いていいか分からず途方に暮れた。しかし、書き続けるうちに自分では思いもしなかったように書くことができるようになった。

書いた内容が良いか悪いかは別にして、書けるようになったことは進歩である。そのように、いまは思う次第である。(なお、誤字や脱字、文法の誤りは別)

何を書いていいか分からなかった頃と比べ、不思議なものでテーマがあれば、それだけで書き進めていける。思いつくまま、気の向くままという具合である。

しかし、これでいいのかという疑問は絶えずあった。いままで、文章の書き方など習ったことさえない。それでも、小説や脚本にはプロットというものがあることは知っていた。それは、ストーリーを要約し、「原因と結果」を順序立てたものである。プロは、それをまず作るそうである。

そこで、当方もそれに倣って作ってみた。テーマ、ストーリー、プロットという具合である。しかし、何故か思う様に書けない。どうした訳か?、プロットという設計図を前にすると途端に想像力が萎えるのである。

これは、たぶん当方が文章書きのプロではないせいである。違うか。何故なら、プロならば説得すべき第三者がいてしかるべきである。よってプロットなどのように順序立てることに意味がある。それは説明のために必要だからである。

しかし、当方などはブログという極個人的な媒体に書いている。この場合は、載せるのに第三者の説得はいらない。当人がよければ載せるも良し、そうでなくとも一向にかまわない。判断は自分次第ということである。

したがって、文章構成の初歩かも知れないプロットという手法は当分使うつもりはない。しかし、キングの「書くことについて」を読んでひとつだけ気にしていこうと思ったことがある。

それは、上記したことの繰り返しになるが「無駄な言葉を省け」である。

今後は、これを肝に銘じて文章を書いていきたいと思う次第である。

参考文献:S・キング著「書くことについて」、ウィキペディア他
冒頭写真:映画「キャリー」より

<書くことについて /スティーヴン・キング著>
モダン・ホラーの巨匠が苦闘時代からベストセラー作家となるまで自らの体験に照らし合わせて綴った自伝的文章読本。『小説作法』の題名で刊行された名著の待望の新訳版。巻末には新たに著者が二〇〇一年から〇九年にかけて読んだ本のベスト八十冊を掲載。

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