■書籍｜アメリカ映画の大教科書2

1920年代は、ローリング・トゥエンティー、狂乱の20年代と云われるように、ばか騒ぎを好しとした時代であったようだ。

好景気、いやバブルに湧き、誰もが金持ちになれると夢見たのである。ちなみに、この時代を代表する作家スコット・フィッツジェラルドは、1920年代を「ジャズ・エイジの時代」と称した。

100年のアメリカ映画史（1920年代）

1920年代に入り、いよいよハリウッドは狂乱の時代へと突入した。第一次世界大戦も終わり、好景気に湧く経済に伴って映画界もますます拡大していった。ハリウッドには、一攫千金を夢見る若者たちが照明に群がる蛾のように集まってきた。

この頃には、映画会社の整理統合が進み、パラマウント、MGM、ファースト・ナショナル、ユニバーサル、フォックス、ワーナー・ブラザース、ユナイテッド・アーティストなどがメジャーを形成するようになっていた。映画界を支配するユダヤ系経営者たちは、この好機を逃すまいと観客を呼び込む映画の宣伝に励んでいた。

＜セックス・シンボルの誕生＞

1927年、「イット（あれ）」と云う映画が公開された。イットとは、女性の有するセックスアピールを象徴する言葉であった。これに主演したのが「クララ・ボウ」と云う女優であり、当時、大変な話題となった。細い眉や目を強調した大胆なメイクが大流行したそうである。

一方、男優のなかにも、ラテン系のセクシーな魅力で女性を虜にした「ルドルフ・バレンチノ」が人気を博した。かれは、元・ダンサーでありジゴロ的な雰囲気を漂わし、エキゾチックな魅力に溢れていた。しかし、人気絶頂期の最中である1926年、ニューヨークにて急死した。

その後、行われた葬儀では10万人以上のファンが押し寄せる大騒動となったそうである。

＜トーキーの誕生＞

1927年、「ジャズ・シンガー」と云う、初のトーキー映画がワーナー・ブラザースによって公開された。これによって、無声映画の時代は幕を閉じることになった。また、多くの無声映画時代のスターが、トーキーへの対応に失敗し映画界から去っていくことになった。

同年、ハリウッドに「映画科学アカデミー」が設立され、第一回アカデミー賞が開催された。そして、狂乱騒ぎに満ちた1920年代は、1929年の大恐慌によって幕を閉じた。