ソニー、キリンなど、かつて栄華を誇った企業は本社ビルを売却した!
収益性を重視し過ぎると企業の存続は危うくなるとか?
昨今では、かつて栄華を誇った大企業が、自前の本社ビルを売却することが多くなっている。いわずと知れたソニーは、かつての本社は言うに及ばず、アメリカ本社、そして現在の本社ビルまで売却した。ビール業界の頂点に君臨したキリンもおなじく本社ビルを売却して、いまは中野あたりの賃貸ビルに本社を構えている。
大企業で本社ビルを売却したのは、上記した2社以外では、レナウン、三菱電気、三洋電気、セガなど、最近ではサムソンも日本本社ビルを売却するとか言われている。もっとあるかもしれないが、あいにく当方にはあまり情報がない。
とにかく、ある記事(どこに掲載されていたか不明)によると、マッキンゼーが2000年代初頭に過去の事例から、経営の根幹を収益性重視とした企業の10年後の存続率は約50%であると発表したらしい。(そのように記憶している)
本社ビルの売却は、経営が曲がり角に来たために、その収益性を高めるための処方箋として行われたものである。一時的にその処方によって経営はやりやすくなるが、一方ではビル売却が必ずしも次の投資に繋がっていないとか。
次の投資とは、新しい市場を開拓する商品に他ならない。
つまり本社ビル売却で数字上の利益は確保しても、本来の事業で利益を得る方策が疎かになる傾向が顕著だそうである。あくまで過去の話であるが、現在のソニーなどの推移を見るとあながち嘘ではないかもしれない。
ソニーに限らず、キリンだって最近ではアサヒに離されるばかりか、サントリーにも追いつかれそうである。目を見張るような商品は皆無に等しい。違うか。
追いつめられた企業は、収益性重視から売れるものは片っ端から売り払い。そして身軽になってやり直そうということだと思う。しかし、企業経営はそんなに甘く無いようだ。自社の魂でもあった本社ビルを売って、抜け殻だけ残るという具合か。
キリンでは、社員もどこかやる気が削がれて、机上のマーケティングばかりにうつつを抜かしている、と噂されている。また、ソニーでは気概のある社員、主に技術者と思われるが、どんどん退職しているらしい。なかには、自ら起業してそのオフィスを旧・本社近くに構える元社員もいるとか。
なんだか、現在のソニーはどうでもいいが、元社員達の新規事業は応援したくなる次第である。ぜひとも、次代のソニーとなる会社を軌道に乗せて頂きたいと切に願います。
収益性重視といえば、古くはフォードの黒いクルマが有名であった。フォードの理念は、顧客のニーズはおかまいなしで、いかに効率よく生産するかであった。その結果、デザインは同じ、色も黒しかないという訳であった。収益性、効率性はたしかにあったが、購入するのは顧客であることを忘れていた。
後発のGM(ゼネラルモーターズ)が、顧客のニーズを汲み取ってデザインやカラーのバリエーションを増やしたところ、あっという間にフォードを抜き去った。
ソニーは、現在、財務担当の役員が先頭に立って事業の売却や再建の采配を振るっているようである。しかし、数字のみを優先的にみた経営が、今後どうなるか見所である。財務担当役員に資産の売却ではない、本当の利益を生み出すことができるか。それは、あと数年もしないうちに結果は出るものと思われる。
ちなみに、かつて自分が在籍した大手ゲーム企業も自社ビルを売却した。負債も軽くなって後は大ヒットを出すだけであったが、それから十数年経っても「やくざゲーム」ぐらいしかヒットがない。最近では、昔の名前で出ています状態である。
優秀な人材がいたはずであるが、気が付いたらそんな人材は外部に流出していた。残ったのは、他社に移れない、独立できない、そんな人材ばかりとなったようだ。
ここも、かつての栄華は取り戻しようもないに違いない。
いやはやである。
ところで、このテーマを書くにあたって参考にした記事はどこのものだったか。ネットではなく、どこぞのラーメン屋かなんかで見た週刊誌の記事だったかもしれない。いったいどこで見たのか、読んだのか。それが気になって仕方が無い。
それとも、その記憶はもしかしたら自分の夢であったか。それはないと思うが、とにかく思い出せないのが気持ちが悪い。
追記:ちなみに、ネットの履歴を調べたが該当する記事はありませんでした。
写真:解体されるソニー旧本社ビル iwanagalaw.blog.shinobi.jpより
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