■社会|AIと飲食の関係式 AI(人工知能)はおいしい料理をつくれるか 

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料理人不在のレストランはありか否か

 昨今、「AI(人工知能)」の登場とその進化によって、ほとんどの職業がAIに取って代わられるという話題が盛んである。単純労働だけでなく、一見すると知的で人間にしかできないと思われる職業もしかりといわれている。

 例えば、弁護士やデザイナーなどもAIにはできるらしい。なぜなら、知的に見える業務は案外「反復の要素」が多くなっているからだ。知識を蓄え、それを引き出して仕事にしている。それこそAIの得意とするところである。

 AIは、知識の蓄えなら人間の比ではないし、そして課題に対する答えの組み合わせを幾通りにも用意することができるに違いない。

 しかも人間なら「これぐらいにしとくか」という諦めがない。最適な組み合わせができるまで検証を繰り返し、そして最終的に判断を下すだろう。

 とすれば、もはや人間様の出る幕は限りなく小さくなっていく。そして、その先にある未来では、「もはや人間なんていらない」ということにならないか。

 映画「マトリックス」の世界が、すぐそこまで来ているかもしれない。

AIは、料理のレシピを記憶しても味わうことはない

 飲食・小売、その他サービス業において、これからAI(人工知能)は浸透していくに違いない。例えば小売業では、マーチャンダイジング(MD)の戦略策定や運営管理において重要な部分を担っていくと想像できる。

注:マーチャンダイジング=小売業のいわばマーケティングと同義である。

 これまで人間がやってきたMDの諸要素(商品、顧客、販促宣伝、価格など)の過去データを蓄積し分析するなど簡単であるし、これはすでに行なわれている。

 進化したAIは、蓄積したデータを元に時代の変化(トレンド)をプラスして、次世代戦略の方向性を定めてくれると思われる。

 そんなに簡単にできるかと疑問もあるが、案外簡単にできるかもしれない。なぜなら、コンサルタントなどが行う戦略策定などは、特定の個人が有する創造力ではなく、過去のデータ(実績)とその分析(検証)にしたがって、すでに用意されたフォーマットに落とし込まれていくからだ。

人間にとって高度で複雑な作業は、機械にとっては反復作業
「人間にとって高度で複雑」と思われることの多くは、実は機械にとっては精緻な反復作業にすぎない。たとえば、AirbnbやUberのような広範囲でのリアルタイム最適化マッチングは、とても人間の手に負えるものではないが、機械にとっては本領発揮の領域である。

 また、車の自動運転が示すように、機械が不得意とされてきたパターン認識など、定性的・非定型といわれた仕事は、実はそうではなかったということである。詳しくは次回記事以降で考察するが、AIとディープ・ラーニングの見据える方向性の違いを理解することが重要である。

 そして、現在の仕事の代替は、機械による直接的なものとは限らない。機械のデジタル化(写真撮影など)やソフトウエア(キャラクターのデザイン作成など)の進歩によって、一流のプロと玄人はだしの素人という二極化が進行し、二流・三流のプロの仕事がなくなりつつあるのである。

 必ずしも正確ではないかもしれないが、当たらずとも遠からずである。データの蓄積とその分析、用意されたフォーマットがあれば、AIは最適化まで時間を要しない。コンサルが一時間@25000円で1ヶ月かかるところを、ほんのわずかの時間でやってのけるだろう。あくまで推測であり、確かではないが…。

 そんな訳で、小売業の重要な戦略策定においても、AIは重要な部分を担っていくと想像することができる。ただし、すべての業態で通じるとは思われない。

 例えば、コンビニやスーパーなどの生活必需品、アパレルなら「ユニクロ」や「シモムラ」などの大量生産・低価格の業態なら適していても、独自の個性を発揮する超一流ブランドには適していないと思われる。

 なぜなら、そこには独自の創造性が必要になるからだ。

 超一流ブランドの価値はどこにあるか、それはデータとその分析を超えたところにあると言っても過言ではない。特定の個人による創造力の根源は、いわばAIにとっては「不可知の領域」かもしれない。

 このように考えると人間様が生き残るには、AIにはない創造力と、人間固有の「五感プラス第六感」を磨くことにあると思われるがいかに。しかし、それは誰にでもできる訳でないことは言うまでもない。

 ところで、もうひとつAIにはできないと思われることがある。

 それは「食を味わう」ことである。いわばおいしいと感じる概念である。AIは料理のレシピを記憶しても、その味覚をデータ化することができるのだろうか。

 AIは夢も観ないし、洋服も着ないし食事もしないだろう、食うのは電気であるに違いない。したがって、AIのレシピでできた料理には電気の味がしてもおかしくはない。ちなみに電気の味が、どんなものかは当方は知る由もありません。

 しかし、たとえ電気の味がする料理でも、いずれ人間は慣れてしまうに違いない。未来の世界では、もしかしたら味覚という概念が失われているかもしれない。

AI時代のレストランの未来

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AI(人口知能)は食事をするか!

 さて、AIは食事をしないが、それでも飲食の世界にも浸透していくのは間違いないと思われる。とくに多店舗化する飲食チェーン店では収益の改善にその能力を遺憾なく発揮しそうである。

 そして、そのような飲食チェーン店から料理人がいなくなる日もそう遠くないと思われる。いまでも、多くの飲食チェーン店では工場から運ばれた調理済みのパックを温めて出すだけとなっている。

 そこでの料理人は、もはや料理人の体を為していないのは言うまでもない。

 AIが進化して飲食チェーン店に導入された場合、そこではわずかのフロアースタッフと自動化された調理システムによって運営されるに違いない。余裕があれば調理システムのメンテにひとりぐらいは必要かもしれない。

 とにかく、近い未来では人間様は、AIとその配下にある機械がつくる料理を「うまい、うまい」といって食する姿が想像される。

 なんとなくさびしい気もするが、それでも人間は慣れる動物だからなんの心配もいらない。そして、いつしかそれが当たり前となる日がやってくる。

 飲食の世界は、間口も広いが奥も深い。街のラーメン屋や定食屋、そして飲食多店舗チェーン、最高級の日本食、欧米発祥のレストランなどがある。

 AIをもっとも活用するのは、やはり多店舗チェーンと思われる。食材の調達、調理システム、運営管理に至るまでAI化が進むに違いない。それは合理性や効率性を追求するチェーン店には欠かせないシステムであるからだ。

飲食も二極化が進む

 その一方、最高級のレストランでは、無駄を最大の売りにしていくはずだ。

 なぜなら、無駄こそが人間にとって最高の贅沢だからだ。食材の最もおいしい部分のみを使った料理もおなじである。合理性や効率性の対極にあると言ってもいいだろう。そして、あくまで味覚という人間様の舌感覚を絶対とする。

 無駄を排するのがAIとすれば、人間様の究極は無駄を活かすことにあるだろう。そこはAIにとって「不可知の領域」であるに違いない。

 コンピューター、機械がおよばない領域、そこに最高級の意味がある。したがって、AIがいかに飲食の世界に浸透しても、最高級のレストランは残ると思われる。ただし、経営管理にはAIが利用されていくだろうが。

「AIレシピと合理化による飲食」、そして「人間の味覚と最高級の飲食」という二極化が顕著になると想像されるが、AIレシピの飲食が多数を形勢するのは間違いない。なぜなら、人間の味覚による調理は、最高の贅沢になるからだ。

 それを食すことができるのは、一部の富裕層でしかない。一般庶民は、AIレシピの外食しか味わえない、そんな時代も遠くないかもしれない。

 さらに付け加えると、二極化のなかで隙間を狙う外食産業は、AIレシピの食で空間だけリッチなレストランをでっちあげるかもしれない。

 そのような飲食はいまでも存在していると思われるが、とにかく人間は空間の雰囲気に誤魔化されやすい。ハイティストな空間は人間の自尊心をくすぐるし、そして財布の紐をゆるめる効果があるからだ。

 あとは、残された街の普通の飲食店がどーなるかであるが、個人経営ではAI導入なんて逆にコスト増になるかもしれない。したがって、「昔の名前で出ています」という方式で地道に経営するしかないか、と思うばかりである。

 ただし、食材の多くにはAIが介入している可能性が高い。いかに個人経営といえど、もはやAIから逃れることはできないといえる。

 それでも、最高級の飲食とおなじく人間の味覚を守るのは、街の普通の飲食店かもしれない。個人経営の自慢の料理にはこだわりがあるからだ。頑固でこだわりが強い経営者によって味は守られる。そこには合理性も効率性もへったくれもない。

 言葉を変えれば、そこにこそ「味覚の最後の砦」があるのかもしれない。

おまけ/飲食店で最も大切なこと

 飲食店のネット予約、顧客管理、プロモーションなどの総合管理ツール『TableSolution(テーブルソリューション)』を提供するVESPER様より、以下のような情報を頂きました。

1)一休や、食べログなどのレストランネット予約ポータルサイトで、ユーザーが検索で最初に指定するのは「​ロケーション/エリア」​だそうです​。多くの場合、ロケーションが唯一のフィルターとなっています。

2)個人の情報(VESPERマーケティング担当)となりますが、在学中に、調査結果として教授が口頭で説明した調査結果では、レストラン経営で最も大切なことは「味」。ゲストがお店に通う理由はインテリアでも、サービスでもなく「美味しい料理」と言っておりました。数年前になりますが、​リサーチに基づいた情報です。

 なお、この情報は株式会社VESPERのマーケティング担当様から提供されたものです。会社の公式見解という訳ではありません。

株式会社VESPER『TableSolution(テーブルソリューション)』

<AIと飲食の関係式/おわり>

追記:
「AIと飲食」について書いてみましたが、当方はあまり食通とは言えない。それどころか、味音痴かもしれない。最高級なレストランなど行ったことがないし、それよりもパッチもん紛いの似非空間のレストランが大好きである。

 それはきっとどこか自分に共通するものがあるからに違いない。いやはや。

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