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■社会|バブルの記憶 今、そこにある危機

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アベノミクスは、何処へ!?

2013年、2%のインフレ目標、金融緩和の推進等が遂行されようとしています。現在の不況の起点となったのが、バブル崩壊である。この機会にあたり、バブル崩壊に至るまでの様々な出来事を、有森隆著「企業舎弟 闇の抗争」より一部抜粋し以下の様に紹介します。

強欲起業家 (静山社文庫)
強欲起業家 (静山社文庫)

日本の長期低迷は、バブルの崩壊に端を発していたのは今更言うまでもない。何故バブルは起こり、そして崩壊したか、それを顧みることはパンドラの箱を覗き込む行為に同義である。しかし、それなくしては再生もまた無いに等しいはずと思われる。

バブル、それはプラザ合意で始まった

85年9月22日、ニューヨークのプラザホテルで開かれた5カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)における、「ドル高是正のための合意」のことである。それまでのドルの独歩高を修正するために、各国はドル売りの協調介入に乗り出した。この合意に基づき日銀は「ドル売り、円買い」に介入し、1ドル=240円のドル相場は急落し、急激な円高、ドル安が進み、87年3月には1ドル=145円台になった。

その結果、過度のドル安でアメリカ国内は深刻なインフレに陥った。このため、今度は、ドルの安定を目指す「ルーブル合意」が成立した。87年2月、パリのルーブル宮殿で行われたG7である。日銀は、これを受けて一転、「ドル買い、円売り」に方針を転換した。その結果、外貨準備高が急増し、資金が国内金融市場に大量に流入した。

これで通貨供給量に過剰流動性が生じ、「カネ余り現象」を招きバブルが発生した。というのがバブルのおおまかな背景である。

日銀がバブルを作った張本人

エドワード・チャンセラー著「バブルの歴史」のなかで脚注として紹介されている谷口知彦の論文「日本の銀行とバブル経済」によると、日銀は意図的に株価と不動産価格を上昇させようとしたとある。

日銀は、資産価格の上昇によって安全網を確保できれば、輸出企業は事業構造を転換して内需主導の経済に適応できるようになる。この段階では、あらゆる経済セクターで資産価値が大幅に上昇する。この資産効果で、個人消費と住宅投資が盛んになり、つぎに設備投資が増加する。こうして、金融緩和によって実質経済成長率を引き上げることができると考えた。

日銀が、金融の量的緩和によって、意図的に株と土地のバブルを作り出したということだ。日銀がバブルを意図的に作ったのは、「前川レポート」を実現するためであったらしい。79年〜84年まで日銀総裁を務めた前川春雄が、86年に日本経済の構造改革を提言した報告書である。これは、小泉政権時の「聖域なき構造改革」を先取りする内容となっている。

一言で言えば、規制でがんじがらめになった統制経済から欧米流の市場経済への転換である。規制緩和を進め、規制と許認可による経済システムから市場メカニズムに基づく経済システムへと移行して、輸出主導の経済成長から内需主導による経済成長への転換を求めている。

その第一歩として、お札をどんどん刷って「カネ余り」現象を生じさせて、人為的にバブルを作り出した。日銀の秀才たちは、このバブル政策が「パンドラの箱」を開けることになるとは考えもしなかったに違いない。(ギリシャ神話では、「パンドラの箱」を開けるとあらゆる悪徳が飛び出してきたという)

バブル政策は、闇の勢力が表経済に飛び出してくるきっかけになったという。これは闇勢力に格好の餌場を提供したことになった。

銀行の貸し出し競争

「窓口指導」とは、日銀が銀行に融資割当枠を指示することである。「窓口指導」は、貸し出しの伸びを抑制する手段として使われてきたが、バブル期には貸し出しを増やす手段として使われた。

銀行は、バブル期にはある程度の貸出を目指していたが、日銀はそれ以上の貸出を求めていた。銀行は多すぎると考えたが、与えられた枠を使い残せば、他行に負けるかもしれない。銀行の序列を維持するためにも使い切らざるをえなかった。

これまで銀行員は預金獲得がノルマであったが、バブル期には融資先獲得がノルマに変わった。この質的転換が起こったのは、日銀の「窓口指導」による融資枠の拡大方針があったからである。融資枠を使い切るために、融資先獲得のノルマが課せられのだ。

ノンバンク!の闇

バブル期に台頭してきたノンバンクは大別して5つに分類される。銀行系、独立系、信販会社、リース会社、住宅金融会社である。これらのノンバンクに共通するのは、メインバンクの別働隊だったということだ。メインバンクは、ヒモ付き融資の拡大による融資供給と出向役員の派遣で実質的にノンバンクを支配していた。

そして、紹介融資の名目で融資先を斡旋し、自ら手を汚したくない危険な案件をノンバンクに押し付けた。銀行は日銀に課せられた融資枠を消化するためにノンバンクを利用し、貸し出し拡大によって生じるリスクはノンバンクに押し付け不良債券のゴミ箱としてしまった。

不動産投機の増大

「カネ余り」になると、生産性向上のために設備投資をするよりも、投機目的に使われるようになる。これは古今東西に共通する歴史の鉄則であるらしい。

銀行は、融資枠消化のため、不動産向けの融資に重点を置いた。不動産融資は量で消化できるからである。銀行は、担保としての土地さえあれば、いくらでも貸した。不動産会社は、カネが入ってくるので、不動産取引を一層活発化させた。

不動産の取引が増大すれば、土地需要は増え、地下は上昇する。たちどころに億単位の転売利益が転がり込んだ。儲かるとなれば、一斉に不動産取引に首を突っ込んできた。不動産会社をはじめ、建設、流通、さらにはメーカーまでが土地投機を行った。

カネ余り現象とバブルのキーワード

カネ余り⇒ 融資枠の拡大⇒ 貸出競争の激化⇒ 株・不動産・ノンバンク等への融資増大⇒ 株・不動産の価格高騰⇒ 融資枠の引き締め⇒ 融資資金の引き上げ⇒ 不良債券の顕在化⇒ 莫大な不良債券⇒ 不動産・ノンバンクの破綻⇒ 銀行への公的資金注入⇒ 銀行の破綻⇒ 銀行の整理・統合化

参考文献:有森隆著「企業舎弟 闇の抗争」、他

以下は、バブルとも縁浅からぬ金融資本の闇を描いた書籍「赤い楯」の紹介です。

<金融の巨人、ロスチャイルドの謎を解くー「赤い楯」広瀬隆/著>

陰謀論の王者として、また世界を陰で操る闇の巨大権力とされるロスチャイルド家。その謎を歴史を紐解きながら辿っていくーー。そこにあるのは果たして何か?…。

<赤い楯/内容説明>
両替商だったロスチャイルド家が、なぜ世界の王者になりえたのか。18世紀末のドイツに生まれ、世界を陰で操る闇の巨大権力。その戦略と謎を解き明かす、知的冒険の書。ロスチャイルド家全家系図付き。

18世紀、ドイツ・フランクフルトの片隅のユダヤ人ゲットーに一人の巨人が誕生した。“赤い楯”を家紋とするその金貸し業者の名は、マイヤー・アムシェル・ロスチャイルド。各国に散った彼の5人の息子と子孫は同族結婚を繰り返し、またたくまにヨーロッパ全土の金融と産業を押さえた…。恐るべき権力を持つ闇の一族。

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