80年代のディーバ、NOKKOの躍動感が溢れんばかり
1986年のある日の出来事
レベッカは、1984年にメジャーデビューし、翌年には「フレンズ」を大ヒットさせて一躍注目を集めたロックバンドである。此れは知ってる人には言うまでもないことである。ボーカルのNOKKOさんは、キュートな面立ちとは反比例するかのような躍動感が持ち味であり、ダンスのキレも半端なく決まっていた。
1986年、人気上昇中のレベッカは突然のように早稲田大学構内でシークレットライブを開催した。雨が降りしきるなかで決行されたそのライブは、いまでは伝説となった。たぶん。NOKKOさんは、激しく動き回りながらも見事な歌唱をみせている。また、バンドの演奏もキレがあってコクがある。これはどこかで聞いたフレーズであったか。
それはさておき、このライブをリアルで観れた人達がいるのは羨ましい限りである。このような神がかったライブには滅多に遭遇できないはずだ。しかし、個人的には当時のことを思い起こせば、レベッカには何の関心もなかった。
レベッカは中高生が夢中という認識であった。したがって、当時は20歳を過ぎていた当該ユーザーは興味を示すことなく終わってしまった。
90年代になってレベッカが解散したことさえ知らなかった。それなのに、何故いまになって関心を示すかと今更の様に思うが、しかし、それが定めであったと思うしか無い。そういう運命であったのである。
そんな大袈裟なと思うなかれ、時はときに残酷なのである。
とにかく、このライブは商業的?ライブとは一線を画した趣がある。なにしろ、ステージも急ごしらえで貧弱だし、観客との距離はとてつもなく近い。しかし、それが、かえってリアルなライブ感を創出している。
なお、あくまで画質の悪い映像で観る限りではあるが…。(なお最近貼り替えた映像はとても綺麗です)
画質の悪いのも無理は無い。なんせ約30年前の出来事だからである。この映像は、DVD化されているのだろうか。ユーチューブの映像は、元はテレビの音楽番組のものらしい。正確ではないが、そんなことをどこかで読んだ記憶がある。(最初に掲載した映像は削除されました)
NOKKOさんの衣装は、ストーンウォッシュ?のジーンズの上下だろうか。ところどころ破れていて、いかにも80年代のバンドを思い起こさせる。当時のバンドには、まだパンクの影響が色濃く影響を与えていたに違いない。
Gジャンの背中には、なんのマークか知らないが、Aの文字を型どったようなデザインが施されている。ジーンズのパンツはやや短めになっている。とにかく、着飾るとは正反対の非常にラフな衣装である。
そして、ステージを所狭しと動きながら、歌うのである。関心するのは、その激しい動きに関係なく音程があまりずれていない。さすがと思うしかない。当然の如く、当時は口パクなどではない。
現在でもダンスしながら歌う歌手はいる。その筆頭は安室奈美恵さんである。彼女のダンス振りは相当素敵だと思うが、個人的には出来すぎていると感じる。それは何故かといえば、あまりにも作られているからである。
ただし、それはそれで魅力的ではある。ショー(見せ物)としては上等である。
このライブでみられるNOKKOさんのダンスは、あくまで音楽に従って情動的に動くというものである。これは、簡単そうでいて様になる人は少ないはずだ。それが証拠に現在では、作り込まれたダンスしか歌手はしない。
もっとも、NOKKOさんも90年代になってダンスミュージックをした際には作り込まれたダンスをしていた。ハレルヤのライブはその中間にあったか。
しかし、作り込まれたダンスは彼女でなくてもできる。現在では多くのR&B系、クラブ系の歌手、グループはそういったダンスをしている。アメリカのアフリカ系ミュージシャンから影響されたものである。
訓練を積めばできるのが、現在のダンスの主流である。しかし、80年代のレベッカでみせたNOKKOさんのダンスは、あくまで情動感(エモーショナル)が体を動かしていた。したがって、そこには彼女だけの個性が迸っていた。そう感じるが、違うだろうか。
とにかく、この早稲田ライブでのNOKKOさんの歌、そして全身を使ったパフォーマンスは、いま観ると非常に新鮮である。何故なら、現在、見慣れた音楽の光景とはずいぶんと違うからである。
昔はよかったとはぜんぜん思わないが、ぐるりと廻ってまたそんな時代がやってきても良い頃かもしれない。ファッションと同じく、音楽もまた繰り返されるからである。
<REBECCA IV>
レベッカのオリジナルアルバム7枚をBlu-Spec2で再発。「フレンズ」を含むレベッカ・サウンドの集大成の4枚目。全国にたくさんのコピーバンドを生んだ`80年代の名盤の1枚。
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