ね、仕事は終わりにして…なんて言われてみたい
愛の行方は何処、それは流れゆく景色のように
「あくびとUFO」とは、なんと不思議なタイトルだろう。これって何を意味してるのか。あくびとUFOがイコールである訳はない。とすれば、対極を指しているのか。あくびとは、退屈を象徴する。UFOは、未知との遭遇だ。いわば、「あくびとUFO」=「退屈と未知」と解釈できる。
UFO(未知)の意味は、新しい期待、または創造と解釈できるだろう。違うかもしれないが、このまま先に進めてゆく。
上記解釈を踏まえれば、この歌は、倦怠期(退屈)にある恋人同士、または夫婦の絆をもう一度取り戻そうとする様を表現したものではないかと思われる。歌詞のなかに「仕事を終わりにして、時間もどすドライブしよう」という箇所がある。これは、どういう意味か。
時間をもどす、これはまぎれもなく愛の追憶である。違うか。そして、ドライブは、その道筋を表している。要するに愛の記憶を辿る旅をするという訳である。そして、愛の記憶をドライブする過程で未知(新たな創造)と遭遇するかもしれない。そんな淡い期待を抱きながらである。
つまり、やり直せるかもしれないという訳である。
この曲のリズムとメロディーは、なんとも微妙な雰囲気を漂わせている。ウキウキとする高揚感あるリズムと、愁いを含んだメロディーが重なり合って不思議な感触を与えてくる。なんだか知らないが、妙に心にしっとりと染み渡るようである。
そのような相反するリズムとメロディーは、久しぶりのデートでウキウキしているが、同時にかつての様には戻れないことを示唆しているかのようだ。
「ここであたし生まれたのよ、今はすんでないけど」という歌詞がある。これは個人的に似たような台詞を言われた記憶がある。きっと、みなさんも記憶にあるかもしれない。恋人だった人に似たような台詞を言われたことはないですか?または、言ったことは?
きっと聞き覚えのある台詞のはずである。
このような台詞を交わした場合、愛の行方は概ね危ういはずである。何故なら、それは、あなたと一緒にいることに違和感を抱きつつあるからだ。過去を振り返り、そして思わず呟くのは、いまの自分の境遇に不満がある証拠である。
確証はないが、そんな感じがしている。関係がうまくいっている場合は、過去を振り返らない。お互い手を取り合って前を向いている感じだ。
そして、歌詞の最期では「あくびを一つごまかして」とある。これは、やはり間違いない。何か、もっと違う人生を求め始めている。
あくびという退屈よりも、UFOに象徴される未知との遭遇を期待している。それが、果たして自分を満たしてくれるか。それは分からなくても、とにかくいまとは違う何かを求めている。
そして、小さな罪の意識を胸に抱きつつも、それでも未知に向かって行こうとしている。
妄想?すぎる解釈を踏まえ、この曲を総括すると、「女性の自己中心性?願望」を歌にしたものといえる。何故かといえば、男性の面影がまったく想像できないからだ。男なんて居ても居なくても一緒と言わんばかりである。しかし、人はこれを被害妄想というだろう。いやはや。
以上、個人的な解釈に基づいた「あくびとUFO」の感想です。あくまで個人の想像(妄想)によるものであり、作者(NOKKO)の意図とはまったく関係ありません。あしからず。
また、「あくびとUFO」は、ユーミンの「中央フリーウェイ」に設定が似ているような気がします。共にドライブとその情景を描いています。これは、NOKKOさんが意図的にしたものでしょうか。残念ながら、それは知る由もありません。
最期に、前言を翻すようですが、あくびが出るぐらいの退屈な関係も悪く無いという解釈もできるかもしれません。長々と書いた上の文章とは真逆じゃないか、という指摘があろうと思います。しかし、言葉を変えれば空気みたいな関係にこそ長続きする愛の関係式が隠されている。
そんな気がする昨今であります。それがある意味では理想かもと個人的には思っています。何故なら、絶え間ない緊張関係というのは疲れるからである。
ちなみに、UFOが象徴する意味とは、未知への期待とともに不安も表しているとか。
<UFOの象徴する意味とは>
ポジティブ/未知の世界に対する好奇心・創造性・創造力を表わす。
ネガティブ/ストレス・性的欲求不満・将来への不安・現実感の喪失を表わす。
■NOKKO|あくびとUFO (1996年/Rhyming CAFEに収録)
作詞・作曲・歌:NOKKO
ラララ…….
こころに残るデイトです 夕焼けがキスにとける
オレンジ色の雲が流れている 丘の斜面
うしろはあかりのつきだした
ビルが小さくため息をこぼしている
ね、仕事は終わりにして
時間をもどすドライブしよう
(以下省略)
<NOKKO/Rhyming CAFE(1996)>
ソロとなっての4作目。基本的に自作曲を歌っているが、共同プロデューサーである山田貢司らとの共作作品が多い。⑥はGOTAの曲&アレンジ。オトナの感覚と子どもっぽさ、現実的でありファンタジックという、相反するものが存在していて魅力的。
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