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■社会|ブラジル大統領弾劾裁判に リオ・オリンピックは無事に開かれるか

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一部特権者のやりたい放題、ここに極まれり

ブラジル大統領、弾劾裁判の開始が決定される

 ブラジルでは、国営企業にからむ多額の収賄疑惑から、だいぶ前から国内事情は揺れていた。ここにきて、いよいよ現役大統領の弾劾裁判が決定された。

 今年、ブラジルでは特権階級の汚職と経済の低迷を理由に、大規模なデモが行われた。なんとのその参加人数は約400万人(239都市の合計)といわれている。それだけ、既存の政治勢力のやりたい放題に我慢も限界を迎えたといえる。

 ブラジルは、かつてBRICsの一員として経済成長著しい国として注目を集めていた。ところが、昨今ではそのBRICsを構成する国々が揃って後退する局面にある。中国しかり、ロシア、そしてブラジルである。マシなのはインドくらいか。

 BRICsを有望として市場に投資を働きかけたのは、アメリカの投資銀行ゴールドマンサックスであった。各国のマスコミもこれからは、BRICsだと投資銀行の言うままに持ち上げていたのは記憶に新しい。

 マスコミが揃って持ち上げると、その裏には何かあると思わざるを得ない。それが最近の特徴となっている、と言うしかない。

 中国は、たしかにGDP世界第2位となり、経済成長は著しかったが、最近ではあまりに多額の負債があり、将来が危ぶまれている。

 ロシアは、言うまでもなく欧州との軋轢で経済封鎖状態に陥って、経済が浮上するきっかけがない。中国も前述したとおりである。そして、ブラジルでは、経済好調のなかでも、その恩恵は一部の特権階級に偏っていた。

 2015年のブラジル経済は3.8%のマイナス成長となり、今年も同程度のマイナスになるとみられている。失業率は2ケタに近づいているとか。

 ブラジルといえば、リオなどの大都市に潜む犯罪の多さも有名である。映画「シティ・オブ・ゴッド」で描かれた世界は、いまでも健在のようである。経済好調であったはずなのに、なんの手も施されなかったか。

 また、リオ・オリンピックが間近に迫っているが、それもブラジルの経済に痛手を押し付けるかもしれない。それは、ギリシヤの二の舞である。いつか来た道を、ブラジルも辿るしかないのか、今後の行方が注目される。

ペトロブラス・スキャンダルの余波
 国営石油公社ペトロブラスを舞台とした汚職をめぐる広範囲の捜査により、有力な実業家や政治家が失脚している。ルセフ大統領はこれに関与していないが、側近集団の一部は関与していた。検察当局はペトロブラスからの多額のリベートがルセフ大統領率いる与党・労働者党とその連立政党に流れ込んだと指摘している。

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約400万人が抗議、その理由は何か?

 南米の中ではブラジルは唯一安定した経済成長を続けてきた。何十年もの成長のあと国は裕福であるべきだが、実は裕福ではない。

 人々は貧困である。インフラはくず。ゴミはそこら中。いったい人々のお金はどこに行ったのか。1つのエリアでの何十億ドルもの賄賂が行われて、そこに金が行くんだ。政治家が国民の金を盗んでいるんだ。

 巨大な腐敗と経済や公共サービスの誤った管理だ。ルーラ元大統領に逮捕状が出ているよ。建設会社からリベートを受けていたことが理由でね。(らばQより)

 ブラジルでは、この夏にリオでオリンピックが開催される。現在、突貫工事の最中といわれているが、その進捗状況が危ぶまれている。また、ジカ熱という伝染病も発生していて、本当にオリンピックを開催して大丈夫なのか危惧されている。

 オリンピック会場が建設されている周辺では、環境が悪化したままであるといわれている。写真を見ると明らかであるが、なぜかあまり問題視されていない。

 ブラジルでは、当たり前の光景に映るのかもしれない。しかし、その環境は経済好調とは裏腹に、あまりに汚すぎると思うがいかに。

 その光景は、ブラジルの政治や企業の汚い姿を象徴しているのかもしれない。そのあげく、大統領の弾劾とは「むべなるかな」であるのは言うまでもない。

むべなるかな=いかにももっともなことである。

「この夏、リオ五輪が開催されるグアナバラ湾の写真」衝撃的な汚さだと驚きの声

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 ブラジルでいま懸念されているのは、治安を維持する警官の給料に未払いが発生していることである。これは、オリンピックを控えて重大な危機と言っても過言ではないだろう。なんせ、最近のブラジルの犯罪率は上昇していて、リオ市内の強盗発生率は日本の約660倍だそうである。

 これは、東京などに住んでいる人には、ちょっと想像しにくいに違いない。なんでそうなるのか、それは警官のやる気のなさ(給料未配)、政治家の政争や企業家の唯我独尊という、自分たちさえよければいい、という姿勢にあるのは言うまでもないだろう。腐敗の行く先は、古今東西変わることはない。

 東京も2020年にオリンピックを控えているが、会場建設にからむ疑惑、招致に関する収賄、その他いろいろと噂が絶えない。さらに、最近では東京都知事までが、不正会計疑惑の渦中にある。日本もブラジルのことを、他山の石と見ることはできないに違いない。明日はわが身であるのは世の常だ。

 もしかたら、2020年東京オリンピック直前には、ブラジルの現在とおなじことが、日本で、東京で起きていても不思議ではない。

 だから、いまからでも遅くはない。疑惑は徹底的に追及し、是正していくしか残された道はない。それができるのは日本の政治家や官僚ではなく、一般市民(国民)の意識にあるのは言うまでもないだろう。

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