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■社会|2020東京五輪の黄昏 オリンピックの意義は失われたか

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黄昏=暗くなる直前の頃、風前の灯火まであとわずか

東京オリンピックに期待するものは、もう何もない!

 2020東京五輪は、いろんなことで揺れまくっている。新国立競技場、五輪エンブレム、開催費用の大幅な超過など、次々と問題が露出している。

 そして、また新たな疑惑が浮上してしまった。2020東京五輪は何かに祟られているか。始まる前から、すでに黄昏てしまったかのようである。

 東京五輪招致の「おもてなし」に、裏金疑惑がもたれている。

 盗作問題で仕切り直した五輪エンブレムもようやく決まって、やれやれという間もなく、今度は怪しげなコンサルを介した贈収賄疑惑が浮上した。しかも、この疑惑は海外の捜査当局によって明らかにされたものだった。

 東京五輪招致委が、国際陸上競技連盟会長の息子が関係する会社に、約2億2千万円を振り込んでいたことが問題視されている。

 関係者は、五輪誘致を優位にするために必要だったと開き直っているが、その資金が贈収賄に使われたのは否定のしようがないと思われる。

 問題になっている会社は、ペーパーカンパニーだったことが明らかにされている。その会社を選んだのは、電通であり、子会社を通じて振り込んだとみられている。コンサル料という名目ではあるが、その使途がはっきりしていない。

 関係者が開き直るのはいいが、それなら使い道を明らかにすればいい。ところが、問題の会社は存在していなく、当事者も行方知れずであるそうだ。

 たぶん、コンサルというのは嘘も方便で、単なる贈収賄の仲介をするブローカーであるに違いない。そして、電通もおなじ穴のムジナと思われるがいかに。

 2020東京五輪は、なんだかずいぶんと汚れちまったようである。

 このイメージを覆すのは、並大抵ではない。海外では、すでに東京は五輪開催を返上してロンドンで開催すべし、という報道もあるようだ。

 とにかく、今後の動向が注目されるのは間違いない。

東京五輪招致の「おもてなし」は、裏金だった!?(ビジネスジャーナル)
 2020年夏のオリンピックの東京への招致に関連して、日本側が国際陸上競技連盟に協賛金を振り込んだ可能性があると、フランスの検察当局が明らかにした。

 この問題は、世界アンチドーピング機構(WADA)の第三者委員会がことし1月、2020年夏のオリンピックの東京への招致を巡って、日本側が国際陸連などに多額の協賛金を支払ったと指摘したもの。

 日本の銀行の口座から国際陸連のディアク前会長の息子に関係するとみられるシンガポールの会社宛てに、東京オリンピック招致の名目でおよそ2億2,000万円が振り込まれた可能性があるとのことだ。

なぜ海外から、欧州の逆襲か

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 それにしても、今回の疑惑は海外から報道されたものだった。捜査当局は、フランスである。オリンピックに関連する疑惑は、これまでにも数多くあったはずだが、なぜかあまり大事には至らなかった。

 しかし、今回の東京五輪の疑惑に関しては、海外からも五輪返上の声が上がっている。なんだか雲行きがあやしい。オリンピック発祥の地である欧州には、何か思惑があるのかもしれない。汚れちまったオリンピックに清廉性を復活させるためか。

 国際サッカー連盟の疑惑の中心が、そんなはずはないと思うがいかに。

 それとも、アメリカによって告発された国際サッカー連盟へのしっぺ返しかもしれない。なにしろ、サッカーは欧州の縄張りであるからだ。

 オリンピックは、クーベルタン男爵の提唱によって始まったといわれている。男爵という呼称からも判るように貴族による発案であった。

 したがって、オリンピックは、かつての王侯貴族たちが、奴隷である剣闘士などを戦わせて楽しんだ娯楽の延長だったと言っても過言ではない。

 欧州を発祥としたオリンピックは、当然のように貴族と一部特権者によって利権は握られていた。ところが、その構造はロサンゼルス・オリンピックを機会に大きく変わってしまった。オリンピックの商業化が始まったのである。

 ロス・オリンピックでは、収益の構造がテレビ放映や広告といったものに大きく依存するようになっていた。そこでは、貴族や一部特権者よりグローバル企業や広告代理店などの権益が大きくなったのは言うまでもない。

 ロサンゼルスは大成功した。それ以降のオリンピックでは、ロスを模範として利益を上げることを目標にしていくようになった。テレビ放映権は高騰し、広告費もおなじくであった。それでも、ロス以上に成功した例はいまだにないが。

 そのような中で活躍し、利権の中心を制したのは、貴族などの特権階級でなく新興勢力であったと思われる。はじき出されたオリンピックの旧利権者たちが、それに手を拱いて待っている訳がない、と思われる。

 そして、いよいよその時がきたのかもしれない。欧州の、オリンピック利権者たちの逆襲である。オレたちをのけ者にすると痛い目にあうぜ、ということだ。

 なお、これは、あくまで推測であり、確かな元ネタはありません。参考にしたものは、以下に要約するオリンピックの誕生由来だけである。

オリンピックという名の金庫

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 メディチ家といえば、ヨーロッパを中心に金融帝国を築いたことで有名である。その影響力は、金融だけでなく、文化や政治にもおよんでいた。かのルネサンスもメディチ家あってのものだったといえる。

 そんなメディチ一族のピエール・フレディは、ルイ11世の時代にフランスに移住し、国王に仕えることになった。そして、時を経て貴族の称号を授けられた。それが、いまから約500年前のことであった。

 その貴族の一族は、植民地貿易によって財を成し、やがてヴェルサイユ郊外のクーベルタンという土地を手に入れた。ここにクーベルタン男爵家が誕生した。

 オリンピックで有名となったクーベルタンというのは、実は姓ではなく、貴族の爵位名であった。正式名称は、ピエール・フレディ・ド・クーベルタン男爵である。

 オリンピックを提唱したクーベルタン男爵は、政治や経済の有力者に声をかけて大きなシンジケートを結成したといわれる。それを元にして、オリンピックを支配する構造を形成していった。

 クーベルタンはオリンピック創始キャンペーンというものを仕掛け、それに参加したフランスの上流階級60家族ほどが中心となって、第一回オリンピック開催に向けて動き始めていた。

 このときのオリンピックの中身は、貴族や大富豪が、かつての古代ギリシャやローマ時代の特権階級とおなじく、子飼いの選手同士を競わせる、または自分自身で参加するなど、ゲーム感覚を一部のものが共有する場として考えられた。

 そして、1896年に第一回オリンピックが、ギリシャ・アテネで開催された。

 ここまでお読みになって、気がついたと思われますが、クーベルタンはフランスの貴族でした。当初のオリンピックを牛耳っていたのも、おなじくです。

 上記した、東京五輪招致委の贈収賄疑惑を指摘しているのも、フランスの検察当局である。何か関係があるのか、それともないのか。それは知る由もありませんが、なんとなく気にかかるのは否めませんがいかに。

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冒頭動画:東京五輪招致PRフィルム
参考:パンドラの箱の悪魔 (文春文庫)
パンドラの箱の悪魔 (文春文庫)

新国立競技場の当初案をデザインしたザハ氏が、3月31日、アメリカ・フロリダ州マイアミで心臓発作のため死去されました。65歳。
ザハ・ハディド氏のご冥福をお祈りいたします。

追記:
オリンピックはなんのためにあるか。主役は、政治家や関係者ではない。ましてや国家でもない。競技と選手たちが主役であるに違いない。東京五輪の関係者は、なにかというとレガシー(遺産)とかいうが、そんなのどーでもいいと思われる。

なにより大切なのは、選手が安心、そして安全に競技ができる環境に他ならない。だから、お金をかければいいというものでもないはずだ。地味でもいい、しかし確実に運営を行うという手法をとれないものか、と思うばかりである。

ついでにいえば、金儲けに走れば、大衆からきっとそっぽを向かれるに違いない。

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