「KISS」発売時のNOKKOさん
男は未練を、女は未来を見ている
活動再開を飾った「KISS」というカバーアルバム
たしか2000年代が始まって間もなく、NOKKOさんは活動を休止してしまった。その訳はよく知らないが、2000年に発売したアルバム「ヴィアッヘ」が思う様には売れなかったのが原因かもしれない。
しかし、「ヴィアッへ」は何故売れなかったのか。いま聴くと類いまれな音楽性を感じるが、如何に。思えば、2000年頃は浜崎あゆみの全盛期であった。トランスなどの音楽が流行っていたはずである。それを思うと微妙に時代とずれていたかもしれない。
とにかく、NOKKOさんの感性は何事も早過ぎたのではないか。
NOKKOさんはその後、何故かレベッカを一時期復活させるという迷走に陥っている。これは当時のマネジメント?をしていた実兄の筋書きだったようである。それが成功していれば何も言うこともなかったが、いまいちだったのは今更言うまでもないことであった。
そして活動を休止し、事務所も辞めてしまった。
それから実に10年余りを経て活動を再開後、ユニバーサルから発売したのが「KISS」というカバーアルバムであった。「そして僕は途方に暮れる」は、当時を知る人には有名な楽曲である。失恋ソングの王道と言っても過言ではない。
作詞は、銀色夏生という一時期は、飛ぶ鳥落とす勢いだった詩人である。しかし、この人は詩人と言っていいのか微妙な人であった。何故なら、どこか愁いを漂わせる綺麗な写真とセットされた詩+写真集として売れていたからだ。
そして楽曲と歌は、大沢誉志幸である。ちなみに、この曲のオリジナルが発売されたのは、1984年だった。
NOKKOさんの当時在籍していたレベッカが、デビューしたのもおなじ年である。
どうやら、この楽曲は、彼女にとってもデビュー当時の思い出と重なる部分がありそうだ。デビューは大沢誉志幸の方が若干早いが、ほぼ同時代をミュージシャンとして過ごした2人である。
80年代という時代を駆け抜けたいわば同士でもあった。
この楽曲を聴くと彼女の80年代への想いのようなものが、静かに流れているように感じる次第である。しかし、その当時はとても熱い想いを抱いて過ごしたはずだ。
あくまで想像であるが、それは、たぶん間違いはないはずである。
NOKKO そして僕は途方に暮れる
男は未練を抱いて眠り、女は未来を目指して走る
「そして僕は途方に暮れる」は、同居する女性に出て行かれた男の想いを歌った曲である。なんとも切なく、そして止めどない後悔の念のような感じが曲全体に漂っている。個人的には、そのように感じるがどうだろうか。
この歌の中の男女は結婚はしていないだろう。たぶん、同棲であろうと思う次第である。
それは何故かといえば、青春のひとこまという感じが濃厚にするからだ。結婚という契約の末の破局とは違う淡い匂い、雰囲気である。
また、出てゆく女を見送る男の情けなさが全開で迫ってくると思うのは、当該ユーザーだけではないはずだ。しかし、男はなんと情けないことか。この場に至ってもナルシスに酔うようなことしか出来ない。
未練を抱く様に眠ること、それが男に残された行く末である。
女はどうかといえば、けっして後ろを振り返ることはない。すでに未来しか見ていないはずである。地に足が付いているのは男ではなく、女の方である。
何故、そう決めつけることが出来るかといえば、当該ユーザーは経験者であるからだ。上記した事は経験を語ったに過ぎない。もう、二度と同じ想いはしたくない。
■そして僕は途方に暮れる アルバム「KISS」より
歌:NOKKO 作詞:銀色夏生 作曲:大沢誉志幸
見慣れない服を着た
君が今 出ていった
髪型を整え
テーブルの上も そのままに
ひとつのこらず君を
悲しませないものを
君の世界のすべてに すればいい
そして僕は 途方に暮れる
<以下省略>
NOKKO「Kiss」は、80年代、90年代、00年代と時空を駆け抜けても色褪せ知らずの男性アーティスト達の名曲「LA LA LA LOVESONG feat. KG」「SOME DAY」「中央線」「Tomorrow Never Knows」「そして僕は途方に暮れる」「夜空ノムコウ」「いとしのエリー」を唯一無二の歌声でカヴァーしたアルバム。
1984年にリリースされた大沢誉志幸のアルバムがBlu-spec CD2で復刻。「そして僕は途方に暮れる」他を収録。
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